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第44話 祝春会 3日目ー確信ー

目が覚めてあたりを見渡すとそこには岩肌と鉄格子があった。

そういえば牢屋にいたんだった。


ミーシャが祝春会に合わせて何かをしようとしているなら、祭りが終わるころには町から居なくなってしまうだろう。

その前にここを脱出しないといけない。

・・・先生やパパには怒られるだろうけど。


とりあえず熱魔法を試してみる。

だけど結果は最初と同じで熱を溜めようとしたそばから、どこかに熱が吸われてしまう。

吸魔石に吸われているのだとしたらその魔力はこの牢屋の防御に使われていると考えるのが自然だろうか。


では先生やファラド様のようにものを行き来させる魔法を試してみる。

結果はダメダメだった。

ものが消えてものが現れるまでの間をどういう魔法、感覚で補っているのかが全くイメージできなかった。


じゃあダメ元でレイン様のようにテレポートを試してみる。

正直この方法がオレの中で一番マシなだと思う。

あの体がグニャっとなる感覚は良く覚えているからできそう。

・・・と思っていた時もあった。

何度が試してみて渦のようなものができる感覚はあったが、先生やファラド様が使っていた魔法と違う気がする。

何より牢屋に渦が吸われてしまうので形にできなかった。

うーん。他に方法はないだろうか。

ちょっと疲れたから少し休もう。



そんな休憩は人生初の地震に中断された。

びっくりした!こっちの世界では一度だって地震なんか起きなかったのに。

・・・いや、地震にしては短すぎるな。

上でなにかあったのかな?

そうするとここは地下なのか。そういえば先生の牢屋も地下にあった。

それにしても大きな揺れだった。

・・・なんだか嫌な予感がする。

しばらくすると小さく声が聞こえるようになった。

これは・・・悲鳴だろうか。

ダメだ。どうにか外に出ないと。

でもどうやって?

やれることは全部試した。

「ならオレの一番得意なやり方を全力でやるしかない!」

最近は魔法の制御ばかり気にしていて、全力を出そうとしたことはほとんどなかった気がする。

パパと戦った時も気持ちでは魔法を抑えようとしていた。

学校に入ってどれだけ強くなったか確かめるチャンスだ。

「先生、ファラド様。壊しちゃったらごめんなさい。ちゃんと謝ります。」


心臓に熱を集める。

少しすると熱は吸われていく。

でも何回か試してわかったけど、熱はすぐに消えてしまうわけじゃない。

だから吸われた熱が無くなる前にもう一度オレの体に引っ張り戻す!

「うぐぐぐぐ!!!・・・ぷはっ!」

引っ張り戻すことはできそうだ。

でも全身から熱が吸われるから、あっちこっちと引っ張り合うイメージが難しい。

うーん。何かお手本はないかな?

一番魔法が上手な人・・・はグレジオ先生。

先生は魔法をどう使っているのだろう。そもそも先生がどう魔法を感じているかも知らない。

授業の時は何本の風車を違う速度で回しながら、風車そのものを体の周りを周回させていた。

あれぐらい難しいことだって、やればできるんだ。


次に魔法が上手なのはファラド様だ。魔法を使っている所を見たことのある人の中では。

ファラド様は魔法の使い方を計算式で教えてくれた。

細かいことは忘れたけど・・・条件とか要素だとかを掛け算した結果が”やりたい事”になっていればいいはずだ。

なら条件は”オレ”×”熱”×”方向”だ。

・・・それはさっき試したのと同じになる?

違うか。”方向”を変えてみよう。

さっきは心臓に向けて真っすぐ引っ張ろうとして、意識が向いていない方向の引っ張り合いに負けた。

じゃあ次はこう、先生みたいに熱を体の周りを回しながら・・・だんだんと渦を巻いて心臓に集まるように・・・。

「これ、いけるかも!」

”方向”のイメージが簡単になって熱が”体”の周りに集まり出した。

そっか、熱は心臓から全身に送る。でも溜めるだけなら体の周りでいいんだ。

今回は体の周りでめいいっぱい溜めて、それから心臓に集めればいい。

「よし!いけるいける!」

熱が牢屋の中に溜まりだして、近くの飲み物や食べ物が熱くなっていくのを感じる。

もっといける。まだまだいける。

目の前の鉄格子を溶かして曲げられるくらいに!

「うおおおおお!!!曲がれ!!!」

溜めた熱を一気に心臓に集める。

その瞬間激痛がして頭が一気に白くなるのを感じる。

でも大丈夫。今オレは人生で一番熱い!

「ぜぇ、曲がれ!・・・曲がれ!!!」

全身全霊を込めて流し込んだ熱で鉄格子はぐにゃりと曲がった。

その拍子にオレはつんのめって地面に激突した。

「痛ったーーー!!」

腕と足をすりむいてしまった。

「でもまあ、やったよオレ・・・。」

ポキリと折れた鉄格子を見て、オレは笑った。

今本気でやりたい事を全力でやり遂げられると、そう確信した。

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