第三十一話
本当に遅くなりました<(_ _)>
現リーヘルム公都の北門に転移してくる。
すぐに間を置かずもう一度転移する。
クールメーナが驚き、慌てて周りの平原を見回して言ってくる。
「ど、どこですかここ?」
「Sランクの称号持ちが狼狽えるな。この場所は元帝都の城があった所だ。」
俺がそう教えるとかなり驚いた顔をして背後の公都との距離を何度も確認している。
「こ、ここが、元帝城跡…?」
呆然と呟くクールメーナ。
「正確には帝城の城門前だがな。」
少し小高い丘の前に立っている俺達。
この丘は帝城が元になっている。
ギルツゲーネフ討伐時、城の上部が消し飛び、残った建屋も崩れたので、使える建築素材は今の公都の壁に使い、残った使い道の無いクズ素材はここに盛り付けた。
ここに城があった事を示す目印はこの丘だけだ。
俺は丘の頂上に上がり公都の方を向き、マップを検索してリーヴァンブレイズの動向を見る。
………予想以上に魔物の数が多いな。
仕方ない。ちょっと手助けしていくか。
俺は魔力制御球を五個作り周囲に浮かべる。
次に圧縮空気の弾丸を作成して中心コアに親指大の硬い石を入れる。
それを周囲に浮かべながら次々に作り出し大体千程出来たのを確認して撃ち出す。
雑魚魔物には一発づつ、強さや耐久力がある魔物には三連射で撃ち込む。
マップと連動させた制御球に因って撃ち漏らしはない。
リーヘルムの城壁からまだまだ見えない位置でアッサリ壊滅する魔物達。
くくくくっ…
狼狽えているな。
魔物使い共が右往左往しているのがマップでもわかる。
序でにスタン弾を喰らわせておく。
運が良ければ生き残るだろう。
『レウースきこえるか?』
『うむ!魔物共の気配が消えたが、其方の仕業か?』
『ああ、ちと多かったので蹴散らした。
今からレウースを人間の本陣上に転移させる。適当に暴れたら直ぐにリーヘルムに退避しろ。
俺は訳があって、人同士の戦いには直接関与出来ない。』
『うむ!何時でもよいぞ。』
『大体、リーヘルム城壁と同じ高さに跳ばす。気をつけろ。
では3・2・1・ゼロ。頼む。』
『任せよ!』
その念話が切れた直後に、ここから南西の遠い位置から竜の咆哮が微かに聞こえてきた。
くくくくっ…
本陣にいた数千の人間が蜘蛛の子を散らす様に散らばっている。
果敢にレウースに対抗しようとしている者は数名しかいない。
それもレウースの尻尾の一振りで吹き飛んであっさり反応が消えた。
本陣がアッサリ壊滅して前衛に取り残された軍も潰走しだした。
だが前衛軍の本陣は多少散らばったがまだ二千程が纏まって行動している。
このまま見ていたいがこっちも用事があるので動く事にする。
「キャラテ、クールメーナ、近くに来い。転移する。」
そう呼び掛けて最後にもう一度マップを見れば、リーヴァンブレイズの前衛軍が、高速撤退しているレウースに後方から突っ込まれる場面だった。
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「くくくくっ、ははははっ!」
転移してきて俺は我慢できずに噴出した。
びっくりした顔で俺を見るクールメーナに先程マップで見た状況を教える。
クールメーナは複雑な顔をして一つ頷くと問いかけてくる。
「あの…また同じ事を聞きますが、ここはどの辺りでしょうか?」
「ああ、リーヘルムの国境砦があった場所だ。もう少し先に小さな村が出来ていたと思うが…」
「元三国の国境沿いですか?そこそこの大きさの町になっていますが…」
「そうか。
ではここから襲撃がいつあっても良い様に警戒していろ。それに俺とキャラテを守ろうなどと考えるなよ。特に戦闘中のキャラテに近付けば命の保証はない。」
「…はい…」
渋々といった感じで答えるクールメーナ。
「術での防御も不要だぞ。特にキャラテには。不用意にキャラテに防御術をかけると魔力が枯渇して死ぬぞ。」
「ど、どう言う事ですか!?」
「今は時間がない。また次の機会に説明してやる。ただ、キャラテがいる範囲で防御系の術は使うな。俺の言葉を守れない奴は倒れても放置していく。倒れても助けはしないからな。」
「分かりました…」
クールメーナの返事に重ねる様に言葉を続ける。
「さて、今から高速移動する。クールメーナは付いて来れ無くなれば潜伏してクラン本部を目指せ。危なければ撤退しろ。キャラテ、敵性反応の無い人を蹴散らすなよ?
では行くぞ。」
「ちょ、ちょっと…」
クールメーナが何か言いかけているのを無視して走り出す。
キャラテはピッタリ、俺の右手後方の位置で俺の速度に合わし付いて来る。モグモグしながら…
クールメーナも必死に追い付いて来る。
そのまま国境の町に入り人々を避けながら町を通り過ぎる。
マップを確認して移動スピードを上げる。
ほう…まだ付いて来れるか。
クールメーナも走る速さを上げまだ追いすがって来る。
しかしここまでだな。
上位鑑定で見やるとスタミナが見る見る減って体力まで減っている。
俺はもう二段階、走る速度を上げる。
既に走っている速度は時速70キロを越えている。
大体、サラブレット馬のラストスパートを超える速さだ。
段々とクールメーナを引き離す。
と、俺に並走しだしたキャラテがふっと消え、後方から土煙を上げ追いかけて来てまた並走する。
左手小脇にクールメーナを抱えて………
………………………
クールメーナが俺の視線に気付き困った顔して頭を下げてくる。
「キャラテ、ポイしなさい。」
俺の言葉を聞きクールメーナがショックを受けて泣きそうな顔を見せる。
しかしキャラテは首を横に振り断った!
「パパ、こいつは役に立つ。多分…」
ふ~ん…キャラテの勘か…仕方ないか。
「じゃあそいつの面倒は任す。もうすぐ次の宿場所が見えるからそこを抜けたらもう少しスピードを上げて進むぞ。」
「ん。」
いつもの簡潔な返事を返してきて収納鞄から食い物を出しモグモグしだしたキャラテ。
こいつは何時までどれだけ食うんだろうか?
簡易宿場所を通り抜けて速度を上げながらそんな思考が頭を過った。
さてこの続きは来月末までで。
今月末までに水中花表を出したいと思います。
ですがまた伸びる可能性もあるかも|д゜)
裏も早めに出したいと思いますがまだ未定で<(_ _)>
今年は台風に苦労させられました(´Д⊂ヽ
月一更新も守れなくなりまして申し訳ありません<(_ _)>




