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メリーゴーランド  作者: 湊 亮
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母親はどうであったか。


彼女もまた十分に「メリーゴーランド」で遊ぶことを許されなかったのではなかろうか。


彼女の両親は商売をしていた。


小さい頃から、その手伝いを強いられたのである。


商売をしている両親を横目に、家族全員分の夕食の準備をする必要があった。


まだ、友達と遊びたいのに、勉強や読書をしたいのに、彼女は、その欲求を抑え、手伝いを「強いられた」のである。


彼女は、三人兄弟の真ん中で、兄と弟がいた。


母親の両親、つまり、私の祖父母は、その兄に過度に「期待」していた。


期待の長男であり、彼に関しては、


「手伝いなどいいから、勉強をして、いい大学、いい会社に入りなさい。」


と、言われていた。


兄は、手伝いもせず、自由にのびのびと育てられたのである。


昭和真っただ中の女性であることの「不条理」を抱え、また、商売人の両親の下で生まれた運命を無意識に呪いながら、「欲求不満」を募らせて成長していくのである。



私の母親は、「薬剤師」になりたかったらしい。


薬学部を受験したが、残念ながら、失敗した。


それが、彼女の努力不足によるものか、家庭の事情(環境)によるものかは不明だが、その事実は、彼女に、ある種の「劣等感」を与えるには十分だっただろう。


文脈は、記憶していないが、私や長女の受験の折には、


「ホントは、子供たちには医者になってほしかった・・・」


というようなことをボソッと言ってきたことがある。


彼女の奥底に眠った、どんよりとした「劣等感」は、ここでも間接的に、弱者である「子供たち」に向かうのである。


彼女は、自分の「欠乏」を、子供たちで、必死に補おうとしているのである。


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