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第2話

 朝はトーストにバター、ゆで卵と生のお野菜。で、牛乳をぐびぐび。あやかの毎日はそこから始まる。ゲップが出る程牛乳を飲んだって、背も乳も大きくならない。二度と戻らない青春。あたいは今すぐあいつをはわわさせたいんだ。きっとあのマスカキザル、あたいみたいなチビっ子より、セクシーな女に弱いから。だって、いっつも目で追ってるんだもん。ずっと見てるからわかっちゃうんだ。


 あ、牛乳飲んでたら遅刻ギリだ。ダッシュ!ギリギリバスに乗り込み、気になるあいつを認める。あたいは安売りしないんだ。プイ、と顔をそむけてやる。信号でバスが止まる。


 ドドドド、ズシャア。


 あら、あたいったら、吊り革とか掴まってなかったてへ。

 将棋倒しみたいに数人巻き添えに運転席の方までつんのめってぶっ倒れたあたい。あいつにぱんつ見られなかったろうか?

今日はラスカルのバックプリントだ。やばい。


「緒川さん、大丈夫?」


 振り返ると、変なマッシュルームみたいな半端ロン毛が手を差し伸べる。


「もう、ルーティンだね。今日はラスカルだね」


 ビシィ!


 あたいは反射的にあいつの頬をスナップ利かせたビンタした。


 そんな毎日。だから毎朝あいつの右頬にはあたいの全力ビンタの跡が赤く残ってる。昼休みくらいまで。  


 双葉紫明。おかしな名前のあいつは生徒会長の優等生。くやしいけど、大好きだ。ちょっと陰があって、無表情だけど笑うとめたくそかわいい。あたいはあいつだけのエロテロリストになりたいんだ。何故ならあいつはきっと世界一エロいから。


 けれどいちばん心配なのは、ブラのサイズが合ってなくて、ドジなあたいがコケるたびホックが外れて場合によっては貧乳を公衆に晒す危険性がある事だ。


 べちん、ぺろん。


 あたいは紫明くん以外に見せるつもりはないんだ。紫明くんになら知られても良い。むしろ嬉しい。そしたら偽善的な紫明くんは、きっと不特定多数のエロい視線からあたいを守りつつ、ちらと覗き見して興奮するんだ。


 きっとそうだ。


 あれ?で、なんだっけ?

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