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最強で最高な二人〜中途霊媒師コウとユキ〜  作者: 麻木香豆
第九章 また誰かいた!
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第三十六話

 翌朝、何事もなかったようにコウは目覚め、夜のうちに美佳子が用意してくれた朝ご飯を温めてそのあと遅くに起きてきた由貴と共にそれを食べた。

 コウは普通に食べているが由貴は昨晩のことがまだ引っ掛かっている。

 だが美味しいオムレツ、ベーコンを食べて淹れたてのコーヒーで流し込むとどのタイミングで、と考えてしまう。


 早速コウはこの家の管理している不動産屋に連絡、せっかちなコウである。まだ繋がらないと言い出す。その間に由貴は早速編集作業をする。昨晩の男女の除霊動画を見てあの世間に話題になった失楽園事件と出せはpvが増えるのでは。と、思ったが事情と真相を考えると公開に躊躇ってしまう。しかし公開しないとお金にならない、由貴が悩んでいるとコウが後ろから公開ボタンを押し、昨晩の除霊動画はほやほやのうちに全世界に出回ったのであった。


「何躊躇ってた? 次の仕事あるからさっさと出していかないと」

「無慈悲だな、そっちは電話つながったのか?」

 コウはため息をついている。


「どうした、やっぱ曰く付きだったか」

「……」


 コウは立ち上がってサッシの鍵の辺りを見る。何箇所も。そしてようやくわかった。


「一箇所だけ鍵の種類が違った」

「違った?」

 由貴は慌てて立ち上がって近くのサッシの鍵を見るが……。

「あの窓のところだけここ最近鍵を変えられている。ここは昭和に造られリフォームはされているものの、サッシとかは綺麗に掃除すれば使えた……だがあそこはサッシごと全部ここ最近変えられている」

「確かにあそこだけ綺麗だな」

「この家、一年近く空き家だったらしいがその間に人に入られている」

「泥棒か? え、それ聞いてない。事故物件扱いにならないのか」


 コウはうなずいた。


「管理人いわく、盗人がここのガラスを割って鍵を開けて一晩くらい過ごした形跡があると。ゴミとか落ちてたらしい」

「まー空き家とかは空き巣や侵入者とかあるって聞くけど誰も住んでなくてライフライン止まってるのによく入るよな」

「寒さ凌ぎとか、曰く付きのところだっなら肝試し、とかあるがここは事故物件ではないから寒さ凌ぎとか……子供たちの悪戯、犯罪やらあとは男女のあれやらこれやら」

 コウが言葉を濁す。


「男女のあれやらこれやらってさ、ラブホ目的で忍び込むってやつか。コウ、濁さなくてもいいよ。ラブホテル入るお金ないから空き家に忍び込んでセックスしたってことだな」

「……ん、まぁそういうことだな。それで、そのあの二人が事故の二日前はこの周辺冠水する場所があるほど大雨だった。そうとなると管理人さんが毎日掃除するにもいけなかった。ここに二人が現れたのも事故起こす直前までこの家で待機していたんじゃいかと。ネットニュース見てナナさんは数日行方不明の後に事故で見つかったようだし」

 由貴はああ、と。


「二人はここでやったんだろうか」

 コウは首を傾げた。由貴は覗き込む。

「こういう話は苦手か、まぁ昔からか」

「うん。だからあの2人はやってないだろ。でも雨で寒かったから身を寄せあってはいただろうな……」


 由貴もうなずいた。すると、彼はさっきあげた動画を公開停止した。

「な、なにしてる!」

「やっぱ公開しない。さっきのは。確かにお金にならないけどさ。でもやっぱりやめよう」

 まだ数人しか見ていなかったようだ。

「また後日お詫び動画でも作ってさ、なぁ」

 由貴がそう言うがコウは作る気もないだろう。やれやれと昨日もらった依頼の紙を封筒から出した。



 その後、依頼先に行く前に天狗様のいる山の下の寺に行くことにした。2人の坊主たちが朝の掃除をしている。

 そのうちの一人がコウと由貴に気づいてすぐ倉田を呼びに行った。もう1人はまだそうじをしている。


「おやおや、こんにちは」

「おう」


 コウはサングラスをとって目を擦った。昨日のミツオの口から出た某施設の名前を倉田に言うと彼の顔がハッと変わった。


「まだ残ってたのか……まぁ潰しても、また同じようなところができる。いたちごっこだ。それに辛い思いをする人間はこれからもどんな形でもまた増えてくる。彼らの逃げ場、最後の砦だからな……まぁその後のことは、ねぇ」

「……そうか」


 〇〇県の山奥にある、女性だけが住むとある施設。

 仕事や家庭での辛さ、苦しみに耐えきれず逃げ場がない人たちを救い出し共に生活しようという駆け込み寺的なものとして存在していた。


 しかし救いとは裏腹に逃げてきた女性たちは……再び違う地獄に……。


 にゃー


 とあたりは知らぬ間に猫だらけ。猫捨寺と呼ばれているこの寺。しかしここまで猫が集まる時は何か起きる、変な予感しかなかった。コウの足元に猫がたくさん。

「たく、俺になんか寄っても何にもならんぞー、餌も無いし」

 と一匹の三毛猫をひょいと抱きかかえた。


 そこを由貴がスマートフォンで撮影した。


「バカ、何撮影してるんだよ」

「胡散臭い黒スーツ男が猫に囲まれ猫を抱く画が面白い」

「おもしろくねーよって、にゃーにゃーうるさい……って倉田さんは?」

「あ……いない」


 後日、由貴はこの猫まみれの写真を活動の記録用に立ち上げたSNSに載せたところものすごい反響が出たのは今はまだ知る由もなかった。

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