第17話 初めての実習授業
「今日は久々に全員揃いましたね~。先生うれしいです~。」
何の怪我したのー。治るのはやーい。さぼりー。
などなど色々やじを飛ばされながら授業に復帰した。
授業を休んだのは2日間なのでそれほど遅れてはいない・・・よね?
「今日は初めての実習ですよ~。さあ3人組を作ってください~。」
3人組かー、アレク君とあと一人誰にしようか。
演習組とはしゃべるけど、他の人とはあんまりなんだよな。
「スヴェン君、よかったら僕ーーーーー
「アレク様!一緒に組みたいです!」
「アレク様!私とも是非!」
あ、一瞬で人だかりができてしまった。
こうなるとオレが割って入るのは・・・無理。
しまった、そうなるとオレひとりぼっちか?
「ツオイスさん。僕と組みませんか?」
よかった。声かけられた。
「えと、ありがとう。オレひとりだったから。」
演習組のメラニーだ。背が高くて細いやつ。
「僕は2人で・・・あ、アロナさん!もう1人見つけましたよー。」
うっ、アロナか。まぁ、誘ってもらったし。しかたがない。
「わかった。・・・え、スヴェンか。いいけどちゃんとやってよ。」
「いつもちゃんとやってるよ?!」
「お願いね。私の入ったところは模範チームだから。」
「模範チーム?なんなのそれ。」
「そうか、ツオイスさんは今日は薬学のポーション実習って知らないのですね。」
「ポーション実習?」
薬学実習ではないのか。有名な小説では名前が魔法薬学で嫌味な先生が教えていたけれど。
「そうです。今日はアロナさんが模範生としてポーション作成を教えてくれます。ラッキーですね。」
「ああ、うん。それはラッキーだね。」
「ちょっと、この机運んでくれる?時間があるうちに準備しちゃうから。」
メラニーと一緒に机を運んだり薬草をチームごとに配ったり。
オレ達の準備が終わるころにはアレク君争奪戦は終わったらしい。
勝者は・・・おお、先に声をかけた2人か、おめでとう。
これから先、誰が一番最初に声かけたかでもめるんだろうなー。
「はい~。では三人組もできたところで実習に入ります~。」
やっと始まった。最初はいつも通り先生の説明からか。
「ーーーというわけで薬草学の中でもポーション作成は特別な意味を持ちます~。冒険者にとっては『パンとポーションは持ったか?』が旅の前のあいさつになるくらい大事なのです~。」
へー。薬草はそのまま食べても効かないけど、ポーションにするとすぐ効くのかー。
確かにポーションは飲んですぐ治る感じあるよな。
「では本日の模範生のアロナさん~。今日の実習は何をするか教えて頂けますか~。」
「はい。今日は回復草を煮込んで回復ポーションにします。」
「回復草の特徴と回復ポーションの効果を教えてください~。」
「はい。回復草の大事な成分は水に溶けやすいです。回復ポーションはそれを煮詰めて濃くしています。また体に早く取り込まれるように他の材料を混ぜます。」
「素晴らしいです~。では最初は先生とアロナさんで作るので、皆さんよく見ていてくださいね~。」
えーと、草を切って、煮て、草を取り出して、他の材料を入れて、水が減ったら止める。
よし覚えたぞ。
「・・・あら、皆さん眠そうですね~。ちゃんと見てないとポーション作れませんよ~。」
周りをみると何人か寝ていた。もちろんオレも眠い。
1時間ぐらい鍋がぐつぐつしてるの見てるだけだし、正直暇だ。
「さて!これで最後ですよ~。最後に瓶に詰めたら完成です~。拍手~。」
拍手がパラパラとなり、寝ていた子も目が覚めたようだ。
「では今から鐘が鳴るまでにポーションを作ってください~。一番よいポーションを作った組には、豪華な景品がありますよ~。」
豪華な景品かー。何かはわかんないけど、とりあえず勝つ!
「じゃあ開始です~。」
「メラニー、スヴェン。話は聞いてたみたいだからできるよね。」
「もちろんです。ちゃんと聞いてました。ね?ツオイスさん。」
「うん、聞いてた。あとスヴェンでいいよ。」
「わかりました。スヴェンさん。」
メラニーは話し方丁寧だよな。あといいやつだ。
「じゃあ回復草切るところから。やってみてメラニー。」
「はい、では早速。」
トントンとリズミカルに回復草が刻まれる。
なんだか心地が良い。
「うーん。まあいいかな。じゃあ次、スヴェン。」
「よし。やるか。」
回復草を切るんだよな。ザクザクーっと。
「え、スヴェン。何見てたの?」
「あ?え?回復草を切ってるんだけど?」
「葉は刻まないのよ。メラニーも切ってなかったでしょ。」
「そんな説明あった?!」
「見てればわかるし、『葉の成分が混ざると苦いですよ~』って先生が言ってたでしょ。切るなってことよ。」
ちらりとメラニーをみると、そうだねって顔をしている。
オレが・・・悪いか?
「先生はわざと言ってないのよ。寝てるやつは苦いポーションができるわね。」
オレも寝てるやつと一緒ですかー。そうですかー。
「スヴェンは雑なのよ。次は”煮る”ね、メラニーからお願い。」
「わかりました。では始めます。」
次はちゃんとやるぞ。えっと火をつけて・・・草を鍋に入れて・・・。完了。
うん。できるできる。
「まあまあね。じゃあ次、スヴェン。」
「まず草を鍋に入れて。」
「ああああああ、もうなんで?!なんで水の時に入れちゃうの?」
「・・・そんな説明あった?」
「・・・わかったわ。ほらここ、書いてあるわ。」
「えーと。『回復草を効果的に煮るには人肌くらいから投入するとよい。』」
「書いてあるわね?」
「えー、うーん。」
「まあまあ、アロナさん。あまり怒らずに。」
「怒ってないわよ。雑なやつだって知ってるもの。」
オレが・・・悪いとして、ほんとにトゲトゲしてるな。
むかつくけど、このままだと負けだ。
負けて終わるのは絶対ダメだ。
「もう1回やるよ。どうしたら完璧なの、アロナ。」
「もう時間ないわよ。苦くてもいいから瓶詰めまでやりなさいよ。飲まなきゃいいんだし。」
それはそうだ、だけどそれだと負けだ。
「実は僕、もう一回やりたかったんですよ。よかったらスヴェンさん、一緒にやり直しませんか?」
「ありがとう、メラニー。」
「もしかして提出しない気なの?私は関係ないからいいけど。」
「後で持っていくよ。先生は受け取ってくれる。・・・多分。」
「はぁ、じゃあ最初からね。」
「ありがとうございます。アロナさん。」
「・・・お願いします。アロナさん。」
「アロナでいいのよ。呼び方なんで関係ないわ。」
次は勝つぞ!オレはオレに勝つ!
「あら~。鐘が鳴ってしまいましたね~。」
鐘が鳴り実習が終了した。
周りを見てみると、オレ達以外の組は瓶詰めまで終わっているみたいだ。
「はいでは回収しますね~。」
先生がそれぞれの組を回って評価とアドバイスをするようだ。
アレク君の組は・・・完璧です~。かな多分。
最後はオレ達の組だけど。
「あら~。もしかして作り直してますか~。ダメですよ~、景品は鐘が鳴るまでに作ったもので判断しますからね~。」
「えと、わかってます先生。でも作り終わったら持って行きます。」
「・・・そうですか。では満足するまでやってみてくださいね~。」
ちょっと嬉しそうだ。怒ってなくてよかった。
「安心しましたね。スヴェンさん。」
「うん。ごめんね、巻き込んで。」
「さっきも言った通り、僕はこういうの好きなんですよ。」
「しゃべってないで手を動かして。特にスヴェン。」
「はい。アロナ先生。」
「ちゃんとやれ。」
今日の実習はもうちょっとかかりそうだ。
人物紹介
メラニー・ベール
背が高くて細い。肌は少し黒っぽい。
話し方が丁寧でいいやつ。




