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最強で最高な二人〜中途霊媒師コウとユキ〜  作者: 麻木香豆
第四章 天狗様
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第二十話 

「おかえりなさい、コウちゃんユキちゃん」


 やはり夜行バスでなかなか寝られなかったのが相当ダメージだったのかコウは名古屋から岐阜の電車移動でも疲れがさらに溜まりヘトヘト。

 由貴は反対に電車でぐっすり寝たおかげで回復したがコウの代わりに荷物を運びヘトヘトになった。そんな二人を元気に迎えてくれたのはコウの母親の晴美だった。ニコニコとして2人を家に入れる。


「由貴ちゃんはほんと体格も良くなって。お父さんと一緒やねぇ」

「そうっすか?」

「そうそう、その喋り方も似てる似てる。てか二人とも疲れてるわねー」

 晴美が二人の背中を叩いた。相当の力で痛かったようだ。



「コウ。次は新幹線がいい」

「それだけの稼ぎができたらの話だ。まぁもう当分は東京に戻ることもないだろうけどねー、多分」

「新幹線……新幹線……」

「言霊炸裂DAYはしばらくないなぁ」

「タイミングがなかなか合わない」

「能力とは違ったんじゃ? まぁいい」

「……」

 由貴は口を瞑る。彼らのいう通り由貴の言霊はあれ以降それ通りいってないのは事実である。ただの偶然で処理された。


 コウは実家、由貴は幼馴染の実家ともあって足をだらけてくつろぐ。


「あ、コウちゃんと由貴じゃん」

 そこに現れたのはコウの兄の時雨だった。

「しぐにぃ、ただいま。これ頼まれとったお菓子な」

 とコウは東京限定のかりんとうを鞄から出して時雨に渡した。

「サンキュー、それネットで頼んでも1ヶ月待ちだったからやっぱり現地はすぐ手に入るねぇ。あ、由貴も久しぶり。おっさんになったな」

 時雨がそういうと由貴はふと横にあった姿を見てしまう。

 コウは何も言えない由貴のかわりにこう言い返した。

「由貴がおっさんやったらしぐにぃはおじいさん……」


 バシ!!!


 時雨がコウの頭を叩き2人で小競り合いしている。由貴も止めにかかるが


 ばしっ!


 コウの右手が由貴に。

「いてぇ! コウ!!」

 と由貴はコウに反撃する。三人小競り合いの場面は子供の頃にもよくあった場面である。


「こらこら、コウちゃんとしぐちゃんも由貴ちゃんも喧嘩せんといてよね。子供のまま変わらないねぇ。はいはいお茶でも飲んで」


 晴美がお茶を出してくれた。時雨もかりんとうの袋を開けてお皿に入れる。だがコウは


「そうゆっくりできん、今日はここ泊まるけど事務所と天狗さんのところに行かんとあかんのや」


 と言いつつもかりんとうを一掴み。

「食べ過ぎだろ」

「まだ何袋かあるから、ケチケチするな」


 時雨は名古屋に住んでいる。晴美が先日調子を悪くして一時帰省していだとのことだ。晴美がコウに言うには年上のバツイチの女性と同居して無職の彼はその女性の家で家政婦をしてるとのこと。だがそのことは触れないようにと晴美から言われていた。


 コウと由貴が住む家はもう決まっている。荷物も届くようになっている。ここからすぐ近くの中古戸建の平家であった。賃貸ではあるが。


「じゃあ由貴、行こか」

 長居できないと言いつつも2時間ほどダラダラバリバリお菓子を食べたコウと由貴。

「おう……ほんとお前の家族は賑やかだな」

「そう? 由貴は自分の家族のところには行かんでいいのか」


 由貴は黙った。彼の両親はとうに離婚して、姉は愛知の方で結婚して子供がいるが母親だけ地元に残っているものの由貴と母親の間に確執があり頼ることができなかったのだ。


「元気な姿見せてやりなよ、母ちゃんが言うにはすっごい心配してるってさ」

「……いいよ、いかない。それよりも行かなくていいのか?」


 と由貴は壁掛け時計を指差す。


「あーそうだな。いかなかんなぁ」

「めんどくさそうにすな。僕らの命の恩人だろ」

「お前が勝手に命乞いしたからだほ……」

「そうだけどさぁ……」


 すると晴美が奥から何かを持ってきた。地元の和菓子屋で買ってきたと思われるお菓子の箱が立派な風呂敷に包まれている。


「これ、もっておいき」

 晴美は朗らかな笑顔でコウにドンと渡した。由貴も一緒に抱える。


「天狗様が好きなものだからね」

「わかってる」

 と晴美はお皿やコップを台所に片づけていった。由貴はなんのことだとという顔だ。コウは玄関先にその包みを持っていく。

 すると時雨が由貴に行った。


「母ちゃんと由貴の母ちゃんたちは天狗様に毎月お供えに行ってる。俺は行ってないがコウは天狗様に会ってるらしい」

「……えっ」

「由貴は知らんかったか。こっちに帰ってきてなかったし、仕方ないかなー」

「……」

「お前が命乞いしたならちゃんと手を合わせてこい。あと母ちゃんに会ってこい」

「うん」


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