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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
第二章~元に戻った二人の生活・カノン編~
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~カノンの奮闘~

アルストロメリア王国の朝。カノンの自室。


白い世界で美桜と今までの出来事や恋の話しをする夢を見た翌朝。

目が覚めたカノンは見慣れた天井をぼんやりと眺めている。

意識が覚醒し、ベッドから起き上がり辺りを見回す。見慣れた自分の広い部屋。

裏に向けていた姿鏡が表に向いていて、鏡に近づき自分の姿を見る。

「わたくし…元の世界に戻ったのね…。書庫と部屋を行き来するようになってからはおしゃれもしなくなって、裏に向けていた鏡が表を向いているわ…。美桜さんが本来わたくしがする役目を…。」

カノンが現実を把握しようと考えている時、部屋がノックされた。


「カノン様、おはようございます。リリーでございます。お支度のお時間になりましたので参りました。」

「そうですの。中へどうぞ。」

返事を聞いたリリーが部屋に入りカノンの支度の準備に取り掛かる。

「カノン様、本日のお召し物はいかがなさいますか?それと、ご予定はお決まりでしょうか。」

カノンに着る服を選んでもらうためリリーはクローゼットを開けた。

クローゼットの中を見たカノンは現代の日本で見た洋服が多く仕舞っているのに驚く。


「(これは…。ワンピースですわ…。この世界にワンピース…。きっと美桜さんですわね。デザインも可愛らしく、それでいて動きやすそうでわたくしの好みだわ。好みまで似ていらしたのね。)」美桜とサーラがデザインしたワンピースを見て美桜と好みが似ていたことに親近感がわき嬉しくなるカノン。

服を決め、今日の予定も考えた後リリーに伝える。

「今日はこのワンピースにします。それから予定はアザレアに行きますわ。」

カノンは美桜から引き継いだアザレアの件を直接自分の目で見たいと思ったのだ。

リリーは承諾し、カノンの支度を終え朝食の用意が出来ているとのことで二人は食堂へ向かう。


朝食を終え、アザレアに向かうカノン。

現地に着きまず驚いたのは街並みだ。簡易的な木造の建物がほぼなくなり、立派なレンガ造りの建物が綺麗に並んでいる。次に驚くのはすれ違う人々に挨拶されることだ。慣れない光景に戸惑いながらも挨拶を返す。

カノンが来ているのを聞いたハンプスがカノンのもとへ挨拶に来る。

「(この方はたしか、美桜さんの話しで出た市長のハンプスさんね。)ごきげんよう。ハンプスさん。今日も様子を見に来たのだけど変わった事はないかしら。」

「こんにちは、カノン様。いつもアザレアに足を運んで頂きありがとうございます。復興作業の方なのですが…皆頑張っております…。ただ…寒さの影響もありなかなか工程通りには進んでおらず…。力不足で面目が立ちません。」


カノンは美桜からの情報に食い違いがないようにハンプスに問いかける。

その問いにハンプスは申し訳なさそうに現在の状況を報告する。

復興がおおかた落ち着くまでは侯爵家が炊き出しなど出来る範囲で支援はしているが、街の人達の復興への気持ちがいくら強くても寒さの中での作業というのは思うように進まないことはカノンも知っているため、ハンプスに焦ることはないと伝える。

「焦らずとも大丈夫ですよ。ゆっくりと事を進めていきましょう。寒さの中での作業は危険を伴うかもしれないのでくれぐれも無理はなさらないでください。わたくしは加工場へ行こうと思います。貴族の皆さんにそろそろ砂糖の需要を広めなければなりません。少し相談に行きます。」そういってハンプスと別れ北側に向かう。


アザレアの北側に着いたカノンは目を見張る。

「(これが…街並みもそうでしたが、あのアザレアですの…。美桜さんから聞いていましたが、ここまで綺麗に整備され農園と呼べるまでになっているとは…。ただ意見を言うだけのわたくしとは違い自ら行動しての結果なのですわ。わたくしでは成しえなかったことを美桜さんはやってみせました…。今度はわたくしの番ですわ。美桜さんから引き継いだ以上なんとしてもやり遂げてみせます。この街を以前のような目に合わせません。もう、ただ意見を言うだけの令嬢ではありませんわ。)」

アザレアに着き街並みや農園、加工場を見て驚きの連続だが、驚いてばかりいられず美桜から引き継いだ政策を今度は自ら行っていこうと決意をするカノン。

加工場に行き現在の作業の進み具合や人員の配備、在庫の数など事細かく聞き把握し、今後の侯爵家への納品の数を検討する。


そうしてアザレアでの相談を終え侯爵家へ戻り、父のオリヴァーや料理長に時間を作ってもらいオリヴァーの書斎で他の貴族の家で料理人をしている人達の招待について相談を始める。

「(自らこんなに動いて政策を進めたことはないわ…。やはり行動しないのは周りから見たらただの戯言にすぎないのね…。でも美桜さんはまず行動から起こした…。美桜さんには感謝しなくてはなりませんね…。わたくしがするべき事を代わりに全うしてくれたのですから…。)さて、わたくしも負けてられませんわ!料理人達へのお菓子の伝授はわたくしも一緒にしますわよ!」

急に意気込むカノンにオリヴァーや料理長は驚く。

カノンは気にせず、一つひらめいた。

「そうですわ!お父様、別館に大きな厨房がありましたわよね。そこを少し改装してこういう風にできないでしょうか。――。」


カノンがひらめいたのは日本の調理実習で体験した広い教室で十数人が一度に調理ができるシステムだ。それを紙にデザインし提案する。

「なるほど、そういう手があったか。これなら多くの料理人を招待する事ができ、少数の教え手で済む。我が子ながらどんどん発想が出てくるのだな。フリージアの事といい、料理人達への招待といい。書庫にこもっていたのは伊達ではないという事だな。」

オリヴァーはカノンの発想に称賛し、料理長もこれならフローライト家の料理人達への負担も少ないと称賛してくれた。

話は一通りまとまったのだが、カノンはオリヴァーの言葉に疑問を抱き聞いてみる。

「お父様。フリージアの事とはいったどういう…。」

「ん?カノンの発案でお前が一番楽しみにしていたのに、昨日の夜会の事で忘れたのかい?今日の女神祭で飾りつけやパーティー料理、プレゼント交換を発案したではないか。」


その言葉を聞いたカノンは今日何度目だろうか、また驚く。

「(それは日本で体験したクリスマスなのでは…。まさかこの世界でもできるなんて…。美桜さんの発想は本当に驚かされてばかりですわ。)そ、そうですわね。昨日の夜会の印象が強かったもので。おほほほ。後でわたくしもフリージアに行ってまいります。」

この世界でもクリスマスに似たことが出来ると知ったカノンは笑ってごまかしつつフリージアに行くのを楽しみにする。

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