第二十三話
公園内の全屋台を見て回り全種類の食い物を買い美味かった物を余分に買い無限収納に取り込む。
俺は早々に腹が膨れて無限収納に取り込んでいたがキャラテは全屋台の全種類を制覇した。
「………」
もぐもぐ
「…………」
もぐもぐもぐ
「………………」
もぐもぐもぐもぐ
「…な、なぁキャラテ…」
もぐもぐ物を食っているので首を傾げて俺を見てくるキャラテ。
「お前、大丈夫なのか?昨日からちょっと食いすぎだと思うのだが…」
「もぐもぐ…ふう、ダイジョブ!まだまだ食べれるよ?」
「まだ食うんかい!なんでいきなりそんなに食う様になったんだ?昔はあまり食わなくてメディアに良く怒られてただろ?」
「ん~…ブレス吐いたからかな?」
「えっ…何それ…」
俺は呟き絶句する。
よく考えたら俺は、キャラテがブレス吐いたのを見た事がなかった。
威力の程は知っていたが…
キャラテの屋台食べ歩きが三周目に入った時、俺はヴェルテルに念話で問いかけた。
{ヴェルテル、今時間あるか?}
{魔王さ…いえシンヤ様!あなた様なら戦闘中でも構いません!要件はなんでしょう?}
{60年程前にキャラテがブレス使った後の事だ。その後のキャラテの様子を詳しく教えろ。}
{はい!人間の艦隊を薙ぎ払った後、三日ほど姿を見なくなりまして、後で聞いた話ですが森の奥地で狩りをしてずっと食べていたとしか…}
{………三日間ずっと食っていた。と…?}
{はい。私にはそのように言ってました。その後リーブレストに行く用事が出来たと言って十日程帰って来ませんでした。}
{…最後に、艦隊を蹴散らした時と今回のブレスの威力、どっちが上だ?}
{威力の程は解りません。規模で言えば艦隊を沈めた時の方が広範囲だったとしか…申し訳ありません。}
{いや、充分だ。そっちも忙しい時に邪魔をしたな。あと早めに片を付けて時間を作っとけよ。いつ呼び出しても良い様に。}
{はっ!仲間や部下も頑張ってくれていますのでいつでも大丈夫です。}
{そうか。また連絡する。}
{はい!お待ちしています!}
ヴェルテルとの念話を終わらせキャラテに聞く。
「キャラテ、あとどれぐらい食べる?量で教えてくれ。」
「ん~あと五周ぐらいかな?」
マジかよ…俺は無言で収納鞄のショルダーバッグを取り出しキャラテの肩に掛ける。
カバンの中に銀貨が100枚入った小袋を10袋入れてキャラテに言う。
「俺はギルドに戻るからキャラテはゆっくりと買い物しながら食っててくれ。多分すぐ終わるから適当に街を歩いて買い物しててくれ。お金を払うのを忘れるなよ?バッグの中の袋は全部銀貨だからキャラテが食べるくらいの分は入っている。」
「ん、分かった。適当に食べてるから早く帰って来てね。」
「うむ。出来るだけ暴れるなよ?では後で。」
俺は急いでギルドに戻った。
@@@@@@@
ギルドの受け付けでリーメイルのカードを出しギルドマスターに面会したいと言うとすぐに案内を付けて通してくれる。
部屋に着き俺の到着を告げると案内人は戻って行った。
部屋に入るとギルドマスターの他に先程、城に行った女性も居た。
俺は客用のソファーに勝手に座り話しかける。
「情報を聞こう。」
「はい。クラウディアさんは勿論、生きています。
私がギルドマスターになったのは3年程前なんですが、その時に態々お越しになられて挨拶をしてくれました。」
「で、今何処にいるか判るか?」
「いえ、さすがにそれは分かりません。」
「ふむ…クラウディアが生きている情報だけでもいいか…
じゃあ、リーメイルとの戦争になりかけた話をするか。
お前達ギルドは何をしてた?国境砦の戦時陣内にギルド員が一人もいなかったが。
まさか何も情報集めをしていなかったのか?リーガントレットの騎士団に魔族が入り込んで戦争を煽っていたのに?」
俺が少し威圧しつつ言うとギルドマスターは脂汗をダラダラ流しながら言い訳してきた。
「ま、待って下さい!勿論密偵を放っていましたが殆どが行方不明になりまして!」
それを聞き威圧を解除する。
「ふむ…一応、やることはやっていたか。では言っておく。その不明者達は皆死んでいるぞ。軍務大臣が洗脳されてて、軍内部に上級魔族が居たからな。もし生きて帰って来たとしたら魔族と思って対応した方がいい。」
「じょ、上級魔族って…」
青い顔をして絶句したギルドマスター。後ろにいた女性も目を瞠って驚いている。
「ああ、上級魔族3、中級魔族8、下級魔族17程いたぞ。無論全部片付けたがな。」
俺の言葉に蒼白になってた顔が最後の片付けたで、ふ~と息を吐き元の顔色に戻る。
「助かりました。流石に上級魔族が三体も居ればこのギルド上げての討伐になってギルドが立ち行かなくなるところでした。」
「安心するのは早いぞ。世界平和クランの事を聞きたい。あのクランの目的は人間国家に入り込んだ魔族の殲滅が至上命題に掲げていたはずだ。なのにクランの人間も一人も居なかった。何か情報は無いか?」
「…言いにくいのですが、団長命令との事でクラン全体でリーメイルの東方面よりリーガントレットの北方面と西方面を重要視して活動をしています。」
「で、ギルドの監視機能は?」
「……何もないとの報告は受けています…」
「ふ~…、大国のギルドマスターは苦労するな。俺がクランを潰した後の事も考えておけ。どれだけ汚染されているかによるが最悪の状況だったならクラン団員を皆殺しにする。団長達幹部連中の汚染だけで済めばいいな…」
俺はそう呟くように言うと立ち上がる。
ギルドマスターは慌てて言った。
「ま、待って下さい。クランを潰すって、あなたが知っている時代とは人員の数も桁が違います!大陸中に散らばっている団員数も入れれば万を超えているんですよ!それに現団長は勇者の称号を得ています。民衆を敵に回しますよ!」
「ん?俺は別に構わんぞ?魔族だろうが勇者だろうが王族だろうが一般民だろうが例え神だろうが、俺の鑑定で敵対反応があれば全て始末する。それにお前達二人、蟻の一万や十万に襲われるとして負けるのか?万全でない体調でも範囲魔術は使えるだろ?俺にとっては、この大陸全ての人族を敵に回してもそんな感じで敵にもならん。ギルツゲーネフが使った広範囲殲滅魔術を超える術を無詠唱で連打して使ってやろう。お前達も敵になるなら覚悟しろよ?」
俺の淡々とした言葉を聞き、紙の様な白い顔で再び絶句したギルドマスター。
後ろで聞いていた女性は俺の言葉を聞いて顔を険しくして何時でも飛び掛かれる様に戦闘態勢を整えている。
俺はあっさり背を向け部屋から出て後ろ手で扉を閉める時に肩越しに声を掛ける。
「腕の立つ密偵をクラン周辺に放て。俺は今からクランに行き調べる。汚染されていないと良いな。」
@@@@@@@
俺はギルドを出てキャラテが居る方に歩いて行く。
予想通りギルドから隠密スキルで俺の後をつけて来る者。
それとは別にギルドから多数の者が飛び出し周囲に散って行く。
特に俺が行く予定のクラン本部がある北に向かう者が多い。
さて何人俺に付けたかなっと…うん?一人…?
マップに映って反応しているのは一人。
しかも微かに殺気を纏っている。
う~ん、どうするか…
片付けたいがギルドマスターの部屋に居た女性だからな…
名前はクールメーナ 年齢は24
先程会った時着ていた皮を加工して仕立てている鎧を着ている。
王都内に彼女以上の実力者居ない。ギルド員限定だが。
ギルドマスターは上位10名に入る者と言っていたが文句なしに彼女がナンバー1だろうな。
仕方ないか…実力差を見せつけ追い返すか。
俺はキャラテに念話で少し用事できたからのんびり買い食いしててくれと言う。
了解した返事の「ん。」が返って来たのでキャラテが居る中央公園から離れた別の森林公園に向かう。
@@@@@@@
森林公園で人気がない方に歩いて行く。
マップで50メートル四方に人が完全に居なくなり、視界の通らない所で襲い掛かって来た。
大振りのナイフを両手で持ち接近戦を仕掛けてくる。
と、見せかけ至近距離で十数本の小型ナイフを投擲してくる。
直撃コースは五本だけあと十本は左右と上に飛べない用の牽制だ。
直撃コースの狙い箇所も凄まじい。
右目、喉、心臓、股間、左足首…
よく至近距離の投擲でばら撒き、狙いを付けれると感心する。
転移で避けるのも実力を侮られる気がして全部受ける事にする。
微妙なタイムラグで飛んでくるナイフを全て手で掴み相手に投げ返す。
無論、身体に刺さる箇所には投げないで着ている鎧や服の端に縫い付ける様に。
二本は両手のナイフで防がれたが残り三本はしっかり鎧の端に刺さる。
勿論それで終わらない。
両手の指でナイフを掴み相手の動きを止める。
しかしその瞬間、吹き針を吹いてきた。
俺は笑いながらそのまま全部受ける。
両目に飛んできた針は俺の目に刺さることなくそのまま跳ね返る。
流石に驚愕の表情を浮かべ動きを止めてナイフを離し呟いて来る。
「私の完敗だ。殺せ。」
「ふ~…お前をここで殺したらギルドマスターの苦労が増えるぞ。死に急ぐな。それに中々良い腕だ。殺すには惜しい。これからも腕を磨け。」
俺はナイフを返し言う。
「俺の見張りに付いているんだろ?一緒に行動するか?」
「断る!」
「うむ。良い返事だ。では俺は行く。またな。」
俺はそのままキャラテの所に転移して合流してから、クラン本部がある北の旧帝都まで転移した。
次の予定は水中花裏を月末までに。
出来ればこの続きも月末まで出したいと思いますが未定でお願いします<(_ _)>
相変わらずの更新速度ですが、見捨てないで下さい|д゜)




