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第61話 燃えるゴーレム

オレ達は全ての準備を終え扉の前に立った。

「では作戦のおさらいです。」

「マーナルディが攻め、オレが守り、ブランドがフォロー担当だよね。」

「指示は全てブランドに任せます。私とスヴェンは自分の役割に集中しましょう。」

「作戦の肝はチビじゃ。チビがどれだけやれるかで戦える時間が決まる。」

「全力で持たせる。だから思いっきりやっていいよマーナルディ。」

「ええ、時間さえ頂ければ必ず勝利してみせます。」

「今度はワシが扉を開ける。ええな。」

「うん。」

「ブランド、合図を。」

「3・・・2・・・1・・・行け!」

一か八かの一発勝負が幕を上げた。



オレとマーナルディは中央まで一気に走り込み、中央の広場にランプを配置して光源を確保する。

まだ何も起きない。

「行くよ!・・・閃光(シャイニング)!」

作戦通り光魔法で部屋全体を一瞬照らす。

天井に罠は無い。

それに向かい側に出口と思われる扉も見えた。

「では行きます!ブランド、フォローを!」

マーナルディが中央の広場から出口へと向かう。

代わりにブランドが入り口から中央の広場へ移動する。

これでもう退却はできない。

「出口に触れました!・・・ですが鍵がかかっています!」

想定通りだ。

ここがボス部屋、守護者(ガーディアン)の間であることが確実になった。

「中央へ戻ります!・・・これは。」

地面が揺れる。

大きなものが動いているのがわかる。

「・・・構えろ!」

ブランドの警告と同時に油の池の中から腕が現れる。

その腕の主は縁を掴んで中央の広場に上がってくる。

ゴーレムだ。

数は4体。大きさは2m程。

「通常のゴーレム種です!」

「特別なのはあいつらが油まみれ(・・・・)ってことか。」

ゴーレムから駆動音が鳴り響く。

完全にエンジンがかかったようだ。

「ガガガ!」

ゴーレム達は腕を地面に叩きつける。

すると火花が散りゴーレムの体が燃え上がった。

「ここからは時間との勝負じゃ!」

「ええ!任せてください!」


オレとブランドを広場の中心に残し、マーナルディは一体のゴーレムに駆け寄る。

「まず一撃!」

鈍い攻撃を避け、黒鉄の金槌をゴーレムの足に叩きこむ。

カイン!と独特な音が部屋に響く。

「二撃!」

今度は反対の足に一発。

「ガガガ!」

マーナルディを捉えられないと判断したのか、ゴーレムは追うのを止め構えを取った。

「メガネ!引け!」

「了解!」

ブランドの掛け声でマーナルディは跳躍する。

そしてオレ達の傍へ着地した。

着地と同時にゴーレムは胸から炎を吐き出す。

「チビ!」

「わかった!」

オレは熱魔法をゴーレムの炎にぶつける。

混ざりあった魔法を掌握しその炎を霧散させた。

意思のない魔法だ。コントロールを奪うのは難しい事じゃない。

得意な系統ならより簡単になる。

「ははは!お前やっぱり便利じゃ!」

「半信半疑でしたが、これなら行けそうですね。」

「まだまだいけるよ!後はお願い!」

「ええ!任せてください!」

マーナルディは火炎放射を防ぐ間に近づいた後方のゴーレム2体に、それぞれ一発金槌を打ち込む。

カイン!と音が響きゴーレム達はよろめいた。

傍目には軽い攻撃に見えるがゴーレムはかなり効いているようだ。

「ガガ!ガガ!」

4体目のゴーレムがオレに向かってパンチを繰り出す。

「担ぐぞ!」

ブランドはオレを担いだままひらりと躱し、伸びた腕に蹴りを入れた。

ドシンと良い蹴りが決まったがゴーレムは気にせず再び腕を振り上げる。

「かっったいわボケ!」

やっぱりブランドの攻撃は有効じゃないみたいだ。

「くそ!チビ後ろじゃ!」

「前のは私が止めます!」

後ろの2体が同時に炎を吹き出す。

「効かないよ!」

オレは熱魔法を横なぎにぶつけ、3つの魔法を混ぜ合わせる。

その勢いのまま炎をゴーレムに跳ね返し全身を焼き尽くした。

「これやったかな!?」

「ガガガ!」

当然そんなことはなくゴーレムは次の攻撃に移る。

「やばっ!」

「炎が効くわけないやろ!」

ブランドが再びオレを担いで攻撃を躱す。

「ありがとうブランド。」

「まあええ。今んとこは上手くいっとる。」

「このまま押し切りましょう。」

この戦い、なんとかなりそうだ。


「貴方はこれで・・・三撃でしょう!」

マーナルディの攻撃を受けたゴーレムが突然動きを止める。

「ガガ!ガガガ!」

そして体制をくずし地面に突っ伏した。

よく見ると足が変な形にくっ付いている。

「うわ、なにそれ。」

「オルティカ家相伝の技です。作り変えてあげました。」

これが作戦の時に話していたゴーレムへの特攻攻撃か。

「ではトドメです。」

突っ伏したゴーレムの頭を叩くと頭が粉々になる。

「ガガ?ガガ・・・。」

頭を失ったゴーレムは完全に停止した。

「ゴーレムって魔鉱石壊さなくても止まるんだね。」

「しゃべんなアホ!舌噛むぞ!」

オレはブランドに回避を任せながら火炎放射を防ぐ。

「通常種は頭部で制御していますからね!」

マーナルディが2体目のゴーレムを仕留める。

こうなるともう勝負は決したも同然だ。

「詳しいねマーナルディ。」

「メガネはアイクラフト家専属の鍛冶屋じゃ。」

「ええ、ゴーレムは私の専門分野の一つです。」

会話を交えながら3体目のゴーレムを仕留める。

もう残りは1体だ。

「ガガガ!ガガガ!」

観念したのか4体目のゴーレムは攻撃を仕掛けてこなくなった。

潔いゴーレムだ。

「よかった。これで終わったね。」

「気ぃ抜くなボケ!あいつはゴーレムじゃ!」

「何かするつもりですか!させません!」

マーナルディは最後のゴーレムと距離を詰める。

無駄のない動作で金槌を振るう・・・がその攻撃は空を切った。

なんとゴーレムが後方に跳んだのだ。

その先は油の池。

「やはりこうなるか!」

「チビ!」

「任せて!」

油の池から轟音が鳴り響く。

最後のゴーレムが魔鉱石を爆発させたのだろう。

油の池は燃え上がり部屋の温度が急激に上昇する。

「チビ!空気は後どれくらいじゃ?!」

「持ってきた分の3割くらい!」

「間に合います!全員出口へ!」

この戦いでのオレの一番大事な役割はきれいな空気を維持することだった。

オレは戦闘中外側が熱魔法、内側を風魔法の渦を体に纏わせて戦っていた。

熱魔法で炎がオレ達に届くのを防ぎ、風魔法できれいな空気が拡散するのを防ぐ。

炎が燃え盛る密室の中で全員が問題なく呼吸が行えていたのはそのためだ。

「何?!なんだこれは!」

マーナルディが扉を開けようとするが開かない。

「くそが!何がなんでもワシらを殺す気か!」

「ここの製作者には美学などなかったのか!」

本当にマズイ。

このままでは全員酸欠で死んでしまう。

「マーナルディ!その扉作り変えられないの?!」

「最深部への扉は守護の魔法が・・・いや、それは消えている!」

金槌を振りかぶると何度も扉へと打ち付ける。

徐々に形が変わっていくが足りない。

扉を破る時間が無い。

「チビ!熱じゃ!」

「スヴェン。多少温めても効果はありません。全力でお願いします!」

「でもそれだと風魔法の制御が!熱からも皆を守れなくなる!」

「アホか!覚悟の上じゃ!」

「少しくらいなら耐えられます!さあ早く!」

「・・・わかった!」

オレは風魔法の制御を止め、意識の全てを部屋全体の熱に向けた。

心臓に熱を!部屋の全ての熱をオレの全身に集めろ!

いや、全身じゃダメだ。

牢屋から抜け出したあの時のように、掌だけに全部!

「触るよ!」

オレが扉に触れると触れた部分が赤く輝き始める。

「行きます!」

マーナルディは金槌を再び振り下ろす。

ガン!と鈍い音がして扉が大きく曲がる。

「足りない!なんて厚さだ!」

少し隙間が空いたがオレ達が通れる大きさじゃない。

敵は本当にオレ達を生きて返すつもりはなかったらしい。

「はぁ、くそが!」

「息が、苦しい。」

ブランドもマーナルディも限界が近づいている。

オレが部屋から奪う熱には限りがある。

オレは100℃のものを60℃するのは簡単だけど、60℃のものを30℃にするのは時間がかかる。

それ以上冷ますことはまだできない。

この部屋の温度は二人にとって致命的なままだ。

・・・使うならここしかない。

「ブランド!後は任せるよ!」

「チビ!何するつもりじゃ!」

「奥の手だよ!」

今が1か月の特訓の成果が試される時だ。

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