第十一話
ゲリラ投稿|д゜)
魔族の微かな気配を追い街中を歩く。
方向は…西か…
「ロセッティ。召喚魔術師の実力はどの程度だったんだ?」
「上級魔術師でした。」
「ふむ…?ロセッティがそいつに攻撃魔術を受けたら防御しきれるか?
ロセッティとザトペック殿の二人分を。」
「はい。私の防御魔術はユーイング様のお墨付きで、
ユーイング様でも中々突破出来ないとの事です。」
「ほう?それはたいした物だ。
なら中級までの攻撃魔術は放置するから自分で対応しろよ?」
「はい。お任せ下さい!」
「もう一度念を押すぞ。ロセッティとザトペック殿の二人だからな?
俺とキャラテは放置しろ。魔力の無駄だから。」
「あの…本当に宜しいので?」
「ああ。俺には無意味だし、キャラテに使えば魔力が尽きるぞ。
キャラテの見た目に惑わされるな。聖銀龍は龍化状態の大きさでは測れない。」
「はい。分かりました…」
納得していないな。
まぁ後でキャラテに向かって魔術を使わせてみるか。
「やっぱり西に向かってるか…キャラテどうだ?」
「うん。ずっと西のある所に留まってる。」
「ちと後手に回ったか…皆近くに寄れ。転移する。」
俺は全員を周りに集めると国境砦に転移した。
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砦に着くと戦闘状態だった。
リーメイル側の大扉は破壊されて何人かこと切れている。
「キャラテはここで待機。誰も通すな。出る者と入る者両方だ。
ロセッティとザトペック殿、遅れず着いて来い。」
俺は声を掛けすぐに走り出した。
砦内の大扉も破壊されていて、
そこから見えるリーガントレット側の大扉前で十数人の兵士が倒れている。
残りは十人以下、敵は魔族が六。
ここで俺が咆哮を上げ飛び込んだ。
「おおおおおぉぉー!!!」
一斉に振り返る魔族達。
振り返ると同時に魔術も飛んでくるが軽々と躱し、
俺から見て一番前に居た魔術師に擬態している魔族の喉に、
右の貫手を突き刺し、残った肉を掴み戻す右手で引きちぎり後方に投げ捨てる。
その行動と同時に左手から単体攻撃の火球を二体の魔族に投げつけ焼却している。
残り三。
範囲攻撃魔術を発動しかけた魔族に転移で目の前に跳び、
両手の手刀で細切れにする。
残った魔族は顔を引きつらせてバラバラに逃走を試みるが逃がす訳がない。
俺の左に逃げた魔族は左手刀の真空刃で首を落とし、
右に逃げた魔族には背後に転移して右手刀で真っ二つにした。
俺が咆哮を上げて戦闘が終わるまで五秒も掛かってない。
生き残ってた兵士達は何が起こったのか理解が追い付かないだろう。
俺は範囲回復術を掛け、リーガントレット側の城壁に飛び乗る。
リーガントレット軍に動きはないな。
だが念の為に一番通路が細くなってる処に土魔術で大壁を作る。
そこでやっと一息を吐き、城壁から飛び降りロセッティの元に行く。
「ロセッティ、この首の顔を見ろ。召喚魔術師か?」
俺が引きちぎった首を足で転がし、ロセッティに見せる。
ロセッティは口を手で押さえ青い顔をしながらコクコクと首を振り頷く。
「ふん。下っ端だったか…」
俺は召喚術師に擬態してる奴が主犯と思ってたが、
どうやら実行部隊の中隊長ぐらいの実力だった。
中級魔族にあと一歩ぐらいの力では、
この件の全てを実行するには力が足りなさ過ぎる。
「こ、これで下っ端…」
俺が呟くと近くに来ていた兵士達が絶句して青い顔を見せている。
「ロセッティ、俺はリーガントレット王城に行ってくる。
魔族の関わりが判った事だし停戦じゃなく終戦として話を付けてくる。
ザトペック殿と二人でここの後始末を頼む。キャラテ!」
俺が呼ぶとすぐ転移で俺の前に跳んで来た。
「何?」
「周囲に魔族の気配は?」
「この辺りにはあっちにちょっと反応があるだけだよ。」
キャラテが指さした方向にはリーガントレットの砦があった。
「ふむ…もしかしたらこいつら捨て駒か…連携が拙すぎる。」
「あの…どういう事ですか?」
まだ青い顔をしているがロセッティが聞いて来る。
俺は浄化魔術で水を出し右手を洗い汚れを落としながら答えた。
「俺ならここを攻めると同時にリーガントレットの軍も動かして、
ここを落としリーメイルの国内を蹂躙する。
リーガントレット内に魔族がいる理由はそれしかない。
それなのにリーガントレットに動きはない。可笑しいだろ?
多分俺達の目を逸らせる囮だろう。こいつらは知らないだろうが。」
俺は擬態した魔族の首を布に包み無限収納に入れる。
「ロセッティ、これを持ってろ。」
野球ボール大の念話石を渡し言った。
「これは念話石だ。何かあればすぐこれを使って話し掛けろ。
キャラテ行くぞ。」
俺はリーガントレット王城に転移した。
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転移してすぐに王に話しかける。
「エルリッヒ王、魔族の暗躍で間違いはない。この首が証拠だ。」
俺は無限収納から布に包んだ首を床に置く。
「ついては終戦宣言とリーガントレット遠征軍と砦内の魔族討伐をやりたい。」
「馬鹿な!我が軍内に魔族なぞ!」
叫んだ人物を素早く鑑定する。
軍務大臣か。そら責任問題になるな。
キャラテが軍務大臣を指さし言う。
「パパ!あいつ殺して良い?」
謁見の間に緊張が走る。
「駄目だ。メディアが悲しむぞ。」
「えっ?あ~、ここパパとメディアママのお家かぁ~」
「そうだ。ここで暴れるなよ。メディアに挨拶してこい。俺もすぐに行く。」
「分かった。早く来てね。」
キャラテは転移した。
「メディアママ?」「勇者王様をパパと呼ぶ?」「それなのにあの年齢の少女…」
「メディア…姫巫女様か!」「勇者王を命を削って召喚した聖女…」
謁見の間がざわめき、色々憶測が囁かれる。
「あ~気付いている者もいるだろうが、さっきの少女はキャラテだ。」
俺の言葉でざわめきが一層酷くなった。
キャラテは俺が死んだ後、百年近くこの城で暮らしていたはずだ。
キャラテに殺して良いかと指を差された軍務大臣は蒼白になって跪いている。
俺は軍務大臣に声を掛ける。
「馬鹿はお前だ。端金でやるべき事をしないで魔族を軍内に引き込み、
剰え隣国との戦争に利用される。一族全ての血を以て償え!」
俺が断罪すると軍務大臣から啜り泣きが零れる。
「と、俺が居なければ一族全て首を晒すべきだが、俺が居る時に起こった事で助かったな。
お前にはリーメイル国境砦で死亡したリーメイル兵士の家族達に償い金(名目上は好きにしろ)を出せ。
それと全てが終わった後に大臣を辞め隠居しろ。エルリッヒ王、これで済ましてくれ。」
「ギアド、勇者王様の判断に従うか?」
軍務大臣は泣き顔のまま俺を見て、
「全て仰せのままに従います…」
と、絞り出す様な声で言った。
「さて、さっさと泣き止み軍務大臣としての顔を取り戻せ。
そして王名の書状を持ち俺と一緒に遠征軍に行くぞ。俺はメディアを参ってくる。
二十分以内に全て準備してここにいろ。」
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俺は転移してメディアが眠っている中庭の一角に来た。
日当たりの良い場所で周りも良く手入れされている。
キャラテがせっせと墓石代わりの石を磨いていた。
「パパ!パパとメディアママのお墓を磨いたよ。」
「ああ、ありがとう。済まないなメディア。来るのが遅くなった。」
俺はキャラテが磨いた向かって右側の石をポンポンと触った。
俺が作った一メートル程の白い大理石の玉石で、
向かって左側には俺の墓の黒い大理石の玉石がある。
「前回はここに来たら穢れそうで来れなかったが今回は大丈夫だろ。」
前回、この世界では百年前、俺はこの大陸から遥かに離れた北西にある大陸に召喚された。
その時の俺は魔王として大陸を統一。
北西大陸にあった人間国家は全て滅ぼして、生き残りの人間はこの大陸の辺境に送り込んだ。
だからここに近付くのは遠慮していた。
「メディアまた来る。」「メディアママまたね。」
俺達は転移で謁見の間に戻った。
ちょっと筆が乗り、予想以上に文字数が稼げたので、
投稿します。次の予定は三十日。予定は未定決定ではありません。|д゜)
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ご意見ご感想もお待ちしています(^^)/
友人から読めない漢字を出すなとの意見が来ました。
もし気になった方は苦情でも良いのでお願いします<(_ _)>
因みに友人からの文句は、剰え(あまつさえ)でした(>_<)




