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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
第一章~最初の入れ替わり生活・カノン編~
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~美桜の積み重ね来たもの~

朝の宣戦布告を終えて刻々と授業が進んでいく。


今日の4時間目は家庭科の調理実習だ。先生から三人一組になるように言われたので皆が班を決め始める。

「一ノ瀬さん料理上手だし、一ノ瀬さんのもとで教われば私たちもうまくできるよね」「一ノ瀬さんの手さばきを間近で見たいんだ!」など男女問わずカノンのところに集まり始める。

「ぼ、僕も一ノ瀬さんの班になりたい!」「私だって美桜ちゃんと一緒がいいの!」と峰岸君や原さんまでカノンを取り合っている。

(ど、どうしましょう…。わたくし、お料理したことないのですわ。美桜さんだと思われて皆様わたくしのところに来てますが困りましたわ。)


そう皆のやり取りを見ながら料理が出来ないことに困っていると先生が止めに入り、じゃんけんで決めることになった。その結果、峰岸君と原さんがカノンの班に決まりカノンは安堵した。

(よかったですわ。このメンバーなら安心します。ですがやはりお料理は……。ここは正直に伝えましょう。)

「あの、原様、雅君せっかく安心できる組み合わせになったのですが、わたくしお料理に自信がないのです。申し訳ありません。お力になれるかどうか…」

「なーに言ってるの、美桜ちゃん。お家の為にあんなに料理頑張ってたじゃない。だから大丈夫だよ!自信もって!」そう原さんに励まされた。

「そうではなくて…(いいですわ!なるようになれです!)わかりました!やってみます!」

カノンは不安を抱えつつやるしかないと意を決し調理実習に臨むのだった。


先生の説明を聞きながら三人で分担し作業を進める。実習メニューは卵焼き定食だ。

カノンはお味噌汁を作ることになった。具材を切るために包丁を握り緊張の目で包丁とにらめっこしている。(いざ…。やりますわよ…。)

具材を左手で抑えながら右手の包丁で具材に切り込みを入れる。

(あら?…。)右手の包丁はカノンの思いとは違って手際よく動いていく。

右手だけではない。左手や体自体が料理の作業を知っているかのように慣れた手つきで進んでいく。カノンが自分の行動に驚いている間に料理が出来上がっていき、ほかの作業が残ってないか原さんや峰岸君に声を掛け仕上げに入っていく。


「で…できましたわ…。出来てしまいました…。お料理…。」

「ほらー!だから心配ないって言ったじゃない!美桜ちゃんは心配性だなぁ」

「うん、一ノ瀬さんが心配そうに言うからどうなるかと思ってたけど、やっぱりすごいね!本当に手際よくて上手だったよ。」

綺麗に出来上がった料理を前に三人は話す。出来上がった班から食べるように言われたので三人は席に着き実食する。


「そういえば美桜ちゃん、峰岸君の事「みやびくん」って呼んでいたよね。いーなー。私も下の名前で呼ばれたーい。もちろん敬称なしでね。」

「……そういえばずっと原様って呼んでいましたわね。」

「そうだよー。峰岸君だけずるいよー。」

「ふふっ。すみません。では下の名前でお呼びしますね。いのりちゃん。」

「やったぁー!。ありがとう美桜ちゃん!えへへー」

「いーなぁ…。二人は友達って感じで…。」

「何を言ってますの雅君。朝の宣戦布告を聞いていませんでしたの?「お友達に近づくなら」とわたくしは言いましたわ。雅君もそのお友達に入っていますのよ?……違ったかしら…。」

「え……あ!そういえば!違わない!嬉しい。ありがとう。」

カノンの言葉に嬉しそうにする原さんと峰岸君。峰岸君にいたっては照れたりしている。

三人は片付けの時間が来るまで楽しくおしゃべりしながら過ごした。


――五時間目の美術。

前の世界ではほんのさわり程度しかしていない。そのため調理実習の時のようにデッサンに不安がある。だがいざ筆を進めるとこれもまた綺麗にデッサンが出来上がってしまう。

(いったいどうなっていますの。お料理も、デッサンもわたくしは経験が無いに等しいのにどうしてこんなにできてしまうの。これがチートというものでしょうか。……そんなわけないわ。いのりちゃんの異世界ファンタジーの影響の受け過ぎね。

これは……。文字の読み書き同様に美桜さんの体に癖みたいに染み付いているのね。そうなるまできっと多くの努力をしたのだわ。本当に頑張り屋さんなのね。わたくしも負けていられないわ。)

美桜が家族のために得た技術に感心するカノンはさらに自分も磨いていこうとこの後の部活にも精を出すのだった。

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