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メリーゴーランド  作者: 湊 亮
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高校の時の私も同じく、勘違いをしたまま、戦場を走り続けた。


高校一年生の時は、定期テストで常に学年で一番になるためにひたすら「テスト勉強」した。


サッカー部に所属し、部活との両立もやらなければいけないと勝手に思い込んでいた。


しかし、部活と勉強の両立は本当にきつい。部活で疲れ果てた私は、勉強しようと机に向かってもすぐに眠りに落ちてしまう。朝目覚めると、宿題や予習もできずに学校に通うという日が続いた。


そこで、勉強するために、「部活から帰ったらすぐ寝る」という戦略を思いついた。


部活による疲れをまず癒すことで、途中で眠らずに勉強できるのではないかと考えたのである。


部活終了後、夕食を済ませて夜八時半から九時にベッドに入る。それから四時間から五時間ほど睡眠し、深夜一時あたりから朝六時頃まで勉強する。


そうすることで、部活と勉強を両立しようと努力した。その努力の甲斐あって、高校一年時には、学年トップクラスの成績を修めることができた。


しかし、高校一年の時、ある定期テストを全日程休んだことがある。そのときの私のテスト結果がどうなったのかは、はっきりと記憶がない。


クラスの平均点が私の点数になったのか、おそらくそのような対処を先生がしてくれたのではないだろうか。


テストの欠席は、「いい成績をとらなければいけない」というプレッシャーに押しつぶされて、あえなく逃亡した結果である。


「得体の知れないもの」からの逃亡だったのである。


その「得体の知れないもの」の正体は、今は理解できるが、その時の青年には見当もつかない。


ただただ、一生懸命、戦場を走り続けているのである。


その時の私の感情ははっきりとは思い出せないが、ただただ、「疲れてしまった」ということだろう。「なぜ疲れてしまったのか」、「得体の知れないものの正体は何か」ということに気がつく術も考えもなかった。


今思えば、「自分というものに向き合いなさい」「あなたは勘違いして走っているよ」ということを神様が私に気付かせてくれようとした最初のタイミングだったように思う。


その出来事に対して父親の対応はどうだったかも合わせて書いておきたい。


どのタイミングかは忘れたが、定期テストを全日程休んだ後、担任教師と三者面談があった。


その時になぜか父親が保護者として参加した。いつもは母親のはずだが、その時は父親が参加した。


そこで担任教師が私の定期テスト欠席のことを言及した際に、父親は「このままでは息子がだめになってしまうと思い、私が休ませました。」というような主旨のことを説明した記憶がある。


「その原因があくまで息子にあり、それを寛容にも私は許しているのだ。息子のわがままに寛容に対処している、心の広い立派な父親なのだ」ということを誇示しているような響きがあった。


これが先から述べている、行動によって子供に間接的に「罪悪感」を感じさせる手法である。


このような「罪悪感」を間接的に植え付ける行為を通して、自分の優位性を確保しているのである。


自分の「劣等感」を解消しているのである。


父親にもその当時の私と同様に「他者からの承認欲求」しかないのである。


子供が苦しんでいるか、楽しんでいるか、ということには関心はなく、「ね、私って立派な父親でしょ」ということを子供にも先生にもその他の人にも「承認」してほしいのである。


それは、父親もまた、私と同じように「戦場」を生きてきた結果なのだと、今は理解できる。


ここまで述べた解釈は、あくまで今の私の解釈である。


そんな解釈など当時の私にはできるはずもなく、私は、また間接的な「罪悪感」を背負い込み、道を変えることなく、日々の戦場へとまた帰っていくのである。


「他者からの承認」が生きるための唯一の切符であった。


しかし、高校二年生になると、レギュラーでサッカーをする機会も増え、先のような生活を続けられなくなった。


そして、約一年続いた「深夜勉強法」は破たんした。成績は下降していった。


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