第16話 ポーション屋の娘
ポーション屋の娘、アロナ・カウント。
オレのクラスの一人、だけどあんまり話したことない。
「お帰りなさいアロナ。お友達がいらしてるわ。」
「おばあちゃんただいま。・・・それで何の用で来たの?ポーション買ったの?高いよ?」
「アロナさん、僕たちは薬草採取の報酬を貰いに来たんだ。もちろんポーションも頂いたけどね。」
「へー、この前の薬草はアレク君が採ってきたんだ。意外。」
「あの薬草を採ってきたのはスヴェン君さ。」
「ああ、そうなんだ。なら納得だね。」
「なんでオレだったら納得なの?村出身だから?」
「え、そうじゃないけど。なんというか。」
なんとなく言いにくそうだ。
あんまりいい内容ではなさそうだけど、気になる。
「教えてよ。気になるし、怒んないよ。」
「え、うーん。一言でいうと、雑。」
「雑?薬草の採り方がってこと?」
「そう。回復草の特性をよくわかってないで雑に刈ってきたでしょ。」
「・・・考えてはなかったね。」
「雑に採るなら根っこごと抜いてきて、葉っぱも取らないでね。」
「ちゃんとやるなら?」
「根元5スラメトル上を刈って、刈口を袋で覆って縛るの。」 ※5スラメトル=5センチ
「それはどうして?」
「回復草の成分は水に溶けて出て行っちゃうの。空気中の湿気にもすぐに持って行かれちゃう。」
「へー、詳しいね。次はそうするね。」
「うん。根っこからでいいから。」
あれ?期待されてない?冒険者って雑だから誰もちゃんとしてくれてないんだろうな。
「アロナ。お客様にあんまり失礼なこと言うんじゃありません。」
「はーい。じゃあ次はよろしくね、スヴェン君。」
・・・なんというか、ちょっとバカにされている感。
違うか、認められていないのか。職人にありがちなタイプに見える。
それはそれとしてむかつく。
「ごめんなさいね。アロナはあんまり友達と遊ばずにポーション作りの練習ばかりしているの。」
「えと、大丈夫です。」
「あんな子ですが、どうか仲良くしてくださいね。」
「もちろんです。ね、スヴェン君。」
「うん。仲良くします。」
「お二人ともありがとうね。それに薬草採取の方も期待しています。最近は薬草採取を受注してくれる冒険者も減っているのですよ。」
「どうしてですか?」
「推測だけど、最近森に現れた大型の魔物の影響だろうね。」
「よくご存じで。森の浅い所にも狼が出始めたという話で・・・割に合わないと引手がないのです。」
「それならレイン様が魔物を討伐したはずだから、もう大丈夫だと思うけど。」
「そうだねスヴェン君。狼退治の方もあの後人数をかけて森の奥に追い返したんだ。だからもう銅クラスの冒険者であれば大丈夫なはずだね。」
「そうであればよいのですが。噂は残るものですから・・・。」
その後少し話をして、今度こそオレ達はポーション屋を後にした。
「スヴェン君。僕はうれしいよ。」
「なんで?いいモノ買えたの?」
「スヴェン君が冒険者を辞めないつもりに見えるから。」
「辞めないよ。『物語の勇者』になるから。どうして辞めると思ったの?」
「あんな大怪我の後、同じ依頼を受けてくれなんて言われたら普通は断ると思うんだ。スヴェン君は嫌な顔しないで受けると言った。君は勇気がある人だ。」
「ありがとう?」
普通は断るし冒険者辞めるのか。考えたことがなかった。
ん?それって考えてないおバカということなのか?
アレク君に限ってそんなことはないか。ほんとに褒めてくれていると思う。
「カウントおばあさんはオレが怪我したって知らないだろうし、断らないよ。」
「そうだね。次は僕も同行するよ。さっき回復草の採り方を教えてもらったしね。」
アレク君がいると楽だな。オレが忘れていても教えてくれるだろうし。
・・・ってダメだ。一番はどうしたんだオレ。後でメモだ!
えっと、根っこから抜いてくるんだっけか。
・・・・・・アレク君から聞いてメモしよう。
明日からはまた学校だ。
人物紹介
アロナ・カウント
クラスの女の子。ポーション屋の娘。
すこしトゲトゲしている。
オレは認められていないように感じる。
アレク君は認められているみたい。
カウントおばさん
ポーション屋の店主。
この道40年の大ベテラン。この町一番のポーション職人。
やさしい。




