第13話 オレの魔法
「はなせ!どけっ!きえろ!」
痛いよ、パパ。助けてよ。
寒いんだ、ママ。あったかくしてよ。
・・・ここで死にたくないよ、兄ちゃん。どうしたらいい?
教えてよ、お兄ちゃん。いつもみたいにーーー
『スヴェン、魔法は奇跡じゃないんだ。知ってるか。』
『・・・知ってる!』
『・・・つまり知らないな?』
『知らない!』
『困った奴だお前は。・・・魔法は世界のどこでも決まった動きをするんだ。』
『なんで?!』
『なんでだろうな?気になるから兄ちゃんは、それを研究するんだ。』
『・・・ふーん。』
『でも実際、魔法は感覚で使われてる。そこも興味深い所だ。』
『ふーん。』
『スヴェン。魔法のきっかけは、”何を”、”どうしたいか”だ。』
『うぅん。』
『スヴェン、お前は魔法を使えるようになる。だから”ちゃんと”覚えとけよ。』
”何を”か。狼が嫌?足が痛い?・・・体が寒い?
”どうしたいか”って、嫌だよ、死にたくないよ。・・・寒いのは嫌だ。
あったかくなりたい。オレ、あったかくなりたいよ。兄ちゃん。
心臓が熱くなる感じがした。
手も足も頭も熱くなる。
そしたら目の前の白いのがすっと無くなって・・・
別の狼が噛みつこうとしているのが見えた。
オレは左腕で体をかばった。
「ぎゃん!」
狼が大きくのけ反った。どうしたんだ?
ああ、オレ熱いのか。
そうか、だったら、もっとだ。
もっともっと限界まで!
「ぎゃううう!」
狼が苦しむ声が聞こえる。
ははは、まだ限界じゃない。
お前らも、まだ、いけるだろ!
「うらぁぁぁぁ!!!!!」
肉の焼けるにおい。木が燃えて爆ぜる音。
なんだかもう眠いや。
でもまだ、夜ご飯食べてないな。こんなにいい匂いがするのに。
「ママ。ご飯、まだ・・・」
オレはそこで力尽きた。




