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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
最後の入れ替わり 最後の異世界生活・カノン編
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~天才か、才能か、努力か…~

カノンが自分に自信を持ち、空手に一層力を入れてから数日後。


この日は平日で、授業やホームルームが終わった放課後、カノンは荷物をカバンに詰めながら部活に行く準備をしていた。


カノンが部活に行く準備をしていると、カノンの教室に空手部の主将が廊下から教室内を覗き込むように顔を出した。


「あ、いた、一ノ瀬さーん!!急なんだけど、今日、練習試合あるって!!場所はまたうちの学校だから、この間みたいに準備してて!!私、日直でちょっと遅くなるから一ノ瀬さんにお願いしたいんだけど。」


「わかりましたわ。お任せください!」


「それじゃ、よろしくねーー!!」


主将はカノンに連絡事項を伝え終わると、手をひらひらと振り自分の用事を早く済ませようと、駆けて行った。


主将が去ったカノンの教室内では、練習試合の事を聞いたクラスメイト達の声で少しだけ騒がしくなり、クラスに残っていた何人かが空手部を覗いていくという話で持ち切りになった。


カノンは部活に行く準備が整い、少しだけ騒がしくなったクラス内にいる皆に声を掛け、その場を後にして武道場へと向かった。


カノンが武道場に着き、中に入ると道着に着替え終わっている後輩の子達が、部活を始められるようにすでに準備に取り掛かっていた。


それを見たカノンは、少し急ぎ足で更衣室に行き、素早く着替えを済ませ、後輩の子達と合流し、練習試合の件を伝え、自分達の部活や練習試合に必要な物の準備を済ませた。


全ての準備を終え、主将がまだ部に顔を出していない中、今いるメンバーでこの間の練習試合のように、相手の学校が到着するまでウォーミングアップなどをして時間を費やしていた。


そうしてカノン達が時間を費やしていた頃、日直の仕事を終えた主将が部に合流し、練習試合の事を聞きいたカノンのクラスメイトや、他の生徒達が集まり、入り口を開けつつも、武道場を覗き見ていた。

そこへ、相手校が到着しいよいよ練習試合が始まった。


この日もカノンは全勝を収め、試合を見に来ていた生徒たちも、カノンの試合を見て驚きや歓喜の声をあげていた。


練習試合が無事に終わり、カノン達は相手校と協力しながら片付けを済ませ、皆は帰路に着いた。


カノンが家に帰ると、ダイニングテーブルのある部屋から(とおる)に声を掛けられ、カノンはその声に従い、着替えや手洗いを済ませ台所に足を運び、(とおる)と協力をして夕食の準備に取り掛かった。


「カノンさん、お手伝いありがとう。お母さんも(かなめ)も、もうすぐ帰って来る頃だろうから、それまでに準備が終わりそうで助かったよ。」


「いえ、これくらい当然ですわ。こちらこそ、いつも、いつの間にか準備してくれている事…ありがとうございます。」


カノンは(とおる)を真っ直ぐに見てお礼を伝え、カノンの言葉に(とおる)は微笑み、二人が夕食の準備を終えるというところで、(とおる)の言葉通り、(ゆい)(かなめ)が帰ってきた。


皆が食卓に揃い、夕食を食べ進めていった。


「カノンさん、夏休み入ったらすぐ大会があるけど、調子はどうだい?」


「負ける気がしませんわ。」


カノンの言葉に「さすが」と言わんばかりの、呆れた顔を浮かべる(かなめ)に、苦笑いを浮かべる(ゆい)(とおる)


「今日も急に組まれた練習試合がありましたわ。」


「…まさか、今日も全勝…なんて事…。」


「はい、全勝です。」


「だろうな…うん…だと思った。」


カノンの言葉にさらに呆れた表情を見せる(とおる)


「…お前、本当に空手の経験8か月かよ…強すぎだろ。

まぁ、でも…その浅い経験を補うために教室まで通って、自主練もしてて…わかってはいるが、強すぎだ…。

天才かよ…いや、才能…努力もか…うん、全部だな。」


「……最近までは、強くなるためにはまだ…何か欠けていると思っていました。

でも、欠けていたもの…それは、自分の今までの行いを信じる力…自信だったのですわ。

(ゆい)お母様、(とおる)お父様、いつも栄養を考えてくださるメニュー…ありがとうございます。」


「「どういたしまして。」」


「…すげー…前と雰囲気違いすぎだろ。自信がついた負けず嫌いって、こんなにも存在がヤバく見えるんだな。もう、それ無敵状態というか…無双…出来んじゃね。」


「ふふっ…無双…悪くないですわ。どんどん術が上達する感覚がして…何と言いますか…磨かれる…いえ、研ぎ澄まされる…と言うのでしょうか…前よりも空手が楽しいです。


………努力して、前に出ようとした過去がありましたわ。

わたくしの考えが受け入れられず、いつの間にか家族を含め、周りから人が離れていきました。

ですから…どこか、歯止めをしていたのかもしれません。

努力して前に出ると、また離れてしまうのではないかと…。


無意識に初の大会で結果を出せずにいた事を引きずって、必要以上に自分を追い込んで…

弱気になって…自分を信じきれていなくて…わたくしは…おバカでしたわ。


でも…今は違う事を、(かなめ)さんや主将さんの言葉で気づかされました。

努力して強くなって、勝ち進むと人が集まる…以前とは正反対です。


勝ち続けるのは…心地良いですわね。」


「……俺…もしかして…ヤバいやつを呼び起こしてしまったんじゃ…。」


カノンの言葉に(かなめ)はたじろぎ、顔を引きつらせ、(とおる)(ゆい)は、カノンの過去の話に寂しそうな表情を見せたが、すぐに安心したような力強い表情を見せた。


「持ち合わせた天才肌や才能が空手と相性良くて、すぐに上達して、経験不足を努力で補う…。カノンさんらしいね。大会、楽しみだな。日程を調べて必要なら有休申請しないとだ。」


(とおる)の言葉に(ゆい)も乗り気で、休みの話や作るお弁当のメニューの話で盛り上がり、(かなめ)も幾分か引きつっていた顔が戻り、(とおる)達の話に加わった。

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