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第4話

 最近お受験モードと同時に色気付いてキテるのはあたいだけじゃないみたい。りんこはついにたけしくんに告白して付き合い出したって。りんこ、積極的だなー。あたいは紫明くんにはお色気作戦が効果てきめんな筈だからお色気を磨きたいのに身体が付いてこないんだ。あ、紫明くん帰っちゃう!


 タッタッタッ


 追いついて後ろからワイシャツの裾をつまんでやる作戦だ。幸い誰も居ないから頑張れあたい。


 あっ、バナナの皮!ツルっ、ズシャア


 ヘッスラで追い越しちゃった。

「緒川さん、大丈夫かい?」


 倒れたまま平静を装い仰向けに向き直る。

 

「うん、大丈…、」「ブーッ!!!!」


 あれ?紫明くん、鼻血?


 きゃっ、ヘッスラの摩擦でブラウスの前が全開、コケた衝撃でホックが外れたブラがブラ下がってあたいの恥ずかしい貧乳は丸出し。あ、後ろから知らない男子達が歩いて来る。絶対絶命!? 

 

 ドサッ


 紫明くんがあたいに覆い被さって倒れ込んだ。ちいさいあたいはすっかり紫明くんに隠れて見えない。


「お、双葉っち。なんで廊下で寝てんだ?」


「ああ。最近すっかり初夏の陽気じゃないでショカ。廊下の床はひんやり冷たくて気持ち良いんだ。君たちも一緒にどうだい?」

「相変わらずぶっ飛んでんなあ。他の奴らに見られる前にやめたほうが良いぜ」

「ご忠告ありがとう。良い放課後を」

 紫明くんが右手を肘から上げて手を振ると、彼らは歩き去った。

 彼らが階段を降りるのを確認すると紫明くんは身を起こし、「今のうちに早く!ボタンを留めて」いきなりの密着、ドキドキよりもあたま真っ白でぼーっとしてるあたい。

「もう、仕方ないな。僕が留めてあげるから、その…、ぶ、ぶ、ぶらじゃーずり上げてくれないか?いや、見てないよ!かわいいちくびだなんて、思ってないんだっ」


 そうこうしてるうちにスケバン京子たちのグループの声。また覆い被さる紫明くん。


「おう、カイチョーさんじゃねーか。こんなとこで寝て、どーした?」

「バサロの練習をね」

「そりゃあ酔狂なこった。プールでやりな」


 また紫明くんが肘から上げて手を振ると、スケバンたちは歩き去った。


 そんな事が5回繰り返された。

 

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