第1章1話 学生だった狐はサラリーマン(従兄弟)とともに異世界へ
初投稿になります、最初の方は少し読みにくいかもです。
(書く時間があまり無いので)投稿は不定期になります。
朝起きて、電車に乗って、学校に行く、そして卒業したら会社に務めて過ごしていく、そんな日常を過ごして行くものだと思っていたし少なくとも今までは実際にはそうなっていた、しかし運命はある事件によって変わった。平凡だった運命は変わる、[異世界転生]という形で...
うーん…
眠りから覚める様な感覚で微かに刺す陽の光を感じつつ目を開けるとそこにはたくさんの緑が広がって居た。
少し寝ぼけながら顔を動かさずに、目だけで軽く周りを確認すると、少なくともこの状態で見える範囲には木々が乱立している事がわかる。
どうやら太陽が真上で輝いているのが何となく分かる程の森の中で僕は目を覚ましたらしい。
あれ?何で森の中に居るんだろ?
さっきまで駅のホームに居たはず...
取りあえず現状を確認しようとして体を起こそうとすると、違和感を感じる。
不思議に思いながら体を起こしつつ、何気なく自分の体を見てみると自分の目に映るのは人の手足ではなく、橙と白、そして全体的に薄汚れた様な色の毛が見えた(勿論、人の物では有り得ない爪や肉球、そして尻尾も)……今思い出せる記憶を辿ってみるもそうなったであろう直接的な要因は思い付かない。
しかし、間接的に関係しているであろう出来事はある。それは目を覚ます前、登校中に起きた出来事。
いつものように駅のホームを降りて電車の乗り換えを待っていると、背中に衝撃を感じた。
まさか、幾ら混雑している大きな都市の主要な駅とはいえ押されるとは思っておらず、咄嗟に足で踏ん張ろうとしたものの、少し落下するまでの時間が伸びた位で結局、線路に落ちて行く。
せめて真正面からでは無く、背中側から落ちれるようにと落ちる途中で向きを変えると視界に入った中で見えたのは恐らく故意では無かったのだろう、自分がさっきまで立っていたはずの場所にいる驚いた顔をした大人の女性とこちらに手を伸ばしている若いスーツ姿の男性がいた。
けれど僕は手を伸ばせなかった、手を掴んだ所で一緒になって落ちると思ったし、単純に反応が遅れたという事もあるけれど、それよりも見知った顔を巻き込みたくなかったからだ。
そこからの記憶が無い、普通だったらすぐに来るはずの、線路に落ちた衝撃が背中に来るはずなのに…(そして、何処か体が痛かったりぶつかったという感覚は起きてからない)
近所に住んでおり、よく遊んでくれていて共働きの両親が仕事の都合で数日いない時も様子を見に来てくれていた、ゲーム仲間でもあり友人でもある少し歳の離れた従兄弟で名前を…
…?名前が思い出せない…
一緒にやっていたVRMMOのプレイヤーとしての名前ならすぐに出てくるのに…
「キュウン…」
(ローウェン…)
「ん?ようやく起きた?」
「!?」
まさか返事が帰ってくるとは思っておらず驚きつつも声がした方向に顔を向ける、するとそこにはスーツ姿の男性、では無かった、どこかの国の騎士の様な鎧を着ている男性がいた。
あれ?聞き慣れた声が聞こえたと思ったんだけど…知らない人?
頭には疑問が浮かぶものの、徐々に警戒を強めて行き何時でも動ける様に体制を変えていく。
「攻撃しないから!ちょっと落ち着いて!」
慌てた様子を見せるも、剣に手をかける素振りを見せないけど警戒は解かずに落ち着いている事を示す様にゆっくりと地面に座る。
「良かった、状況も分からないまま戦う事にならなくて」
騎士の格好をした人は安堵した様な顔をしている、獣に襲われるかと思って緊張していたからだろう。
…所で兜は被っておらず、僕は普通に顔が見えているので誰なのか分かっているものの、一応警戒しつつも様子を見ることにした。
オーウェンだと思うけど実際はどうなんだろう?
他人の空似という事もある…かな?
最近はあまり時間が合わずに一緒にできて居なかったので詳しくは分からないけど、剣や鎧は何度も装備しているのを見たことがあるもので、最後にゲーム内で装備していたものだろうし、顔はゲーム内でのアバターそのものに見える。
それでも何故僕はキツネなんだろう?好きだから別に良いけど、どうせなら僕もゲーム内のアバターでも良かったんじゃ?
そんな事を考えつつオーウェンを眺めている、どうやら周囲を索敵しているようだ。
ただ、オーウェンは索敵スキル持って居なかったはず、恐らくは目視だけで索敵していると思う。
何故そう思うかと言うと、今僕の向いている方向とは反対、つまり背中側から3体ほどの人間の子供サイズの何かが歩いて来ているのが聞こえているからだ。
どうしよう?大抵のゲームの序盤に現れる敵、ゴブリンだと思うけれどゲームの時に使えていたスキルや魔法が使用出来るという確信があれば無視していても良いぐらいだけど、かなり近くまで来ている気がする。
そう思いつつ、こちらに近づいて来ているゴブリン達の方向へと向きを変える。
オーウェンも何か感じ取ったのか後ろから剣を抜く音が聞こえてくる。
僕たちが臨戦態勢になってから数秒、警戒している方向からガサガサと聞こえてくる。どうやら草むらをかき分けて真っ直ぐこちらに向かって来ている様だ。
ゴブリン達はこっちの存在に気付いて無いはずだけど、運悪く僕達がいる所に来ているのかな?
ガサガサと聞こえ初めてからまた数秒、すると先頭を歩いていたらしい緑色の肌を持つ奴が現れた。
野生のゴブリンAが現れた!
オーウェンの攻撃!ゴブリンAは死んでしまった…
展開が早かったせいで僕も一瞬何が起きたか分からなかったけど、どうやらオーウェンが詳しいスキル名は分からないけど斬撃を飛ばす系統のスキルを使ったみたい。後ろで剣を振る音と何かが頭上を通る音がしたし。
ゴブリンのお腹から上が2つに別れても居るからそうだと思ったんだけど…意外と落ち着いてるな僕、普通だったらモザイク必須レベルのスプラッタが広がっているから吐いたり取り乱したりするんじゃないかな?
何か精神耐性的なのでも付いてるのかな?異世界転生物で割と見かける気がするし、オーウェンも特に動揺とかして無さそうだし。