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「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」  作者: 桜庵
最終章~最後の入れ替わり 最後の異世界生活・美桜編~
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~苗づくり~

「そういえば、お父様、雇用の方はどうなりましたの?先程のお話で、国の経済が活発になる事は確かなのですよね。」


フロックスやオリヴァーの報告を聞いていたサントリナが雇用の件をふと思い出し、まだ聞いていなかったなとオリヴァーに問いかけた。


「雇用の方も種類や人数、賃金、事細かに正式に決まったよ。……決まり過ぎて怖いくらいだ…。だけど、もうこの国に仕事がないとは言えないくらいに、話はまとまったよ。」

「そうでしたの。これで貧困に苦しむ方々がいなくなればよいのですが…。」


「…そうだね。それは…国と、我々貴族の今後も課題だ。何はともあれ、美桜さんのおかげで国全体が動き始めてる。明日からまた忙しくなるし、今日はもう遅いからこの辺で切りあげよう。」


サントリナの問いに答えたオリヴァーがサントリナとそのまま話し込んでいたが、視線を時計に向けると時間も遅く、会話もキリが良かったので明日の為に解散の提案を持ち掛けた。

皆がオリヴァーの言葉に賛同しその場は解散となった。



次の日。

オリヴァーやライラック、フロックスは今後の政策をさらに強固なものにするため午前中に王宮に出向いた。


美桜やサントリナ、アイリスはお昼ご飯を済ませ、制服のワンピースに着替えて花植えの準備をするため、孤児院へと向かった。


孤児院に着いた美桜達はシスターに声を掛け、事の説明をした。

説明を受けたシスターはにこやかな笑顔を浮かべた。


「通達は午前中に来ましたよ。この施設の大人達もぜひ手伝いたいと申しております。」


「そうだったのですか。お手伝い、心強いですわ。さっそく作業に入らせてもらいますね。」


サントリナがシスターと会話を交わし、美桜達に体を向けて、始めましょうと言う合図で美桜やアイリス、サントリナは施設内に入り、施設の大人たちと合流した。


「さて、美桜ちゃん、何から始めたらいいかしら?きっと仕事の早いお父様達の事だから、通達が来たという事は道具も揃っているはずよ。」


「そうですね…。そうしましたら、今は枯れていなくてもいいので麻の植物の繊維を集めて、器の形にする作業をしたいです。最初はその作業だけをして、いくつか器が出来たら作業を二手に分かれましょう。器を作る作業と、出来た器に土と(つぼみ)を入れる作業の二つに分かれます。」


「わかったわ。…麻の繊維…そうね…今すぐに枯れているものを用意するのは困難だけど、出来ない事ではないわね。今はできる事をしましょう。」


美桜の説明を受け、皆が納得し、動き出した。


オリヴァー達や施設の大人達が用意したであろう麻の繊維で、美桜が器のお手本を作り、それをもとに各々が作り始めた。

和気あいあいとしながら作業をしていき、数十個も器が出来上がったところで作業は予定通り二手に分かれた。


美桜とアイリスは苗づくりに、サントリナは引き続き器作りの作業に分かれた。

どうやらサントリナは手先が器用だったようで、器作りが思いのほか楽しく本人は大変気に入ったようだった。


美桜とアイリス、施設の大人数人が器を持ってスリジエの花畑に集まり、美桜がお手本で苗を一つ作り、肥料の為によける花の説明もした。

その苗や説明を手本に皆が作業をし始めた。


孤児院では大人数で作業をするという事は、畑に野菜を作る以外そうそうにない事なので、施設の敷地内で遊んでいる子ども達が大人達の作業に興味を持ち、駆け寄ってきた。

そんな子ども達に大人達は優しく丁寧に伝えると、子ども達は目を輝かせて、興味津々な様子で作業を手伝い始めた。


美桜とアイリスも花を前に並んでしゃがみ、作業を始めた。


「ふふっ。美桜様と制服のワンピースを着て、こうして作業が出来る日が来るなんて、嬉しいですわ。夢が叶いました。」

「夢…ですか?」


「はい!美桜様の発案…カノン様の発案…ものすごく感心していますの。この制服のワンピースも可愛いのに、汚れてもいいだなんて素敵なお考えです。普段着にもしたいくらいです。お二人のお考え…本当に私…感銘を受けますのよ。」


「そう言って頂いて…ありがとうございます。ワンピース…普段着にも出来ますよ。デザイン、いろいろあるんです。」

「本当ですの?!」

「はい!あ!もし、アイリスさんさえ良ければ、普段着と制服用のワンピースを作ってくださいませんか?たしか、カーネリアン家は衣服職人さんが大勢いて、服飾に力を入れているとこの国を学んでいる時に教えて頂きました。」


「えっ…そんな!よろしいのですか?!美桜様のお考えなのですから、フローライト家で事を起こされた方が…。」

「たしかに、フローライト家でもできる事かもしれませんが、専門的な事は専門家に…という言葉が私の国にはありまして…。なので、ここはカーネリアン家にお任せします。」


「…美桜様にそこまで言われてやらないのは…違いますわよね。わかりました!この件、カーネリアン家が責任を持って製作、販売し、民の利益になるように動いてみせますわ!」

「はい!よろしくお願いします!」


美桜と、アイリスは雑談を交えながら苗を作っていき、肥料にする分の枯れ始めている花を抜き取る作業などもしていった。


「(土いじり…けっこう楽しいです…。お菓子作りもそうですが、何かを作ると言うのは楽しいですね。将来の…夢…。『咲き誇る未来…一ノ瀬さんみたいだと思って』『一歩ずつ、出来る事を出来る範囲で』……。どうして今、雅君や鳴宮さんの言葉が頭をよぎったのでしょうか…。でも…お二人の言葉…今の私みたいです…。一歩ずつ…進みます。)」


美桜はオープニングセレモニーでの事を思い出しながら目の前の作業の事や自分の将来の夢を思いながら作業していた。

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