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第34話 両親襲来

「では皆さん~。グループワークの目標が変更になる場合はすぐに連絡してくださいね~。」

チャート領の状況を見て大人たちが考えた結果、今年のフィールドワークは町の中限定で行われることに決まった。

オレたちはアロナの発表に相乗りさせてもらうことが決まり、なんとか乗り切れそうな感じだ。

しかしオレは少し憂鬱な気持ちだった。アロナにトゲトゲ口撃される・・・ことが原因なわけではない。

「じゃあまた後でスヴェン君。よい結果を祈っているよ。」

「スヴェンさん。お話が終わったら呼んでくださいね。」

パパとママが町にやってくる。それが暗い気持ちの原因だった。



「スヴェン!見ないうちに背が伸びたわね!ご飯はしっかり食べてる?お友達はできた?先生の言うことはよく聞いているかしら?それからーーー」

「母さん!大丈夫だよ!元気だから!だから抱き着かないで!」

本当に恥ずかしい。やめてほしい。ギルドの皆が見てるから!

「お母さん。やりすぎるとスヴェンが縮んでしまうよ。」

「そうね。でもほんのちょっと見ない間に大きくなるのね。」

「今日は話があるの!先生もいるしちゃんとして!」

「スヴェン。そういえば今日は外出許可の話だったね。」

「そうだよ父さん。外出許可がないと町の外に出られなくなったんだ。」

オレはママから何とか脱出して服を整えた。

「こっちだよ。部屋で先生待ってるから。」


「担任のグレジオです。お久ぶりですね。ヨシサダ様、マーサ様。」

「スヴェンの父のヨシサダです。本日はよろしくお願いします。」

「母のマーサです。魔法の授業でタクチャーがお世話になったと伺っています。」

「ありがとうございます。タクチャーさんもお元気でしょうかーーー」

などと大人のあいさつが終わり本題に入った。

「本日はツオイス村の村長であるヨシサダ様に、イージス町の現状報告とそれに伴う生徒の外出制限についての説明をさせて頂きます。」

「ありがとうございます。ですが現状報告につきましては町長から説明を頂きましたので不要です。」

「承知しました。では外出制限について、現在学生未満の子供は外出禁止。学生は保護者の許可があれば門限つきでの外出が認められています。」

そうなのだ、このままでは冒険者活動でお小遣いが稼げなくなる。

これは大問題だ。なんとか説得して許可を貰わないと。

「対応として適切だと考えています。そしてスヴェンの父として、外出許可を出さない方針です。」

「待ってよ!それだと依頼受けられないし、町の近くなら結構安全だから!」

「スヴェン。今はお父様が話しているのですよ。静かにしなさい。」

「でも・・・オレ、狼だって倒したよ!オレとアレク君とメラニーで今パーティ組んでて、それで・・・」

「スヴェン、それが問題だ。お前が一人で依頼を受けたいと言うなら条件次第で許可してあげてもよかった。だがパーティならだめだ。」

「なんで!みんなと居た方が安全でしょ?アレク君もメラニーもすごいんだ!」

「スヴェン。あなたが狼を倒したとき、どうだったか忘れてしまったの?お母さんが聞いた話ではとても誇れる姿ではなかったようね。」

あれ、パパもママもなんで知ってるんだ?

手紙に怪我したことなんて書いてないのに・・・。

「スヴェンさん。以前大怪我をしたこと、そして前回魔法の制御ができずまた怪我をしたことはご両親に報告させて頂いています。」

「あ、そうなんですね・・・。」

困ったな。そうなるとオレがこの外套で怪我がすぐ治っただけなのも知っているのか。

「改めて聞くぞスヴェン。お前はまた何かあった時に、パーティの仲間に守って貰うつもりなのか?それだけならまだいいが、お前が皆を傷つけないと言えるのか?」

「それは・・・でも・・・。」

「言えないだろう。だからこの話はこれで終わりだ。外出許可は出さない。」

どうしよう。それは嫌だ。でもなんて答えたらいいのか思いつかない。

「スヴェン。あなたの為の冒険はパーティの為にならなきゃいけないの。それをよく理解してね。」

冒険者だったパパ、ママが言うのだからそうなんだろう。

これはどうしようもない。

「外出許可はしない旨、承知いたしました。ではこの後ーーー」

「待って先生!」

「スヴェンさん、まだ何かありますか?」

「父さん、母さん。チャンスが欲しい!さっきの答えはわからないけど、許して貰えるような何かを見せるよ!」

「チャンスか・・・我儘は変わらないなスヴェン。」

「あなた、甘やかしてはいけませんよ。お友達を怪我させるのは絶対にいけません。」

パパはちょっと考えている。ママは断固反対みたいだ。

どうしよう、もう一押し欲しい。何かないか・・・。

「・・・スヴェンさんの暴走はトラウマが原因ではないかと考えています。」

「先生。それの裏付けはありますか?」

「彼のパーティメンバーのアレクさんからそう伺っています。それに・・・私が担当した魔法の授業では不測の事態に対して決して攻撃的でなく、冷静に判断できた実績があります。」

「ありがとう先生。でもスヴェンは訓練で出来て、実戦で出来なかったわ。どちらが重いことか明らかです。」

先生がオレの後押しをしてくれている。

・・・ここはちゃんとするとこだ。

オレがみんなと冒険できるように、パパとママに認めてもらわなきゃいけない。

「お願いします!一度だけチャンスをください!」

部屋が静まり返る。・・・ダメだったかな。

「いいだろうスヴェン。一度チャンスをあげよう。」

「ダメよ!また怪我したら・・・今度は取り返しがつかないかもしれないわ!」

「それはいくつになっても変わらないよお母さん。冒険者として生きるならね。」

「ありがとうお父さん。」

「ああもう・・・勝手にして・・・。」

ママは頭を抱えてしまった。

心配してくれてありがとう、ママ。

「試験の内容は当然簡単ではない。いいな。」

「・・・大丈夫!」

「では学校の演習場を借りようか。先生、手配できますか?」

「問題ありません。すぐに手配します。」

「えっと、何をすればいい?父さん。」

「簡単だ。父さんと戦って貰う。」

父さんと戦う?・・・昔も冒険者だった、いや今も冒険者ではあるけど。

外に出て戦っている様子は見たことがない。

ママが狩りが上手なのは知っているけど・・・剣士?魔法使い?それとも知らない何かか?

「わかった。でもオレも強くなったよ父さん。」

「手は抜かないからな。気を引き締めて取り組むように。」

オレたちはギルドを出て演習場へと向かった。

よし・・・やるぞ。オレはスヴェン・ツオイス。将来『物語の勇者』になる男だ。

人物紹介

ヨシサダ・ツオイス

ツオイス村のギルドマスター。(総職員1名)

ママと昔パーティを組んで冒険者をしていた。

小さな村なので実質的な村長をしている。


マーサ・ツオイス

狩りと料理が得意な村人。

パパと昔パーティを組んで冒険者をしていた。

弓が得意で森で仕留めた獲物を酒場で振舞っている。

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