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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
最後の入れ替わり 最後の異世界生活・カノン編
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~念願の~

カノンが一ノ瀬家の皆に、予定を空けて欲しいと頼んだ日曜日。


この日、午前中から出かける予定のカノンは、身支度を整え、朝食を取り、待ち合わせ時間に間に合うように家を出た。


カノンの予定、それは午前中は原さんや峰岸君と合流し、峰岸君の家で茶道の体験をする事。

そして午後からは、原さんや峰岸君と一緒に一ノ瀬家の皆と合流し、カノンの行きたい場所に行く予定だ。


カノンが待ち合わせ場所に着くと、原さんや峰岸君がすでに到着して待っていた。


「おはようございます!すみません、遅くなりましたわ。」


「おはよう、カノンさん。僕達が早く着いただけだから大丈夫だよ。」


「カノンちゃん、おはよう。峰岸君の言う通りだよ。むしろ時間より少し早いくらいだよ。」


「そう言って頂けると嬉しいです。」


「それじゃ、皆揃ったし、移動しよう。」


カノン達は三人揃った事で時間は早いが、峰岸君の家に向かって歩きだした。


「茶道体験、楽しみだね〜。カノンちゃんもすごく興味ありありだったもんね。」


「はい!以前も茶道体験のお約束をしたのですが、その時はもとの国に戻ったので、参加出来ませんでしたわ。」


「まさか、あの出来事の前後に入れ替わりがあったなんて驚きだよ...。でも...あの時がきっかけで、美桜ちゃんが好きな気持ちに気づいたから結果オーライ...かな。」


「「ご馳走様です(わ)。」」


カノンと原さんの言葉に照れた表情を見せた峰岸君。

そんな峰岸君が、今度はカノンに申し訳なさそうな表情を向けた。


「そういえば、カノンさんに誘われた予定と、茶道体験の日が重なってしまってごめんね...。茶道用の部屋が今日しか空いてなくて......。」


「大丈夫ですわ。ちょうど行きたい所は午後からでしたので、お気になさらず。」


カノンは峰岸君に微笑みを見せ、カノンの言葉を聞いた峰岸君は、申し訳なさそうな表情から安堵の表情へと変わっていった。


三人が話しながら歩いていると、峰岸君の家に辿り着いた。


カノンや原さんは峰岸君やお手伝いさんの案内で家に入り、着物に着替えたりなどの身支度を整えた。


「これが着物なんですのね!とても綺麗ですわ!アメイジング!イッツビューティフォー!!」


「……カノンちゃん…着物に興奮してテンションおかしい…。しかも、初めて日本に来た外国の方みたいな感じになってる…。」


「だって、憧れでしたもの!お着物に茶道、和菓子!何もかも新鮮で待ち遠しいですわ~。」


カノンの言葉に原さんは呆れた表情を浮かべており、着付けをしてくれたお手伝いさんはクスクスと可笑しそうに笑っていた。


二人分の着付けが終わり、お手伝いさんの案内で茶道用の部屋に通されたカノンと原さん。


二人が部屋に入ると、峰岸君がすでに着替えを済ませており、お茶の準備に入っていた。


「二人ともすごく似合っているよ。」


「お着物、ありがとうございます!アメイジングでビューティフォー!ですわ!!」


「…カノンちゃんのテンションがずっと変なの…。」


カノンの興奮度に峰岸君も苦笑いを浮かべ、二人を座敷に座るように促した。


二人が座ったのを見た峰岸君は、手際よくお茶をたてていき、和菓子とたてあがったお茶を二人の前に差し出した。


今回は堅苦しい作法は無しで、お茶やお菓子を楽しむだけの会なので、皆気楽にしていた。

だが、カノンだけは楽しみにしていた事もあり、作法を一通り独学していた為、実践をした。


「…カノンさん…美桜ちゃんみたいに動作がキレイだね…。独学とは思えないよ…。」


「…ここでもハイスペック…。カノンちゃんの楽しみだった様子が伝わってくるよ…。」


「それほどでも…。独学している時に茶道の一つ一つの動作が優雅で見惚れてしまって、自分でも出来るようになれたら…と思って練習したのですわ。」


カノンの作法の出来に峰岸君と原さんは驚いた表情を浮かべており、カノンは褒められたことで照れた表情を浮かべた。


「それにしても…和の雰囲気…とても落ち着きますわ…。

こう…温もりと言いますか…心を穏やかにしてくれると言いますか…。

このお茶も…温かくて、苦みや渋みはありますが、ほんのり甘さもあって、和菓子に合いますし…。


とても良い体験ですわ…。

インテリアの参考にも、心を穏やかにする参考にも出来ます。

この機会を設けて頂き雅君には本当に感謝ですわ。」


カノンの穏やかな優しい表情に峰岸君は、照れた表情を浮かべた。

原さんもそんな二人を優しい表情で見つめていた。


それからはカノンからのお茶や和菓子、着物に関する質問攻めに合った峰岸君だが、原さんも楽しそうに二人の話を聞いたり、加わったりして三人は時間が許す限り、会話に花を咲かせた。



三人が時計を気にしながら過ごしていると、午後の予定の時間が刻々と近づいた。


その時間に合わせて片付けに入り、着物から私服に着替え直し、次の場所に行く準備を進めた。


準備を終えた三人は、峰岸君の家からカノンの後を付いて行く形で次の目的地を目指した。


「ねぇ、カノンちゃん。いまだに次の目的地を教えてもらってないんだけど、どこに行くの?」


「ふふっ、まだ秘密ですわ。目的地に行く前に、駅前のロータリーに向かいましょう。(とおる)お父様がお車で迎えに行くと先ほど連絡がありましたわ。」


「車で向かうような場所なの?」


「そうですわね…駅からは少し離れているので、お車の方が利便はいいかもしれません。」


三人は一ノ瀬家と合流するべく駅のロータリーに向かって歩き出した。

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