第二話「悲劇の前触れ」
僕は姫を守ると誓った。
どんなものからも。
しかし、それは前世のこと僕は。
「は!?」
まただ。また映像が僕の中に……!?
「僕は永遠に貴方をお守りしよう。来世でも僕は貴方の騎士だ」
そうか。思い出した。
僕の戦いは終わっていない。
今、姫が僕に語りかけているということは、僕が姫をお守りする時が来たというわけだ。
「さあ、アダム戦いを始めましょう」
「分かりました。姫、しかし、何をすれば」
「今から私は貴方の世界に仮の姿で現れます。もちろん、仮であっても貴方の前世の姫の姿で現れるわけです」
「うん」
「まずは性の悪魔と戦わねばなりません」
「性の悪魔?」
「それはいづれ分かることでしょう。それでは」
そう言うと、目の前に薄らと光が出現し、やがてその光は形を取り、最終的には僕が前世で見た姫になった。
「アダム」
「姫。姫!」
いつの間にか僕は号泣していた。
なぜ、号泣しているのだろう。
「アダム。やっと貴方に会えた。私も嬉しいです」
姫は俯いて泣いてる僕を抱きしめてきた。
姫の温もりを感じる。
前世のことを僕は思い出していた。
そう、姫を裏切るものがいて、僕はそいつらから姫を守ろうとしていたのだ。
しかし、僕は姫を守れなかった。
「だから、貴方に再びチャンスを与えると神がそうお告げになったのですよ」
神からのお告げ?
「貴方にもう一度、私を守るチャンスを」
そうか。そういうことか。
僕は姫の手を握り締め、眼光を輝かせる。
僕は姫を今度こそ守りきる。
のはいいのだが。
「もうこの世に貴方を脅かすものは何もない。守る必要があるのだろうか」
当然の疑問だ。
今や姫も時の人。
姫を脅かすものなど。
「神が貴方に試練を与えんとしました」
「試練?」
「ええ、貴方はこれからその試練を乗り越えるのです」
言ってることが分からない。
「とりあえずアダム。外に出ましょうか」
姫はそう言うと優雅に歩き、部屋の外に出ていった。
「ああ、ちょっと」
僕は無邪気に姫を追いかける。
このあとの悲劇も知らずに。




