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第八話


リーメイル亭の部屋に直接転移して帰って来た。

テーブルの上に軽い食事と果物が数個置かれてた。

総支配人か。俺は笑みを浮かべた。

過度なサービスは断ったが、このさりげなさの心配り、流石この道五十年超え。

取り敢えず風呂に入るか。


ゆっくり風呂に浸かり精神に安らぎを与える。

ここまでの気分が良いのは久しぶりだ。

この世界の、この大陸では何故か気が休まる。


「メディア…」


思わず呟いていた。

俺は自分でもその名を呟いた事に驚き考え、理由に思い至った。


「ふっ…ロセッティか…」


二人とも美少女と評価出来る少女だが、

性格や容姿が似ている訳ではなく本質的な中身が似ている。

自分を犠牲にしても、他人を助けたいと考える自己犠牲精神を普通に全面に出すところが。

その事を疑問に感じず当たり前に行える事、一般的に聖女と呼ばれる存在。


「ロセッティにもその資質があるか…」


ふと違和感を感じたがそれが形になる前に霧散する。

まぁ良いかと風呂から上がり寝床に入る。

思った以上に疲れてたのか、素早く眠りに落ち意識が無くなった。



@@@@@@@



思った以上に疲れていたのか、日が昇るまでグッスリ寝てた。

体調も良いし今日中に片を付けようか。

などと甘い事を考えて着替えをする。

すぐにユーイング老と待ち合わせの部屋に転移する。


「おはよう。」


「おお、おはよう。おんし早いの。」


「良い宿を教えてくれたから、

グッスリ寝れたからな。本当に良い宿だ。」


「気にいったなら良かった。それで、こんな早くにどうしたんじゃ?」


「うむ。昨日冒険者ギルトでちとゴタゴタがあってな。

そこそこ手練れ揃いだったので、探索に使おうと思ってな。

で、依頼に行くのを老人に付き合って貰おうかと。」


「そんなことか。じゃあ行くかの。」


「助かる。昨日騎士団長が木簡と書状をくれたんだが老人の差し金か?」


「うむ。多分いると思っての。書状は三通あったじゃろ?」


「ああ、冒険者、商人、魔術のギルド宛にな。」


「魔術ギルドはわしの紹介で、商人ギルドは王の紹介じゃ。」


「そうか…冒険者ギルドは騎士団長だった。

それで用意は良いか?転移で行くから返事したら跳ぶぞ?」


「わしはいつでもいいぞ。」


返事を聞くと俺はギルド前に転移した。



@@@@@@@



ギルド前に転移して来た。

まだあまり人がいない間に依頼を済まそうと思い早めに来たのだが…


「おっ少年遅いぞ」「小僧、危険だと云う任務、報酬も期待しているぞ」


などと気軽に声を掛けてきた昨日いた冒険者達だったが、

俺の後ろにいるユーイング老を見て絶句した。


「ま、まさか筆頭魔術師のユーイング!?」「本物か?」

「そういや昨日も騎士団長直筆の書状とかいってたな」「マジかよ!?」


昨日と同じ受付嬢の所に行き依頼を頼む。

受付嬢はギルド長を呼ぼうとしてたが、俺は無理に呼ばなくていい。と断った。


「さて依頼だが…」


俺はギルド内にいる冒険者達に説明する様に告げた。


「リーメイル国内の遺跡や洞窟、ダンジョンの中など、

秘密裏に召喚や儀式魔術が行われている様な所を探索して欲しい。

唯、相手は魔族、それも最低は中級だと理解してくれ。

任務詳細は討伐じゃなく探索だ。それを間違いないように。」


「これは確かに危険だな…」「だな…討伐でなくても見つかれば戦闘になる…」

「報酬次第だな。」「俺達は無理だ諦めるよ。」「偶然に見つけたら儲けもの。」


「この依頼は国の騎士や兵とかち合う事もあるが、それでも報告は頼む。

騎士団の報告と状況を照らし合わせて報酬も出す。

さて、無事本命を見つけたら金貨百枚出す。偽物のダミーで金貨十枚。

魔族討伐には報酬は出さない。理由は解るな?

討伐報酬は騎士団から出るが危険に似合わないものだろう。

無論、複数パーティーで挑んで貰ってもいい。その分報酬は下がるが。」


「ふむふむ。それで良いなら参加してみるか?」

「誰か僕達と組んでくれるパーティーいるか?」


「あと、リーガントレット国境方面は行かない様に頼む。

隣国とは停戦しているが戦争は続いているんでな。

もう一つ。探索場所に向かう前にギルドに報告を。

帰って来ないパーティーがある場合に備えないとな。」


俺がニヤリと挑発する様に言うと怒声が上がった。


「ふざけんな。俺は生きて帰ってくる!」「全滅なんて無様すぎるわ!」

「俺達は無茶はしないぞ!」「この稼業、生き死には時の運だ…」


「では参加者は地下に集まってくれ。

どこを探索するかを地図で書き残し二度手間を防ぐ為にな。」


俺はそれだけ言うと受付嬢に報酬の金貨百枚とダミー発見用五十枚を手渡した。


「あとの手続きはギルドに任す。

だがこの依頼を受ける冒険者達を、ギルド長と話しが終わるまでギルドから出すなよ。

普通の依頼を受ける冒険者達は別に良いが。」


「はい、分かりました。」


「では、ユーイング老。ギルド長に話を通しておくか。」


「あの…ギルド長ですが、最初から話を聞いてましたよ。

奥からこっそりと。」


「ああ、それは気付いてたよ。別の話があるんだ。」


「そうなんですか。案内は?」


「いらない。ユーイング老がいるから大丈夫。」


「分かりました。では奥へどうぞ。」


俺はユーイング老と奥に行きギルド長に面会した。

ギルド長は俺を見るとビクビクして、

後ろのユーイング老に助けを求めるかの視線を向ける。


「おんし、昨日なにしたんじゃ?」


「何も。ただカウンターまで出てこないなら国賊として討伐令を出すと脅しただけ。」


「おんしが暴れとらんのなら別にいいか。」


うむうむ。と呟くユーイング老を見てギルド長は明らかに落胆した。


「ギルド長、依頼の話だ。ここに大銀貨百五十枚ある。

探索依頼を受けた冒険者達に一人一枚渡せ。危険手当の先払いでな。

依頼の報酬はカウンターに渡したのは確認しているな?では頼むぞ。」


俺は帰ろうとユーイング老に振り返るとギルド長から声が掛かった。


「昨日頼まれたギルドカードですが…」


「おおっ忘れてた。出来てるのか?貰おう。」


「おんしには必要ないじゃろ?」


ユーイング老が呆れた様に言うが俺は反論した。


「何言ってんだ。初心冒険者の若造が身の程を知らずに色々首を突っ込んで、

無双する。面白いと思わんか?」


ユーイング老は俺の言葉を聞き、ため息を吐き、

ギルド長は頭を抱えた。


「冗談だ。ギルド長、俺の正体を教えておく。」


そう言って俺はリーガントレットのギルドカードを出した。


「こ、これは…」


絶句したギルド長にユーイング老が声を掛ける。


「本人なのはわしが保証するぞ。

昨日来て昨日の内にリーガントレットと停戦合意してきよったからな。」


「ギルド長、誰にも言うなよ。」


「わ、分かりました。」


ギルド長はカードを返してきながら何とか返事をした。


「では夜までに一度顔を出す。冒険者達が何処に向かったかの地図を用意していてくれ。」


そういうと俺はユーイング老と城に転移して戻った。






次でやっとペットが出せる。

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