状況説明を…
「朝ですよ……起きてください」
誰かの声が聞こえる。私は、一人暮らしの筈なのに。
この声の主は気になるが、重たい瞼を開けるほどの事ではないように思い、寝返りをうつ。
「学園に間に合わなくなりますよ?」
また、声が聞こえる。
学園……?私は30歳だし、職業はただの事務や雑用だし……あ、夢なのか?
「いい加減起きなさい!澪さん!」
「うわっ⁈」
声の主に無理矢理掛け布団を剥ぎ取られた。
この事で強制的に私は目を開けさせられる。
「おはようございます。澪さん」
にこやかに私に声を掛けたのは、高校生くらいの青年だった。……いや…いやいやいや誰⁈
ていうか、不法侵入じゃない⁈不法侵入だよね⁈
「澪さん?」
「へ?あ、おはようございます……」
距離が近い‼︎なんなんだこの人!
苛立ちを覚えながらも、なかなか私は聞きたいことが聞けず、逆に冷静になり始める。
そういえば、この壁……私の家のと違う。まず、間取りすら違う。こんなに広くない。……どこだ?ここ。
「あの……」
「どうしましたか?」
話したくはなかったが、状況を聞くためには、この青年を頼るしかない。
「ここ…どこですか?あと、貴方は誰ですか?」
そう聞けば、その青年はぱっちりした目を一層開き、
まさに驚いたという顔をしていた。
「澪さん、冗談ですよね?」
「いえ、冗談じゃないです。」
恐る恐る聞かれた言葉に、私ははっきりと答える。
すると、その青年は崩れ落ちてしまった。
「え⁈だ、大丈夫ですか?」
「冗談じゃない?嘘だ……だって昨日まで、澪さんは私の事を…」
どうやら、この青年はどこかおかしいのだろう。私は、こんな青年にあったことはない。……いや、何処かで見た気もするが、接点は一切ない筈。…多分。
「澪さん、今日は学校はお休みにして、病院に行きましょう」
「へ?」
「病院に行きましょう。」
「ハイ」
すごい圧によって、了解してしまった私は、青年の正体もこの場所も分からぬまま、病院へ行くことになった。