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第26話 仕事!ご飯!

「スヴェン君、朝だよ。」

「おはよーアレク君。」

ああ、眠い眠い。

アレク君に起こされるってことは何かある日だ。

「今日は当番の日だよスヴェン君。準備ができたら役所に行こうね。」

「あーそうだったね。すぐ準備しなきゃ。」

水で雪を溶かそう作戦はうまくいったようで、あの日以降オレたちが早起きする必要はなくなった。

「体の調子はどうだい?今日の当番も問題なさそう?」

代わりに週に何度か当番として役所に呼ばれることになった。

当番とは”魔鉱石に魔力を込める当番”のことだ。

「大丈夫だよ。今日も元気だ。」


準備を終えて寮を出ると、今日も元気に働いているパイプとこんにちわした。

幸いオレの思い付きは効果があったようで、水が降る雪を溶かし続けている。

冬に道路を見れるなんて・・・今まで頑張ってたな、オレたち。

道路の水が東門の方へ不自然に流れるのはちょっと慣れないけど、いつか慣れるだろう。

「こんにちわー!当番で来ました!スヴェンです!」

「あーどうも!今日も悪いね!」

職員さんとあいさつをして奥に案内してもらい、オレとアレク君は魔鉱石の部屋にたどり着いた。

「いやーほんと悪いね!スヴェン君は元気で助かるよ!」

「えと、自分でも不思議なくらいです。」

「職員一同、君のお父さんとお母さんに感謝しなきゃ!」

後はよろしくと職員さんは戻ってしまった。

よし!やるかー!

「アレク君!細かいところよろしく!」

「いつも通りだね。任せてよスヴェン君。」

熱魔法の準備だ。

まず心臓に熱を貯める。そして部屋全体に熱を薄くのばして広げるイメージ。

そうすると魔鉱石に熱が吸われる感覚があるから、より強く吸われるところに熱を送る。

後は同じ状態をしばらく続ければ終わりだ。

「スヴェン君。手前の魔鉱石に魔力が偏っているよ。」

「あ、ごめんよ。少し気を抜いてた。」

気を抜くと熱を込めすぎてしまうから、アレク君が全体を見て調整してくれる。

「しかしすごいねスヴェン君は。普通はこの量の魔法・・・というか魔力を開放していたら辛いし、しばらく動けなくなるのが普通なのに。」

「レイン様からの贈り物のおかげだよ。体の空の部分に外套から魔力?エネルギー?が流れてくるんだ。」

「それでもだよ。スヴェン君は体の中に受け入れられる魔力量とスタミナがすごいんだ。」

「うれしいけど・・・でっかい魔法は全然使えないんだよなー。」

この依頼を初めて受けたとき、アレク君はこのことに気が付いて教えてくれた。

なら熱魔法を一気に使えないかな?と思い演習場の雪山に打ち込んでみたけど、心臓がビリビリして死にそうになった。

アレク君が言うには、オレは一度に使える魔力量は少ないらしい。

そうなるとでかい魔法をドカンと使うよりも、小さい魔法をずっと使う方が向いている。

つまるところ今回の依頼はオレ向けだ。

「体が大きくなれば使えるようになるよ。・・・僕もスヴェン君と同じ才能があれば役に立てるのにね。」

「アレク君も体が大きくなったらできるようになるってことで!」

オレがアレク君に負けていないのはこれくらいだから、正直できないでほしいけど・・・。

アレク君なら時間の問題だろう。

「ありがとうスヴェン君。・・・よし。よし。後その右奥の魔鉱石で完了だね。」

「オッケー、これで終わりだ!」

依頼の完了を職員さんに伝えて報酬を貰い、今日の依頼は完了した。

その報酬額はなんと当番1回で金貨1枚!早朝から走り周っていた時よりも高い!

こんなに貰ってしまっていいのだろうか。前世は月500円がお小遣いだったのに。

今はお金がありすぎて使い方に困ってしまう。

「冬の間に結構貯められそうだねスヴェン君。」

「そうだね。でも何に使えばいいだろう?ご飯はいつもお腹いっぱい食べてるし、服も新しいの買ったし・・・。」

「特別使い道が無いなら貯めていたら?春はお祭りもあるしね。」

ん?その顔は前もみたことがある。

冬の魔法授業を勧めてきた時の顔だ。

ということはオススメは決まっているのだろう。

「アレク君がそういうならそうするよ。」

オレは黙ってアレク君の言う通りにすることに決めた。


寮に帰る途中、オレたちはランニングしているメラニーに出会った。

「アレクさん、スヴェンさん!奇遇ですね。こんなところで会うなんて。」

「すごいねメラニー。休みの日も走ってるなんて。」

「いえ、雪かきが無くなってやることもないので。」

「つまり暇ってことだね。・・・あ!それなら今日お昼ご飯食べに来なよ!」

「スヴェン君。メラニー君にも都合があるだろうし、予定を聞かないと。」

「大丈夫ですよ。うちは大量に作って貰うので一人分くらいは誤差です。」

「そうなんだ!じゃあ寮で待ってるね!」

「わかりました。ではコックに伝えてきますね。」

メラニーは家の方に走っていった。がんばってるなー。

「スヴェン君。料理も決めてないけど、アイデアはあるの?」

「あ、えと、冬にピッタリな料理がいいと思う!」

「例えば?」

「実はね・・・一つ最強の冒険者ご飯を知っているよ!」

「それは初めて聞いたね。詳しく聞かせてよ。」

「じゃあ早速材料を買いに行こう!」

オレたちは商店街の方に向かって歩き出した。


「おー坊や達!今日は3人だな!」

メラニーと合流した後、オレたちはギルドに向かった。

「ナナリさん。今日もお元気ですね。」

「調理場貸してください!」

「お邪魔します・・・。」

メラニーはまだギルドに慣れないようだ。

「いいぞ!スヴェンの坊やは最近頑張ってるしな!ギルドも儲かってるから特別だ!」

ナナリさんは声が大きいからこういう時すごい助かる。

今も『ねぇ~!坊やが調理場使いたいって~!いいよね~!』と一声で済ませてくれている。

「いいってさ!その代わり料理ができたら私にも分けてくれ!」

「ありがとうございます!また後で持ってきますね!」

許可を取ったのでササっと調理場に移動する。

さて料理の準備をするか!料理するのはアレク君だけどね。

「なんというか・・・大胆ですね冒険者ギルドは。」

「僕達は何度も調理場を借りているんだ。寮には器具無いし火も使えないからね。」

「冒険者なんてこんなものだよメラニー。・・・じゃあ料理開始だ!」

今日作るのは『辛味噌のお吸物』だ。

材料は唐辛子と味噌と干し物だ。

作り方は簡単で沸かしたお湯に材料を入れるだけ。

ママのレシピだと干し物はカラカラのお米と果実(甘くないやつ)だった。

お米を入れると雑炊になってお腹いっぱいになれる。

「基本はスヴェン君のレシピ通りに作るけど、少しだけアレンジさせて貰うよ。」

アレク君はそういうと何かを入れていた。

よくわからないけど任せておけば大丈夫だろう。

「できた。完成だね。」

「アレクさん、ありがとうございます。結構早いですね。」

「冒険者ご飯は手早くおいしいがモットーだよ!」

アレク君から手渡されたお茶碗には丸いものが2種浮かんでいた。

「アレクさん、この丸いのは何でしょうか?」

「これは黒餅と魚のミンチ肉だね。」

ほー、つみれ汁になったわけだ。おいしそうだ。

「メラニー、黒餅は柔らくしてから食べるんだよ。」

「はい。・・・実は黒餅は初めて食べます。」

「意外だね。軍の携行食でもあるから食べ慣れたものだと思っていたよ。」

「兵士の皆さんは訓練で食べますが・・・。町では美味しいものがいいと食卓にはでないのですよ。」

「それはそうだね。黒餅も黒パンもそのまま食べると最悪だしね。」

少し話をして黒餅が柔らかくなるのを待つ。熱々の汁がいい感じ冷めてきたら食べごろだ。

もうそろそろ大丈夫かな?

「じゃあ、食べようか!」

「「「いただきます!」」」

オレたちはつみれ汁を味わって食べた。おいしい!さすがアレク君!

「おいしいね。でも魚は冒険には持っていけないよ?」

「現地調達もあるだろうからね。今回はその想定で作ったんだ。」

「そうなんですね。アレクさんとスヴェンさんは冒険者になるのですか?」

「オレはそうだよメラニー。アレク君は・・・どうなの?」

「今は決めてないよ。可能性は沢山あった方がいいからね。」

「色々考えているのですね。尊敬します。」

ちょっと感想会をした後、最初に食べ終えたオレはつみれ汁をナナリさんに持っていくことにした。

黒餅も十分に柔らかくなっているし食べやすいだろう。

「ナナリさん!料理持ってきました!」

「あー、ありがとう!今食べるから頂戴!」

ナナリさんは何かの資料とにらめっこしていた。

また何か問題があったのだろうか。

「ふごふごふごふご!ふごふご!」

「よくわかんないです!」

食べてから話してくれ。聞こえないしきたない。

「ウインドベアの親玉を見たって報告があったんだ。」

「ん?でもそれってレイン様が倒したって。」

「そうなんだよ坊や!でも実はレイン様への依頼はチャート様直々の依頼だから、結果がどうかは聞かされていないんだ。」

「うーん。レイン様が失敗したなんて思えないけどな。」

オレは死にかけたけど。でも先生の様子からミスしたなんてあの時が初めてだったんだろう。

レイン様が倒したと言ったなら倒したはずだ。

あ、でも前ポーション作りの時にアロナが『ウインドベアの親玉の材料が出まわったら買う』と言ってたな。そうなると何が本当だろう?

「関係ない話してごめんよ坊や。料理ありがとう、美味しかった。」

気になる話だ。アレク君に詳しく聞いてみよう。

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