~最強……最恐?
カノンが原さんに手を引かれ、二人が寄り道の為に来たのは、駅前の大きなショッピングモールだった。
ここは以前、美桜と峰岸君がデザインを発案したアルストロメリアの花の絵が飾られている場所だ。
カノンは目の前のショッピングモールのあまりの大きさに圧倒されていた。
「すごいですわ…。これがショッピングモール…とても大きい建物ですわね。外観はわたくしのお屋敷以上ですわ…。王宮よりは小さいですが…。」
「カノンちゃんの例え…。さすがと言うか、何というか…それより、中もすごいから、行こう!!」
カノンは原さんに手をひかれるまま、ショッピングモールの中へと入って行った。
ショッピングモールの正面入り口を抜けて、真っ先に目に飛び込んでくるサービスカウンターの背後に飾られている絵を見て、驚愕するカノン。
「こ…れは……国旗……?」
「?これは、美桜ちゃんと峰岸君が発案したデザイン画だよ。このショッピングモールのイメージデザイン画なんだって。国旗…ってどういう事?」
カノンのデザイン画を見た感想に疑問を抱いた原さんが、カノンに問いかけ、カノンは自分の国の国旗の事を説明した。
その説明に、今度は原さんが驚愕した。
「それじゃ…美桜ちゃん、カノンちゃんの国の国旗をもとにデザインしたって事だよね…。それは…カノンちゃん的にはいいの?」
「問題ありませんわ。むしろ、とても嬉しいです。わたくしの国に関係あるものが、このような場所で多くの方々の目に留めて頂けるのですから。
国の事を知らなくとも、国花ですし、こういう花があるのだと思ってもらえる事が、わたくしには大変喜ばしい事なのです。
それに…国の事が大切だと思えるようになったのは、つい最近で美桜さんのおかげなのです。」
「そっか。」
カノンが優しい表情で国の事を語る事に、原さんは安心した表情を浮かべた。
二人は、ずっと入口付近にいるのもよろしくないという事で、場所を移動し、ショッピングモールの中を見て回った。
「な!なんですのこのお店ーー!!お料理する為の道具がいっぱいですわ!!お料理するのに、こんなにも道具があるんですのー?!
お鍋やフライパンにもいろんな大きさや形があって、面白いですわ!!
あ!あちらはお菓子を作る為の道具ですわね!!お菓子作りにも、こんなに道具を使いますの?!
……これは…何を作る為の物でしょう…くぼみがあって、柔らかくて…何かを流し込むものだと思うのですが…。」
「それは、シリコンって言って、えーっと…なんて言ったらいいんだろう…化学物質…人工的に作られた物質をさらに加工して……。
うーん…ごめんなさい…私の口からは説明しづらいです。
でも、チョコレートを溶かしたものを流し込んで固める道具と言うのは、説明できるよ!!」
カノンは、数多のショップを見て回っていたのだが、一番興奮したのが調理器具を多量に扱うお店だった。
そのお店の中を目を輝かせながら、足早に見て回り、お菓子を作る為のコーナーでさらに目を輝かせた。
「すごいですわね!いのりちゃんが言っていた女子高生を楽しむという事は、この事だったのですね!」
「…うーん…私が思うのとだいぶ違う…かな…。そんなに目を輝かせるのは私が知る限り、カノンちゃんぐらいだよ。あ、でも、美桜ちゃんも目を輝かせるかも…。」
「あら…いのりちゃんが思っていたのとは違う…のですね。では、いのりちゃんが言っていた女子高生の楽しみ方、ご教授お願い致します!」
「任せて!!お店移動しよ!」
カノンの言葉に原さんは意気込み、意気揚々と先を歩き、別のお店へと向かい、カノンはそんな原さんの後を追う。
二人が向かったお店は、先ほど見て回っていた中の服を扱うお店で、お互いに服を選び合い、試着したりして、ファッションショーにも似たような事をして盛り上がった。
数着そんな事をして楽しみ、原さんの次!と言う言葉で二人はまた別の場所を目指した。
次に来た場所は、ゲームセンターだった。
「なんですのこれーー?!キラキラしていて、ざわざわしていて、なんだか胸が躍りそうな…パーティー会場にいるみたいな感覚ですわ!!これがパリピになったと言う事ですわね!!」
「……う、うん?…パリピ…パリピ?…んー…そもそも、日頃から何かしらのパーティーに参加しているカノンちゃんはパーティーピーポー?いや、パーリーピーポー?だからパリピ?………ダメだ!!考えすぎて知恵熱出る!!!」
「あぁぁすみません!いのりちゃんにすごく考えさせてしまいましたわ!!パリピは忘れてくださいまし!!えーっと…パリピではなければ……あ!こんな所に来る女子高生最高!…という事ですわね!!」
「……ふっ…あっはははは!女子高生最高!って…何それーー!!ゲームセンターに来るのは女子高生だけじゃないよ~。さっきから面白すぎる!!もう無理!お腹いた~い。カノンちゃんの興奮しすぎての発言怖すぎる!私を笑い死にさせる気?!」
「…そんなつもりは…ですが、たしかによく見たら、親子や、男子高生、大人の女性も多くいますわね。いろんな方が訪れますのね。」
「ふふっ…そうよ!ゲームセンターは老若男女、誰でも、いくつになっても来て楽しめる場所なんだから!!さ、目的はただここに来るだけじゃないんだよ!行こう!!」
原さんは得意げに、楽しそうに笑顔で、再びカノンの手をひきゲームセンターの奥へと場所を移動した。