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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
第一章~最初の入れ替わり生活・美桜編~
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~砂糖の実の加工~

鍛冶職人の工房に着き美桜が中に入り声を掛けると職人で責任者のロドニーが奥から出てきた。


「これはこれはカノン様。いらっしゃいませ。ご注文のハサミをちょうど20個できたところなので侯爵家に納品しようと準備していたところなのです。」

「こんにちは、ロドニーさん。そのハサミの件なのですが、今後の納品場所は侯爵家ではなくて西の街アザレアに納品お願いできますか?今回の納品分は私が直接持っていきます。それと追加注文もお願いできますか?発注書は後日お持ちします。」

「あのアザレアですか?またなぜそのような所に…」

納品場所に疑問に思ったロドニーに美桜は持ってきたハサミと砂糖の実を見せ、そして焼き菓子を食べてもらいアザレアの復興の事を話した。

ロドニーは焼き菓子や砂糖の実の使い方に驚きそれならばと納得してくれた。

需要が見込める案件という事で今は限られた人しか知らないので今はまだ口外しないように美桜は伝えた。ロドニーも知られれば大きな騒ぎになると同意見を示してくれた。


鍛冶工房での話がまとまり美桜は護衛と別れアザレアに戻る。

アザレアに着くとオリヴァーはハンプスと男性と3人で話し込んでいてハンプスはまた泣きながらか二人に対して頭を下げている。何の話をしていたのかは後で聞くことにして美桜は3人に近づき戻ったことを伝え、街の女性たちに声を掛け出来るだけ多くの人に集まってもらった。今後の女性たちの仕事に関する話をするためだ。


「皆さん、集まって頂いてありがとうございます。男性だけではなく、女性の方も働き口が欲しいと希望する方に仕事の依頼をしたいと思い集まって頂きました。」

そう伝え、ハサミと砂糖の実を見せて使い方から殻と中身の仕分けの説明をした。

それを見ていた女性や休憩に入っていた男性たちも興味津々で真剣に話を聞いてくれた。これならば力のない者でもできるなと感心していた。


さっそく北の農園に簡易的だが作業場を設置することにし、道具と人員を集めて作業をしてみることにした。今はハサミの数も少ないので作業員は少ないが、今後この街に道具が納品されることを伝えたら皆率先して働きたいと言ってくれた。


それを見ていたオリヴァーとハンプスと話していたもう一人の男性が何やら考え込みオリヴァーに話をしている。それをオリヴァーとハンプスは是非にと大喜びしていた。

「(何のお話か後で聞いてみましょう…)あ!それよりも砂糖を入れる入れ物が必要ですよね。麻でできた袋に昔は香辛料を入れていたと何かの本で読んだ気が気します。カノンさんのお父様に聞いてみましょう。」

美桜は話している三人のところにまた駆け寄った。

「お父様、お砂糖を入れる入れ物が欲しいのですが、どこで手に入れられますか?繊維工房でしょうか。それと、砂糖の実の殻と中身を仕分けるための網目の細かい器か何かと、あとお砂糖を振るい分けている際にお砂糖を入れられる器も欲しいのです。」そう手で示しながら尋ねると、ハンプスが声を掛ける。


「カノン様、それでしたら麻でできた布袋や竹でできた網目の細かい器や普段使いの食器がこの街にはたくさんありますし、作れます。アザレアの北西に十数年前から麻と竹を栽培し加工して販売しようと考えたのですが、どの街にも似たような物がありふれて売り物にはならなかったのです。現物をお持ちします。実際に見て頂いて使えるか判断をお願いします。もしダメでしたらご所望の物のご教授を願いたいです。」

そう言ってハンプスは現物を取りに行った。


「お父様、先ほど三人で何を話されていたのですか?」ハンプスの背中を見送ったあと、美桜が気になっていたことをオリヴァーに聞いてみる。

「ん?…あぁ!さっきウッドとハンプスと話していた事か。それはだな…。」

どうやらオリヴァーとハンプスと話していた男性はウッドという名前らしい。

話していた内容を伝えようとした時、ハンプスが戻ってきた。


「カノン様。こちらが麻の布袋と竹で作った器です。どうでしょうか。使い物になりますか。」現物を持ってきたハンプスが使えるか不安そうに尋ねる。

「これです!この布袋ならしっかりしていてお砂糖を入れても破れませんし、中身がこぼれることもありません。それにこの竹の二つの器。一つ目は丸形で網目の空き具合もちょうどいいです。粗過ぎず細かすぎない。これならお砂糖と殻を振るい分けられます。もう一つは竹の繊維を格子状に網目がないようにつなぎ合わせた器ですね。十分使えます!予想以上です!ありがとうございます!」美桜が思っていたものがすぐに手に入りまた早く作業が進むと喜ぶ美桜。

その様子にこの街が頑張ってきたことが役に立てるのだとハンプスも何度目かの嬉し涙を流すのだった。

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