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最強で最高な二人〜中途霊媒師コウとユキ〜  作者: 麻木香豆
第十四章 延長戦② 追いかけてはいけない
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第五十七話

由貴の運転で〇〇町の坂付近に行く。近くのコンビニに車を停め早速2人は現場検証をする。坂は車は通れない歩道。看板には通学路の看板がある。

「車通りは激しいな。坂もそんなに急ではないが勢いよく走って躓いたら怪我はするがタイミングが悪いとーコリャ車道に転がって事故って死ぬな」

コウはそう言いながら坂を何度も見る。とくに幽霊の気配もなさそうだ。


「白いのって……一応渚さんにも書いてもらったんですけど」

由貴はメモ帳の絵をコウに見せた。コウはいつも身につけているサングラスを上げてその絵をまじまじと見る。

「白い綿?」

「綿と言うかこういうもふもふなマスコットらしい」

「マスコット……ねぇ。どう見ても綿……」

「それ渚さんに言っちゃダメだよ」

「由貴、渚さんにほの字だろうけどさー素直に言うことも大事だと思うよ?」

由貴は好きな人が馬鹿にされて少し嫌なようだ。

「はぁ……でも、僕……渚さんが怪我する原因になったこの綿……白いコイツの原因を解明したい!」

「由貴だって綿って思ってるんじゃん」

「だーかーらっ!」


すると坂の上から


「ああああーっ!」

と叫び声がしたのだ。


コウと由貴はみえた。



「綿!」





坂から転げ落ちてきたのは女子高校生。コウと由貴はその白い綿が確かにみえた。


「大丈夫?!」

由貴はその女子高校生をガシッと抱き抱えた。

「……ありがとうございます……いたぁっ」

「怪我はしてないようだが念のため病院に行きましょう」

「大丈夫です。それよりもさっきの白いふわふわ……」

この女子高生にもみえた謎の白い綿。


「どの辺りから追っかけたんだい?」

「うーん、なんかあのあたりかな。可愛く動く綿があって……可愛いなぁと思って追いかけたらそこの根っこのところに足を引っ掛けて転げ落ちちゃった……こんなに坂じゃないのに、おっちょこちょいだなぁ私」


そういう女子高生にコウと由貴は顔を見合わせた。

「……渚さんと同じく自虐的」

「え? なんですか?」

コウはどきりとした。

「いや、何でもない……それよりも白い綿の噂は聞いたことあったか?」

「……はい、追いかけてはいけないって。でもいけないとか言われると追いかけたくなるじゃないですか」

「まぁそうだけど……」

「可愛かったし。でももう見えても追いかけません」






「つい追いかけてしまった、危ないって噂に聞いていたのに……でも渚さんは知らなかったけどつい追いかけてしまった……」

女子高校生は電話で親を呼び2人は事情を話したが見知らぬ男2人で1人は全身黒ずくめでサングラスのスーツ、もう1人はやぼったい服装のため怪しまれたが女子高校生が助けてもらったのと説明をしてことなきを得た。


「なんか不思議の国のアリスみたいだなぁ、ウサギを追いかけたらメルヘンワールド行き……」

「でも転んだら怪我したり、危うく事故になりかねん。にしても俺らがいても綿は出てこない」

「怪我した人とか絡んだ人たちの共通点を調べるしかないな」

先ほどの女子高生と渚の共通点を頭に思い浮かべると女性であること、小柄であることくらいである。


「でも渚さんってアラサーだけど童顔だから高校生に見える」

「……由貴、お前もそう思ってたか。本人は喜ぶか知らんけど」


2人は坂を上る。途中先ほど転んだ女子高生と同じ制服を着た生徒達が下る。


「髪型も自由になったもんだなぁ」

「茶髪にしたら全校生徒の前で説教受けて白髪染め渡されて染めさせられてたもんなぁ……」

「多様性ってやつ? スカートじゃない女子生徒もいる」

すると2人は足を止めた。目の前には生徒達が通う女子校があった。


夕方、喫茶店に戻ると営業も終わりコウと由貴は片付けを手伝った。

「どうでしたか、なにかいましたか」

マスターは渚から事情を聞いていたようだ。

「ええ、渚さんが描いた通りのものが」

とコウがメモを見せると渚は顔を真っ赤にして取り上げた。


「本当にこんなのだったんです」

「えあえ、たしかに……でもなんだったのでしょう。そういえば渚さんはあの坂の上の女子高出身でしたっけ」

「はい、今日はあの高校の生徒さんで学園祭でカフェをやりたいということで先生とお話ししてきたんです」

コウはなるほど……と。するとマスターが奥からアルバムを持ってきた。渚はまた赤面して隠そうとするがマスターはにっこり自分の可愛い娘の渚が写っている写真のページをだした。卒業アルバムである。


「やはりこの当時はみんな黒髪ですね……あった、渚さん!」

由貴はすぐ見つけた。

「今と変わりありませんねーおさげ髪の渚さんも可愛い」

「もう10年も前です……」

由貴は昔の渚の写真を見れて嬉しそうだがコウはまじまじと見て


「今もおさげだったらそのまま学生でもいけますね」

「……童顔なんです。髪の毛もしばらく長くしてないし」


渚はどちらかというとコウの方が好きで学生でもいけるという発言に少し嬉しさを感じていた。


「渚さんは投稿してた頃は白い綿を追いかけてはいけないとかそんな噂はありましたか」

「いいえ……でも今度の学校祭でお化け屋敷やるクラスがあるみたいでちらっと企画書を見せてもらったらその噂を扱ったものにしようって。ここ数年出回っている噂だそうです」

「ここ数年……二、三年?」

「三年生のクラスの出し物で一年生の頃に出た噂をと」

コウは渚の両手を掴んだ。渚は突然のことで驚く。


「そのクラスの子に会いに行きたいのだが……何か手立てはあるか」

「あ、あ……それなら……」



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