第5話 入学式
チャート領主創立 王国指定イージス高等教育学校
秋空の下、第12期新入生の入学式が行われた。
領主様への忠誠を誓い、晴れて学生と認めらたオレ達は
すぐに教室へと移動させられて自己紹介の時間になった。
「初めまして。ツオイス村村長ヨシサダ・ツオイスの次男、スヴェン・ツオイスです。
チャート領主に忠誠を誓い、この身をタナトリスへと捧げます。」
・・・よし!完璧だ!兄ちゃんに準備してもらった通り言えた。
「はい。よろしくお願いしますね~。それではスヴェン君の将来の夢は何かな~?」
先生がにこにこしながら相槌を打ってきた。
将来の夢か。将来の夢ならもう決まってる!
「はい!将来はタナトリス建国記にでてくる『物語の勇者』たちになることです!」
「お~なるほどね~。『物語の勇者』みたいに勇者や皆を助ける人になりたいってことかな~?」
「えっと、そうです!自分が『物語の勇者』になります!」
「そうね~。それじゃあ頑張んないとね~。」
次の人~。と自分の番が終わりほっと一息をついた。
うまく言えたかな?兄ちゃんはなんて言ったんだろう?なんて考えていると
周りがざわついているのに気が付いた。
「初めまして。イージス町町長メルガレア・イージスの息子、アレク・イージスです。
チャート領主に忠誠を誓い、この身をタナトリスへと捧げます。」
うわー!イケメンだ!。前世の学校と合わせて一番かっこいいかもしれない。
声も落ち着いててすごい。なんか勉強できそう!
「久しぶりだね~アレク君。そうね~、君の将来の夢を教えてくれる~?」
「はい。グレジオ先生。私は将来イージス町長となり、町民の皆さん。
そして町に関わる全ての人々を幸福にすることが夢です。」
「お~、すごいね~。アレク君しっかりしてるね~。」
じゃあ自己紹介は完了ね~。と先生が進行するなかオレは考えていた。
新入生20人のなかでオレのライバルはアレクになりそう。
自己紹介で聞いた限り新入生はオレみたいな村長の息子だったり、商人の息子だったりするみたいだ。
今年は領主のご子息がいないから、一番偉いのはイージス町の町長の息子アレク・イージスになる。
(パパは金持ちの順にだいたい偉いって言ってた。)
うーん。アレク勉強できそう。剣術とかどうかな。勝てるかな。
アレク以外の18人にも勝たなきゃ一番になれない。
頑張ろう!
「じゃあこれで入学式はおしまいね~。町出身の子は帰宅して、寮に住む子はついてきてね~。」
寮!ついに一人暮らしだ!兄ちゃんが同じ部屋の人とは仲良くしろって言ってた。
ちゃんとあいさつして、部屋はきれいにして、夜は早く寝て、朝早くおきて勉強する・・・
ってあんまり同じ部屋の人関係ないな?
「はい~君はここね~。仲良くしなよ~。最後にスヴェン君は~」
おっと、自分の番か。あと残っている人は誰だっけな。
「アレク君と一緒ね~。”しっかり”よろしくね~、期待しているわ~。」
「よろしく、スヴェン君。これから2年間助け合あおう。」
「あ、うん。よろしく、アレクく・・・アレク様?」
「いいよ、アレクで。」
「えっとでも、じゃあアレク君で!」
「そうかい。じゃあ改めてよろしく、スヴェン君。」
「よろしく。アレク君。」
ちょっと驚くことはあったけど、オレの学校生活はこうして始まった。
人物紹介
チャート領 領主様
バルト・クレイグニル・チャート
10代で貴族になり、チャート地方の開拓を任されたすごい人。
パパ曰く『時代に名を遺す傑物』らしい。
偉いって雰囲気がすごい人だった。男性。
先生
グレジオ・グレート
オレ達の担任の先生。語尾が伸びる。
博識で優しい。冒険者だったこともあるみたい。
女性・・・にみえるけど、男っぽい名前。