表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:H】

量子力学的跳躍と論理的飛躍

作者: 日浦海里

私とあなた

住んでる場所が離れているから

会いたくてもすぐには会えないでしょ


だから、あなたのとこまで

跳躍(ワープ)出来たらいいのにって

考えてみたんだ


ネットを繋ぐ光通信は、

ファイバーケーブルに光の粒子を飛ばして

通信先で再構成するよね


だから私も(おんな)じように

原子に分解、伝送されて

あなたの近くで再構成されないかなって


でもね、取り込んだ光を01に変えて

情報として再構成するネットと違って

飛ばした原子をまったくそのまま

(x,y,z)座標もまったくそのまま

同じ位置に再構成って

どんなふうにするんだろう

3Dプリンターみたいに

一粒一粒原子構造を変えて

打ち付けてるわけじゃないし

打ち付ける粒は原子よりは大きいから

きっと波にならないんだよね


原子程に小さくして飛ばそうとすると

まっすぐ飛ばずに波になるって

量子力学の二重スリット実験で

干渉縞が出来ることから

事象が確認されてるんだって


元の場所に戻せないなら

私は私じゃなくなっちゃうよね


記憶も思考する電気信号も

みんなどこかおかしくなったら

それは本当に私かな


原子の種類が違ったら

重さも違ってきちゃうから

一つ一つを飛ばすたびに

距離と重さと速度に対して

細かな計算が必要そうで

計算しながら粒子を飛ばすって

昔のカラープリンターみたいに

一枚印刷するだけで

とっても時間がかかりそう

横並びに飛ばしたら

互いの干渉でまっすぐ飛ばないかも、だから

飛ばすんだったら原子一粒ずつだよね

それって途方もない時間になりそうな気もするよ


私が私を認識できない間なんだから

私からすれば一瞬だけど

待ってるあなたは

その間ずっと待ってるんだもんね


それならいっそ

少し時間がかかっても

古典物理学を駆使して

飛行機に乗って電車に乗って

あなたに会いに行ったほうが

確実にそばに行けるよね


それからきっと

時間をゼロにするよりも

物理的距離をゼロにするほうが

きっと簡単だと思うんだ


今ここにいるあなたを

ぎゅって抱きしめて

これからも

ずっと一緒にいられるようにする


これはずっと昔から

出来ることが立証されてる方法だもんねっ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ワオ!! なんか ベタに甘いっすね。 小難しい筈なのに妙にメルヘンで 恥ずかしいくらいくすぐったい なんだろなぁ〜 ホワホワ?ニヤニヤ? う〜ん デレデレ  [一言] 恋の季節だ!! あ…
[一言] 量子力学を題材にして、ハートフルな方向性に作品を持っていくのがギャップがあって良いなぁと思いました。 量子力学、タイトルとしてはカッコイイのですが、扱うのが難しすぎて。 様々な専門用語を散り…
[良い点] 内容はもちろんなのですが、文章のリズムが好きだなぁ〜ってすごく思いました! ぜひ朗読で聴いてみたいです!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ