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第四話


俺は歓声を上げている人達を放置して玉座を元に戻した。

リーガントレット王が小声で聞いてくる。


「まさか玉座の下に封印されてたとは…

勇者王様がお亡くなり、残された書物から王城のどこかに隠されてたのは解っていたのですが…」


「勇者王様は止めろ。シンヤと呼べ。月光剣に穢れがなかったから、思ったより平和だったんだな。」


俺も小声で返した。


「はい。今まで王城にまで入り込めた敵対者は数人の暗殺者だけです。」


「ふむ。だが今から忙しくなるぞ。今回の戦争を引き起こした奴等と目的がまだ分かってないんだからな。

取り敢えずリーメイル王国との戦争状態、国境でのにらみ合いを維持したまま、リーガントレット国内を詳しく調べた方が良いな。」


「はい。その様に計らいます。」


「さて腹が減ってんだ。出来れば軽い食事も出して貰えると有難い。」


王は頷くと王付きメイドをよんで指図をし、謁見の間に向かって声をかけた。


「皆の者よく聞け。戦争状態はまだ続く。しかし迂闊にこちらから仕掛ける事はない。

今まで通りに振舞え。騎士団長達は休憩後、戦時会議室に集まれ。」



@@@@@



俺達はリーガントレット王の案内で王の私室近くの部屋に案内され食事を振舞われた。

リーガントレット王は宣戦布告に至った経緯を説明してくれた。


「やはり召喚術師が盗み出してたか。身元は洗えたのか?リーメイルでは怪しい点はなかったとのことだったが。」


「はい。本人と思われる死体を確保してます。」


「と、いうと頭が無かったか…リーメイルが危ないかもな。」


俺は腕を組み顔を天井に向け考えに耽った。


「王、俺はこの戦争の裏で、リーメイルの国内での召喚術か儀式魔術を使った、大掛かりな何かをしてると思っている。リーメイル王国には国内の怪しい場所を探し出し急襲して押さえろと指図してこっちに来た。しかし先程も言ったがリーガントレット国内でも調べてくれないか?」


「はい。すでに調べさせてます。」


「第三国なら良いんだが多分魔族、それも最低でも中位魔族が絡んでるはずだ…

王、今日から月光剣を寝る時も離すなよ。中位ならまだ良い。だがもし上位魔族が絡んでたなら城の結界じゃあ抑えきれないな……ちっ…もっと楽に片が付くと思ってたが、ちと苦労しそうだ。」


俺は頭をガシガシ掻いてため息を吐いた。


「あの…勇者様。」


「勇者様は止めろ。シンヤと呼べ。」


「で…では私も王女じゃなくロセッティとお呼び下さい。」


「分かった。で、なんだ?」


「召喚術師様の頭が無いと云うのはどうしてなのですか?」


「魔族には捕食擬態ってスキルがあるんだ。で、このスキル、もってる奴が成り済ましたい人間の脳を喰うと、喰われた人間と瓜二つどころか記憶まで読まれて本人になれるんだ。俺には通じんがな。」


「シンヤ様はどのぐらい強いのですか?」


「もっと聞きたい事もあろうに…今の俺は当時倒した魔王ギルツゲーネフを掠り傷負わずに倒せる。」


「ぶっ!」


横で聞いてたリーガントレット王が吹き出した。

ゲホゲホ咽て信じられない顔を俺に向けている。


「信じられないだろ?だが事実だ。俺は状況に因ってはこの国を亡ぼすつもりでいたんだぞ。

良かったな王よ。この国が原因でなくて。」


俺は意地の悪い笑顔を浮かべてリーガントレット王に言った。

王は白い顔をして、こくこくと頷いてる。

その横でロセッティが青い顔をしながら聞いてきた。


「あ、あのもしかして…」


「ああ、リーメイルが原因ならリーメイル王国が滅んでいたな。」


俺はシレっと答えて茶を飲んだ。

ロセッティも青から白に顔色を変えて震えだした。

ふと気付いてロセッティに聞いた。


「ロセッティ、俺を鑑定してなかったのか?

ユーイングの爺さん、そんな基本的な事も教えてないのか…」


「い、いえシンヤ様。教えて貰いましたがシンヤ様は、鑑定できません。って反応があるだけで…」


ん?常時発動の隠匿スキルを破れないのか…ユーイングの爺さんが何者か聞いてきた理由が分かったな。


「そうか隠匿スキルで鑑定を無効にしているらしいな。さて、王よ、この国の方は任して大丈夫だな?

俺はリーメイルで一仕事する。数日中には片が付くと思うので、その時にまた寄らせて貰おう。」


「はい。お待ちしています。」


「最後に、王族が人前で遜るな。理由を知らない下の者達に舐められるからな。」


「はっ。勇者王様の教えは現在も残っていますので。」


「次に顔を出した時は使者として対応しろよ。」


俺は返事も聞かずリーメイル王国に転移した。







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