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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
最後の入れ替わり 最後の異世界生活・カノン編
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~違う、そうじゃない~

カノンが原さんに手をひかれ、ゲームセンターの奥まで進み、原さんの一番の目的地に着いた。


「な、なんですのここーーー?!小さいお部屋?が、いっぱいですわ!!」


「ふっふっふ、女の子達がゲームセンターに来たなら、やっぱりここに来なくちゃね!!プリクラ!!!」


「プリ…?」


「プリント俱楽部の略称で、簡単に説明すると、可愛く取ってくれる写真の機械だよ。」


「まぁ…写真…ですの…。たしか…人物や動物、背景などを特殊な紙に写した物…でしたわね。」


原さんがカノンを連れてきたのは、ゲームセンターの奥にあるプリクラ機が何台も並んでいる、プリクラコーナーだった。

カノンは目の前の煌びやかな機械を目の前に、目を丸くし圧倒されており、そんなカノンに原さんは、楽しそうに説明した。


二人は、どのプリクラ機に入ろうか外観のイメージ画を見ながら選び始めた。


「すごいですわね…。人って、メイクなしでこのように変身できるのですね。目も大きくなりますし、肌も色白になれますし…もはや別人です。すごい技術ですわ。ですが……。」


カノンは、プリクラ機を一通り見て回り、技術の高さに感心しながら、どれにしようか悩んでいたが、これだ!というものを決められず、原さんの様子を見ながら辺りを見渡した。

と、そこへ、ゲームセンターの奥、カノン達が来た方向とは逆の方向にも廊下と出入り口が見え、そこにも機械を見つけたカノンは近づいてみた。


「これは……これですわ!!!」


カノンは自分好みの機械を見つけ、いまだに悩んでいる原さんの所に駆け足で戻り、原さんの手をひいて、カノンが見つけた機械の所まで連れてきた。


「いのりちゃん!わたくし、これがいいですわ!!これにしませんか?!」


「……あの…これ…って…プリクラ機じゃなくて、証明写真機なんだけど…。」


カノンが原さんを連れてきたのは、証明写真機で、原さんはまさかの選択に完全に虚を突かれた。


「?……何が違いますの?」


「全然違うよ!大違いだよ!!プリクラは盛るに盛って、可愛く撮れるけど、証明写真機は大事な書類とかに貼る為の写真を撮る機会だよ!全然可愛く撮れないよ!!」


「なるほど…ですが…お化粧して可愛い状態なのに、さらに盛るに盛ってしまうと、それは…可愛いを通り越して、別人すぎて少し怖い…ですわ…。


こういう機械がない世界から来たわたくしが言うのは…違うかもしれませんが…。


この証明…写真機?は、プリクラ…機とは違って、素朴だからこそ、その人物の素の可愛さを撮ってくれると思ったのです。


なぜなら、今お化粧をしているわたくし達は、もの凄く可愛いんですもの。」


「……ふっ…ふふっ…。真顔でそれを言うカノンちゃん、さすが…強い…。可愛いって自分で言うかなぁ、普通…しかも真顔で…ふふっ…。」


「いのりちゃん…笑いを堪えず、思いっきり笑ってくださってもよいのですよ…。


…だって、可愛いくなるためにお化粧をしているのに、それをさらに機械で補おうとは、なんだか負けた気がします。」


「ふふっ…ここでも負けず嫌い。何と張り合ってるのよ、もぅ~。はぁー、お腹痛い。わかった!そこまで言うなら、これにしよう!少し高いけど…割り勘ならまぁ、大丈夫か!」


「ここは、言い出したわたくしが多く払いますわ!!お任せを!!!」


二人は、プリクラ機よりも狭い証明写真機に入り、カメラに収まるようにどうにか立ち位置や角度を考えながら写真を撮った。


写真を撮り終えた二人は、ゲームセンター内で販売しているクレープを食べながら、ゲームセンター内を見て回った。

カノンと原さんはゲームをする事はなかったが、カノンは終始、興奮気味に物珍しそうな反応をしており、原さんはカノンの反応を楽しそうに見ていた。


その後二人は、少し休憩する事にしてショッピングモール内にあるカフェへと場所を移動した。


「ゲームセンター…楽しかったですわ…まだ、胸がドキドキしています。あんなに楽しい所は、生まれて初めてです。


以前、こちらの世界に来た時は、学校のお勉強や、こちらの文化の勉強、空手などに時間を使いましたので、遊んだりはなく、美桜さんの家の近所と学校以外は行った事がなかったのです。」


「そう言ってもらえて私も嬉しい!連れてきて良かった!!」


カフェに着いた二人は、時間を確認し、少し帰りが遅くなる事を家の人に一報入れ、メニューを見て飲み物やスイーツの注文を終え、おしゃべりをしていた。


「でも、いのりちゃん…本当によろしかったのですか?」


「ん?何が?」


「結局、証明写真機だけで写真を撮った事ですわ。」


「うん!遊びで証明写真機で撮る事なんて、今後たぶんないと思うから、せっかくの機会だしね!!それに…証明写真に見えない出来だし…。あごの下に手を添えて顔を斜め角度にしてカメラ目線…かっこよすぎ…。」


「あら、いのりちゃんも、体と顔を横に向けて目線は前のカメラに少し向けて、前髪をかき上げるポーズで、カッコイイですわよ。これは、プリクラ機では撮れないかっこよさですわ。」


「たしかに!プリクラ機だと、どうしても可愛くなるからね。」


二人は、笑いながら証明写真機で撮って出来上がった写真を見て、ゲームセンターでの事を話題にし、花を咲かせた。

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