理想と夢
人差し指で きみは透明な摺りガラスに指を侍らせていく
どうせ水滴が流れて無残に消え去るはずのその線こと 目の前の君の夢だったんだ
さいしょに書いたのはリンゴとかバナナのような果物
それであってる?と尋ねたら 君は振り返りもせず微笑うの
『これはずっと生えてくるバナナ』『これは世界中の生き物が大好きなりんご』『果汁が溢れ出るメロン』
ボクがこれは?と聞けば 君はずっと説明してくれる
こんなもんないよ、と僕が冷めた声で呟くと 君はなくてもワタシはこの窓ガラスに描ければできると云う
無限のものなんてない そんな都合のいいものなんてない
ボクが絶えずそんなことをブツブツ言っていたら、きみは鏡に両手をぴったりくっつけて 描いていた絵を消してしまった
果物の他に てを繋ぐ幼子の絵も小さくかかれていたけど それも消えてしまった
そして数年後。 それぞれの道をあるいた僕たちには 食料がもらえなかった
子供でもあの技術を作るという興味を持っていれば…いれば…
どこかで 正しい道に戻れたのだろうか?
きみがどこにいるかは知らない
きみは私にだけ夢を打ち明けて どこか遠くへ遠くへいってしまった