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第十八話

予想より文字数が稼げたのでゲリラ投降|д゜)


日の出と共に目覚める。

キャラテを起こさない様にベッドから出て軽く身体を拭く。

寝汗を拭いスッキリしたので服を着替えテーブルで朝飯を食う。

のんびりと食いながら昨日ギルドで見て覚えた書類の情報を地図に書き起こす。

地図を一通り眺めて思わず呟く。


「大森林の奥地のダンジョンは放置か…」


顎に手を当て考える。

ここから行くまでに順調で3ヶ月、しかし道中の危険度はリーメイルどころかこの周辺地域でもトップクラスの危険度を誇る。

たどり着くまでの危険度でこれだ。

世界樹とも呼べる巨大な大樹型ダンジョンでの探索まで加わると、大陸でも屈指の攻略難度になり、超一流のクランが総がかりで攻略しても出来るかどうかの代物。

それにあの周辺は神獣のテリトリーでエルフも多数住んでいる。

魔族如きがおいそれと近付ける場所じゃない。

その上ダンジョンに入り込めても、ダンジョンを徘徊散歩している別種の神獣や上位精霊が多数住みついている。

ギルツゲーネフ討伐前に一度行ったが散々な目に遭わされた。

神獣に追い回され何とかエルフの集落に逃げ込み、ダンジョン内でも神獣に追い回され上位精霊に揶揄(からか)われる。

勇者として召喚されてから初めての挫折だったな…

俺は遠い目をしながら苦笑を浮かべていた。


しかし一応見回りしとくか。

当時と違って俺一人でも楽に攻略出来るが、神獣や精霊達の憩いの場所を荒らすつもりはない。

それに…


「魔王クラスでも攻略は無理だしな。」


自覚無しに呟きが声に出てた。

俺は苦笑して当時の記憶を思い出す。

一緒に旅をした仲間達は亡くなってる。

まぁ当たり前だ。当時から260年以上経っている。

と、一人、生きている可能性があるのを思い出した。


エルフ族の戦弓士


エルフでは珍しい近距離戦闘も出来る全距離戦闘士オールラウンダーだった。

無論エルフなので精霊術の遣い手、それも超一流の術師でもあった。

当時ではまだ年若いエルフだったので戦死や病死してないなら、長老とまでいかないが、かなり上の立場にいるだろう。

あんまり仲が良い関係では無かったが魔王討伐の戦友でもあるし…

それに俺が作った軍団(クラン)の顧問も押し付けてたので顔を会わす必要があるな。

気が乗らないがリーガントレットのギルドで情報収集してからクランの様子を見て大森林を見回るか。


今日の行動方針を漠然と決めながらキャラテの目覚めを待った。



@@@@@@



地図を見てあれこれ考えているとキャラテが身動みじろぎして呟いた。


「ママぁ~…」


俺は顔を顰めた。

約100年前、ディーブレイカーに召喚された時、キャラテは息も絶えだえにリーブレストから飛んで来て俺の胸に飛び込んできた。

あの時もいっぱい龍語で泣き叫んでいたな…

そうか…あの時に約束したのだった。

もしまたこの世界に召喚されたら一番に迎えに行くと。

あれだけ怒る訳だ。

しかしあの雑談程度に思ってた会話を小さかったキャラテが覚えていた方に驚く。


ディーブレイカーを征服した後、聖銀龍の親元に連れて行ったのだがキャラテは帰るのを拒否した。

親龍にもそのまま預かってくれと正式に頼まれた。


自由に育ててくれと。

たとえ世界を亡ぼす存在になろうとも自由にさせてやってくれと…


そこで俺はずっと気になっていた事を聞いた。

メディアにもそれを頼んでいなかったか?と…

返事は、「そうだ。頼んだ。」だった。

それで俺は全てを察し、キャラテを預かる事にした。

メディアの意思を守るために。


キャラテは偶に、いっぱい怒られて俺の元に逃げてくる事もあったが、その日は絶対にメディアのベッドに潜り込み甘えていた。

助け出したときでもキャラテは100歳を超えていたが聖銀龍から見れば人族の3歳児ぐらいだ。

そんな時に攫われ別種族の世界で暮らすことを強制される。

どれだけ心細い思いをしていたのか察して余りある…

そこに躾には厳しいが優しく甘やかしてくれるメディアを母と慕うのは当然だ。

魔王を討伐して10年、キャラテは愛情たっぷり厳しい躾もたっぷり受けて育った。



キャラテがまた身動みじろぎした。


「…パパ?」


隣りで寝ていた俺を手探りで探している。


「俺はもう起きているぞ。ゆっくり寝てろ。」


俺が声を掛けると膨れた顔を見せ上体を起こす。

布団がハラリと落ち素っ裸の上半身がむき出しになった。

いつの間に脱いだのか…俺も気付いてなかった。

俺は額に手をやり頭を振り、ため息を吐き言う。


「風呂に入ってきちんと着替えろ。それが終わったら朝飯だ。」


「は~い。僕ケーキが食べたい。」


「今食べたら今日は俺の世界のケーキはもう出さないぞ?」


「う~ん…半分だけでもダメ?」


「ふむ。じゃあそれと他に何を食べたい?」


「良いの?やったぁ♪じゃああとは昨日パパが食べてた串焼きとこの街の屋台にあった麺のスープ。」


「分かった。ちゃんと着替えてこないと朝飯は抜きだからな。」


「は~い。」


キャラテは返事して大人しく風呂場に行った。

昨夜、食事帰りに買った服を脱衣場に置きテーブルに戻る。

テーブル上の地図や書類を片付け、テーブルクロスを広げ敷く。

茶を出し入れ飲みながらキャラテを待つ。


寛いで待っていると髪から水滴をポタポタと垂らせたキャラテが来た。

テーブルの席に着いたキャラテの背後に俺は行き、

「ご飯~」と言っているキャラテを無視して髪を乱暴にワシャワシャと拭く。

拭き終わり頬を膨らませているキャラテの後ろから、その頬を両手で思いっきり抓る。


「いひゃい!いひゃい!」


首を振って抵抗していたが泣いて謝って来た。


「ごべんなひゃい~…」


俺は最後に捻って離し「良し!」と呟き回復術(ヒール)を掛けてやる。

スンスン鼻を鳴らして俺を見てくるキャラテの頭を撫でながら、串焼きや麺が入っているスープを並べ最後にケーキの半切りを出し並べる。


「落ち着いてゆっくり食え。」


俺が声を掛けるとコックリ頷き食べだした。


「今日はリーガントレットのギルドに行き、その後クランの本拠地に行く。それが終われば大森林の大神樹周辺を見て回る。もしかしたら顔なじみのエルフに逢えるかも知れないぞ。」


俺が今日の行動を説明するとキャラテに元気が戻った。


「クラウディアに会えるの?」


「多分、今言った場所を全部行けば居所ぐらいは掴めるだろ。場所が分かれば直ぐに探せる。」


「うん♪僕楽しみ♪」


ニコニコしながら朝飯を食べ出すキャラテ。

そう云えばメディア、俺の次にアイツに懐いていたな。

俺は嬉しそうに串焼きを食べているキャラテの顔を見て思い出した。

アイツは良くキャラテに纏わりつかれて迷惑そうな顔をしていたが…

俺はあの迷惑そうな顔が再び見れるかもと笑みを浮かべてキャラテが食べ終えるのを待った。










まさか朝食だけで一話埋まるとは…

次の予定はこの続きを月末までに投稿して正月を迎えたいです。

相変わらずの投稿速度ですが、永のお付き合いをお願いします<(_ _)>







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