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1 運命の日

★ヨワ・カツタバ


 儀式は失敗した。少なくとも、まったく想定外の結果であることは間違いなかった。

 《竜の季節》を前に、ぼくらは力を必要としていた。だから貴重な秘宝を使い、天から天人を喚んだのだ。七十余年前、たった一人で隣国を救った英雄であるジロー・タカハシのように、救世主が現れてくれることを期待して。

 天人――ここではない世界からやってくる、強い力を持った人々。彼らを呼び出すための魔術が、いつの頃からか、ぼくたちの世界には存在している。

 天人が現れたというその事実さえあれば、近隣の国々は、たとえ《竜の季節》でぼくたちがどれだけの被害をこうむったとしても、王国に手を出すことをためらうだろう。天人がいる、という事実には、それほどまでに意味があるのだ。

 たった一人で、戦に勝ち。

 たった一人で、竜を退け。

 また時には、たった一人で、国を滅ぼす。

 小さい頃から、ぼくはそんな天人に憧れていた。一目でいいから見てみたいと、ずっと思っていた。そしてついに、この機会が訪れたのだ。


「なんで……」

 傍らに立つマキナ・ヴォートグォーランが、呆然とした顔でつぶやいた。

 ぼくとは違う意味で、彼女にとってこの儀式は心待ちにしていたものだった。ぼくより四つ年下の彼女は、若くして天才の名をほしいままにする魔術師であり、まだ十七歳でありながら、この儀式にも多大に貢献している。この野心あふれる下位貴族の少女にとって、儀式の成功は、出世、そして上位貴族との縁談への重要なカギとなるはずだった。

 彼女の評価がこれからどうなるのか、ぼくには想像もつかない。


「――なんでこんなに、いっぱいいるのよーっ!」



★高坂太一


 新千歳空港へと向かうバスの中で、クラスメイトの大半は寝ていたんじゃないかと思う。連日の疲れで、車内はやけに静かだった。

 だから実際、その時に何が起きたのか、ちゃんと見ていたのは運転手さんくらいのものだろう。

 キィーン、と音割れしたスピーカーから響くような嫌な音が聞こえて、バスが大きく揺れ、閃光が視界を塞いだ。たぶんそこで、僕は一度、意識を失った。


 目を開けた瞬間に飛び込んできたのは、バスの座席の背もたれに書かれた、黒々とした筆文字。


「ありがたいお告げ:困ったことは、タロットに聞け」


 ぎょっとしている間に、文字はすっと消えてしまった。タロット? ふだん使っているカードは、さすがに家に置いて来たはずだけど……。いや、そもそも、あの文字は何だったんだ? 寝ぼけてたのか、僕は?


 ◇


 どうやらこのバスは、どこかへ迷い込み、そして保護されたらしい。

 僕は渡されたお茶を一口すする。木製のコップに入った緑茶だ。少しばかり飲み慣れない風味がある。

 この場にいるのは僕のほかに、クラスメイトが九人と、藍染先生と運転手さん。残りのクラスメイトは、目を覚ましたときにはバスの中にいなかった。僕たちを置いて出て行った、という感じじゃない。まるで最初からいなかったかのように荷物ごと消えている人がいれば、飲みかけのペットボトルや携帯電話、カバンまで残したまま忽然と消えている人もいた。シートベルトが締まったまま消えている人はいなかったけど、そもそも、高速道路でもなかったあの道で、シートベルトをしていた人間がどのくらいいただろうか。

 改めて周囲を見回す。僕たちを遠巻きにしている、十数人の藍色の服の人たち。

 僕たちも藍色の服の人たちも、みんな困ったような顔をしている。いや、ホントに、何がどうなってるの? それともこれは、やたらハッキリしてるだけの夢なのかな? ……いや、そんなわけない。そろそろ現実を見ようよ、僕。


 ここは森の中だけど、四方は茶色っぽい布でできた幕で囲まれている。時代劇の戦場で、偉い人が座っている本陣のようだ。

 ぎりぎり二十代の藍染先生よりも、見たところ四十過ぎの運転手さんのほうが責任者に見えたのか、さっきまで運転手さんは、偉そうなおじさんに何かを聞かれていた。何を言っているのか分からないし、なんで運転手さんが普通に答えていたのかも分からないけど、とにかく偉そうなおじさんは外国語を喋っていた。運転手さんの日本語の返答も、理解しているようだった。

 何がどうなっているのか、さっぱり分からないけど……でも、もしかして、これは……。

「きゃっ!」

 先ほどから顔色の悪かった野崎さんが、怯えるような声を上げて僕に飛びついてきた。お茶にも手をつけていない。ドキドキしたりする前に、引っ張られた服で首が絞まって苦しかった。やんわり引き離しつつ、彼女の視線の先を追って、素通しになっている空を見上げる。


 その空から、若い男女が「降りてきた」。

 まるでそこに見えないエスカレーターでもあるかのように、上方から、斜めにまっすぐ。


 一人は赤い髪の男。もう一人は深緑色の髪の女。赤と緑の髪の色に違和感はない。男のほうは白人だし、女のほうは暗いところなら黒髪と区別がつかない程度の色だ。ふたりの服はお揃いだけれど、周りと同じ藍色の服ではなく、色落ちしたジーンズを思わせる、彩度の低い水色の服を着ている。


「ウソ、だろ……」

 思わずつぶやく。そうだろう。だって、いま、あのふたりは、

 ――空を、飛んでいた。


 ぼんやりとした想像が、確信に変わりつつある。この場に漫研所属の湧井がいれば、きっと僕よりも先にその答えにたどり着いたのだろうけれど、目覚めたときにはすでに、彼の姿は見当たらなかった。

 でも、やっぱり、これって。


 ――異世界召喚、ってやつじゃないですか?



★幾田四方季


「――もうイヤ」

 高坂くんの後ろに隠れるようにして、莉夜子が震えている。よしよし、と背中をさすって、お茶を飲ませた。出されたものではなく、私が持っていたペットボトルのお茶だ。毒か睡眠薬でも入っていたらどうしよう、と思ってのことだけど、周りを見る限り、どうやらそれは杞憂だったようだ。


 ◇


 バスが閃光に包まれて、どこかへ落ちていって。莉夜子に起こされたとき、バスはどことも知れない森の中にあった。バスの中には空席が目立ち、人はまばらだった。斜め前の席にいた莉夜子に尋ねてみたけれど、起きたときからこうだったと言う。隣の席の唯も、通路を挟んだ反対側にいる高坂くんも、呼吸こそしているけれど、目を閉じたまま起きる気配がない。

 そして、そのバスは、得体の知れない兵士たちに囲まれていた。

 見たことのない格好だったけど、あれは間違いなく兵士だろうと思った。こちらに怯えたような視線を向け、盾を持つ姿は、デモ隊と対峙する機動隊の姿を思わせた。でも、それはどう見ても、日本の警察組織の格好ではなかった。

 彼らは何やらモメている。まるで、UFOを発見して対処に困る地球人みたいだ、と思った。

 ひょっとして、わたしたちはタイムスリップでもしてしまったんじゃないだろうか。ずっと昔か、はるかな未来へ。あるいはひょっとして、何かの弾みに、中国かインドネシアの奥地あたりに飛んでいったのかもしれない。彼らの人種はわたしたちと同じアジア人に見えるので、アマゾンの奥地だとか、アフリカのどこかだとか、そんなことはないだろう。

 どうしよう、と迷っているうちに、一部の人間が動いた。ドアに向かって近づいて来る。掲げているのは何だろう、武器? どうしよう。逃げる? どこへ? 思わず身を固くした、そのとき。

 ――激しい爆発音がした。ぼごっ、と水の入った袋を叩きつけるような音が続いて、ガラスに何滴か、赤い飛沫がかかった。

 兵士たちは背後を振り返り、蜂の巣をつついたような大騒ぎ。

 ややあって、運転手がばたばたとバスの外に飛び出し、そこで何やら話がついた、ようだった。


 ◇


「――こんにちは」

 記憶をたどっていたわたしの意識を引き戻したのは、そんな声だった。

 深緑色の髪をした、わたしたちと変わらない年の女の子。髪型は耳より上の髪を後ろで束ねたハーフアップ。束ねた髪は三つ編みにしている。

「私の言葉、分かる、分かりますか?」

 敬語がぎこちない。緊張しているのがよく分かる。隣に立っている赤い髪の男も、ずいぶんと硬い表情をしている。

 ここが日本ではないことは、さすがのわたしにだって分かっていた。だってあの女の子、いま道具も使わずに空を飛んでいた。どこかの国にさらわれたとか、そんな生やさしいものじゃない。下手したらここは、地球ですらない。

 わたしたちが頷いたのを確認して、女の子はぺこりと頭を下げた。

「ここは、あなたたちの国から、すごく遠いところ、です。私、あなたたちに会えて、嬉しいと思ってる、います」

 周囲が聞いたことのない言葉を話す中、彼女が喋っているのは日本語だった。話し慣れていない雰囲気はあるけれど、発音はおかしくない。もしかするとこの子は、丁寧な言葉遣いにこだわらなければ、もっと上手に日本語を話せるんじゃないだろうか。

「私たちは、あなたたちを待ってました。あなたたちを、傷付けるつもりはない、です」

 それから彼女は、左手の中指にはまった指輪を見せた。幅の広い、十円玉のような銅色の指輪。

「あとで、この指輪をあげます。これをつければ、私たちの言葉が分かる、です。分かるでしょう、ですか?」

 最後の一言は、運転手に向けたものだ。彼がずっと周囲の言葉を理解しているようだったのは、そのせいか。わたしたちの視線を浴びて、運転手はうなずく。

「確かに、彼女の言うとおりです」

「す……すっげえ!」

 立ち上がったのは砺波くんだ。目をキラキラさせている。わたしたちを取り囲む人たちの空気が、一瞬だけ厳しいものに変わったような気がした。彼らは、わたしたちを警戒している。たぶん。

「モノホンのひみつ道具じゃん! やべぇ! パネェ!」

 ……ただの野球バカだと思ってたけど、この図太さは見習いたいところだ。いや、本当に。おかげで、ちょっと肩の力が抜けた。

「ところでお姉さん美人だね! 彼氏いるの?」

 え、この状況でナンパするの!?

 女の子の隣に立っていた赤い髪の男が、あからさまに動揺した表情で砺波くんを見た。ちっ、という舌打ちは、少し離れたところで腕組みしているヤンキーの櫟原くんのもの。それぞれの表情にセリフをつけるなら、赤い髪の人が「俺の妹に何を言ってるんだお前は」、櫟原くんが「黙れボケナス、空気読め」ってところかな。いや、赤い髪の人と緑の髪の女の子は明らかに実の兄妹ではないのだけど、なんとなくそんな雰囲気があるのだ。

 女の子自身も「はぁ?」という顔をしているのが本当にいたたまれないところ。

「いない、です」

 いちおう律儀に答えたあとで、緑の髪の女の子は「あ」とつぶやいて、少しぎこちない仕草で頭を下げた。

「はじめまして。私の名前は、マキナ・ヴォートグォーランです。マキナと呼んでください」



★ヨワ・カツタバ


 どうやらマキナの言葉は、すんなり天人たちに通じているようだった。さすが天才少女。ぼくもあいさつ程度のかんたんな言葉は話せるが、それくらいが限界だ。なにしろ天人の言葉に関する資料は限られている。マキナの言葉は時折つっかえてはいるようだが、それでも驚くべきことだ。彼女が通訳を買って出たときには「また小娘が出しゃばって」という雰囲気もあったが、見事に言葉を通じさせてしまった以上、いまさら周囲が何を言っても負け惜しみだろう。

 警戒を解き、指輪をはめてもらえば、ふつうは言葉の問題なんて解決してしまうのだ。だからぼくだって、他の魔術師たちだって、指輪なしで天人の言葉を喋ろうなんて思ってもいなかった。


 ――いや、でも、こんなにたくさんいるなんて、さすがに想定してなかったよね……。


 翻訳の指輪の予備なんて、魔術師だってそうそう持っているもんじゃない。何人かから指輪を借りてつけてもらう手はあるけど、いまこの状況で、指輪を貸してくれる人間がどれだけいるというのか。少なくともぼくは嫌だ。指輪の魔術は、話し手ではなく聞き手に作用し、相手の言葉を理解できるようにするもの。ぼくは天人が口にする言葉のすべてを聞き取りたい。理解したい。こんな機会を逃せるわけがない。

 とはいえ、そうやって聞き取った言葉が、いきなりマキナを口説くものだとは思わなかったけど。すごいな、天人。

 ぼくがここにいるのは、名目上はマキナの補佐をするためだ。本音を言えば、ただ近くで天人を見たかっただけである。警備隊長があの中年男性から聞き出した話によれば、この世界に運ばれてきた天人はおそらく三十五人。ここにいるのは、およそ三分の一の十二人だ。中年男性のほかには、若い女性がひとり、残りはマキナと同じ年頃の少年少女。着ている服はまちまちだ。もうしばらく待っているように、と伝えられた彼らは、透明な水筒から飲み物を飲んだり、用意した茶におずおずと手をつけたりしている。中には光る金属板を取り出したり、腕輪を触っている者もいたが、見たところ金属板は魔術媒体ではないようだ。腕輪は……彼らの会話からして、時計だろうか。円盤と針を使った、ぼくたちにとって見知った形のものもあれば、不思議な色の板に図形を浮かび上がらせたものもある。ああ、いや、もしかしてあの図形は数字を表しているのか?

 天人の世界に魔術はない。その代わり、彼らの世界には大地を焼き尽くす竜も、人を食らう魔物もいない。それがどんな世界なのかぼくには想像もつかないし、許されるなら彼らに話を聞きたいとも思う。


 抱き合っていた天人の女の子の片方、髪の短いほうが、緊張した面持ちで、ぼくのほうをじっと見ていた。できるだけ柔らかく、「こんにちは」と笑ってみせる。日本語、という彼らの言葉の発音は、ぼくの先祖の出身地であるパレイヤの言葉に似ているらしく、「だからヨワ先輩も大丈夫!」とマキナは太鼓判を押してくれた。

 女の子たちはどちらも眼鏡をかけている。髪の短いほうはヨモギ、長いほうはリヨコと名乗っていた。

「あなたも日本語が喋れるの?」

「少しだけ」

 うなずく。この仕草は、天人にとっても肯定の意味を持っていたはずだ。

「他の人たちも?」

 ぼくは「いいえ」と正直に答える。マキナが「でも、あなたたちの言葉は翻訳の魔術を通して理解できます」と日本語で補足してくれた。どれくらい伝わっているのかは分からないが、なるほど、と女の子はうなずく。ああ、もっと話しかけたい。聞きたいことが色々あったはずなのに、ちっとも言葉が出てこない。もどかしい。


「ヨワ」

 先輩魔術師に呼ばれて振り返る。

「もうしばらく相手をしておいてくれ。装甲車の手配はしているが、まだ森の中は危険だ」

「了解です」

 外は今ごろ大騒ぎになっているはずだ。防音魔術で音を抑えてはいるものの、また大きな音がすれば天人たちも不審に思うだろう。リヨコが震えているのも、おそらくは「あれ」を目撃してしまったせいだ。


 ――天人たちはいま、何者かに狙われている。


 本来、この儀式は、ひとりの天人を召喚するためのものだ。空から儀式場へと降りてきた天人を、丁寧にもてなす。それだけでいいはずだった。

 なのに儀式は失敗した。天からは三十五人の人間が現れ、おまけに何が影響したのか、彼らは森の中にバラバラになって落ちていった。ここにいる天人たちは、儀式場のすぐ近くに現れた者たちだ。角張ったカラフルな車は大きく、本来ならばその中に、三十五人が乗っていたのだという。おそらくだが、儀式によって喚ばれたのはそのうちの一人だったのだ。残りの三十四人は、その運命に巻き込まれてしまった者たち。

 せめて、まだ全員が一緒にいれば良かった。なのにそうはならなかった。天からの光でだいたいの着地点は分かるが、それは隣国側に大きくずれていた。もしかすると、儀式を準備する段階から、天人をそちら側に導くよう、何らかの妨害が入っていたのかもしれない。さすがにそれは身内を疑うことになるので、ぼくのような下っ端には、思っていても口に出せないことではあるが。

 そんなことをする人間の目的は決まっている。ぼくらの国が喚んだ天人を、横からかっ攫うことだ。おそらく向こうも、相当な準備をしてきていることだろう。ぼくらに力をつけさせないためか、攫った何者かが自分たちの力とするためか、そんなことは分からない。けれどその何者かは、人を殺してでも天人たちを奪おうとしている。現に天人の車は襲撃された。森の中ではあちこちで戦闘のあとが見つかっている。まだ天人たちに伝えるわけにはいかないが、すでに攫われてしまった天人も、少なくはないだろう。そう簡単に死ぬことはないはずだ。とにかく天人という存在は頑丈で、殺そうと思って殺せるものではない、と話に聞いている。

 とはいえ、ぼくらはこれ以上、天人たちを奪われるわけにはいかない。彼らは、たくさんいるから少しあげるよ、なんて性質のものではないのだ。たった一人の存在が、世界のバランスを壊す。現に六十年あまり前、島のほとんどを支配して栄華を誇っていたこの国は、ただ一人の天人によって、西の果てまで追いやられてしまった。

 ゆえに城への護送には、万全を期す必要があった。


「ここにいる皆さんの名前を教えていただいてもいいですか。ひらがなかカタカナで書いていただければ、私たちにも分かります」

 マキナがそんな意味の言葉と共に、紙とペンを中年男性に渡す。彼はそのまま、紙を若い女性に渡した。女性はうなずき、紙とペンをしばらく物珍しそうに眺めたあと、さらさらと名前を書き連ね始める。

「ヨワ先輩、さっきの話は聞いてた? あの男性は大きな車の御者。あの女性は教師で、彼らはその生徒だって。交渉するならあの女性のほうだと、上に伝えておいて」

「分かった」

 マキナがぼくに伝言を頼むのは、自分の立場を慮ってのことだろう。いくら天才少女とはいえ、彼女はまだアカデミーの学生だ。後ろ盾を使って強引にこの計画へと自分をねじ込んできたものの、彼女自身は貴族の末席である四位貴族で、さほどの権力を持たない。そんな微妙な立場ゆえに、周囲は彼女を持て余し、距離を置いている。彼女に親しく接するのは、ほとんどが彼女の後ろ盾である元魔術師長、ジェルハさまの派閥に属する方々だ。くだらない、とは思うけど、それが大人の世界といもの。

 彼女のお守りとみなされているぼくも、微妙な立場であることに変わりはない。でも、そんな彼女のおかげで、ぼくは天人を間近で見て、言葉を交わすことができた。この場に立つ権利を得るためなら、誰に何を言われようとも、まったく気になりはしない。


 今日という日のことを、ぼくは一生、忘れないだろう。

 きっと後の世では、彼らの伝説が始まったこの日のことを、たくさんの人が聞きたがるに違いないのだから。

ヨワ・カツタバ→赤毛の青年。天人(異世界人)マニア。もうすぐ大学卒業。

マキナ・ヴォートグォーラン→緑の髪の天才少女。コネでやってきた下級貴族。


高坂太一→卓球部男子。女子力の高さには定評がある。趣味は占いと天体観測。

幾田四方季→科学部女子。一見するとしっかり者だが、中身はマイペースで空気を読まない。

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