第一話「騎士の復活」
「姫!」
僕には前世の記憶が少しだけある。
「アダム!」
「姫ええええ!!」
僕は前世で騎士として姫を護衛していた。
しかし、僕は姫を守ることが出来ず、そのまま生涯を閉じるのであった。
まあ、これが前世の記憶だという保証はない。
ただの夢だとも言えるしなあ。
だけど、よく出てくるんだよ。この夢。
「よう、健太どうした?」
「うん?」
「最近よくボーッとすることが多いからさ」
「ああ、別に何でもないよ」
小さい頃からこんな夢を見ることはあった。
しかし、大きくなるにつれ、見る回数が増えてるような気がする。
いや、増えているんだ。
今じゃ、寝れば必ずこの夢しか見なくなってるのだから。
今の僕は毎日、平凡に過ごしている。
友達もいてよく遊ぶ。
だけど何か物足りない。
何かが。
夜。
僕は父からの土産である本を読もうと本棚に手を伸ばす。
その本のタイトルには。
「アダムとイブ」
と記されていた。
何だ? 聖書か?
まあ暇だし読んでみよう。
僕は本のページを開いた。
その瞬間。
「アダム」
「え?」
誰だ? 声が聞こえる。
この声は聞き覚えがある。
夢に出てきた姫様の声だ。
「良かったアダム。私の声が聞こえるのですね」
その声は嬉しそうに私に語りかける。
「貴方は一体?」
「アダム。私のことをお忘れですか? 私はイブですよ」
「イブ? ってことは夢の中の」
「あれは夢ではありません。現実です」
その言葉に僕は衝撃を受けた。
確かに前世だと薄々思っていた。
だけど改めて現実だと言われても信じようという気にはなれない。
目の前で姫が殺される姿を見せられ続ける夢。
それが現実……。
「アダム。貴方はこれから戦わねばなりません」
「戦う?」
「貴方が真実の騎士になるためには戦わねばならないのです」
「ちょっと待て、僕は戦う気なんて」
「あの誓いも忘れてしまったのですね」
「誓い?」
「時期も来たことですし、そろそろ思い出す頃です」
「!?」
僕の記憶には教会での誓いがあった。
姫様と二人だけで神様に祈ったあと、僕は姫に誓った。
「どんなものからも君を守ってみせる」
と……。