表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/35

第三話


「さて王女。今からリーガントレット王城の謁見の間に転移するが準備は良いか?」


「ふぁっ!?」


王女はあまりに驚いたのか変な声をだした。


「王女…」


ため息付きつつ王女に声をかけた。

王女は慌てて、


「大丈夫です。」


と言い訳したが、慌てている時点でダメじゃん。


「いい加減、冷静対応する術を身に付けてくれ。」


王女はしょんぼりして俯いた。


「王女、その態度を見せるだけで駄目なんだ。

無表情か微笑みを浮かべているだけで良いからそれを徹底しろ。

あとリーガントレット王城に着いたらリーメイル王国の王女らしく挨拶と態度で振舞えよ。」


「はい…。頑張ります…」


王女は悲痛な表情で答えた。

なにか俺が悪い事してるような感じだな。

ため息付きたくなるのを押し殺して俺は確認する。


「では、転移するぞ。王女が返事するとリーガントレットだから落ち着いてな。」


王女は深呼吸して言った。


「お願いします。」



@@@@@



リーガントレット王城の謁見の間に転移した。

一瞬、辺りに沈黙が漂う・・・


「衛兵~賊だ~」「陛下を守れ!」「きゃー!」「なんで転移してこれるんだ!?」


阿鼻叫喚の騒ぎになった・・・

なんでここまで騒ぎになる。

俺は憮然とした顔で周りを見渡した。


王が一喝した。


「静まらんか!!!」


謁見の間に静寂が戻った。

そこに俺の声が流れる。


「王女挨拶を。」


王女は微かに震える声でリーガントレット王に挨拶をする。


「リーメイル王国のロセッティです。いきなりの訪問をお許し下さい。」


俺は王女にだけ聞こえるように上出来だ。と呟いた。


「おおっ、やはりロセッティ王女であったか。無事で何より。」


「まずはこの親書を収めて下さい。」


「うむ。読ませて貰う。・・・・・これは……」


戸惑いの顔になり、リーガントレット王は俺と親書を見比べている。


「何か問題でもあるか?」


「いやないが…お前はリーメイル王国の人間では無いな?」


「ああ、俺の名は八橋信哉。半日ほど前にリーメイル王国に召喚されたばかりだ。」


俺の名のりが終わるなり謁見の間はまた喧噪に包まれた。


「やはり召喚術の持ち出し…」「密偵どもは何をしてた!」「陛下ご決断を!」


「静まらんか!!!!!」


先程以上の大声量でリーガントレット王は一喝した。


「信哉殿。この国での名を名のってくれぬか?」


リーガントレット王は俺に頼んできた。


「陛下は何を…」「たかが一使者に…」「敵国の使者にこの国の名が…」


今度は小声であちこちからひそひそ話が聞こえてくる。

やはりまだ伝えられてたか…

俺はため息をつき仕方なしに答えた。


「俺の名は八橋信哉。しかしリーガントレットではこう名のっていた。」


一息あけ名のる。


「シンヤ・B・エイト・ムルク・リーガントレットと。」


「まさか勇者王様か!」「馬鹿なありえん!」「若すぎるだろ」「転移してこれる訳だ…」


とか、またざわめき出したが王が一喝するほどではなかった。


チラッと王女を見ると、何とか表情を冷静に保とうとしているが、脂汗を垂らしていた。

まあ仕方ないな。頼りにしてた召喚者が敵国の勇者王だったなんて。

いやわざとじゃないよ?説明するのが手間だっただけで(笑)


リーガントレット王は「うむ。」と頷いて、


「やはり勇者王様か。王家には勇者王様の世界の御名が伝えられてます。」


「そんな話はどうでもいい。リーメイル王国への宣戦布告の概要を聞きたい。」


「では別室で…」


「いや、その前に俺が勇者王だったのを証明をしとこう。

王よ、済まないが玉座を空けてくれ。」


リーガントレット王は頷くと玉座から立ち、玉座の後ろに下がった。

俺は玉座を持ち上げて横に置き、玉座の下にある床石を外し中にあった細長い包みを取り出した。

包みを解いて中にあった宝剣を出しリーガントレット王に向かって言う。


「シンヤ・B・エイト・ムルク・リーガントレットが、エルリッヒ・スルト・ムルク・リーガントレット王に護国宝剣の一振り、月光剣ムーンライトをここに返還する。」


「「「うおおおぉぉぉ!!!!!」」」


謁見の間に大歓声が響き渡った。






作中でシンヤが軽々玉座を持ち上げて移動させてますが、

大体の重さは、一トンオーバーと思って下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ