決断
「やっぱりお前もここに来てたんだな!会いたかったぞ息子よ!」
「大丈夫龍也!?怪我してない!?」
「お兄ちゃん!」
3人が俺に寄り添ってくる。
頭撫でたりしわくちゃにされたり、妹にいつも通り腹を殴られたり。
まさか俺の家族がここにいるとは思わなくて
この世界で孤独じゃないことを知って安心した・・・って家族もこの世界に迷い込んだんだぞ!一体どうして・・・?
「どうした龍也?そんな顔して、折角のイケメンがブサイクになるぞ!」
親父は笑いながら言ってきやがった。この状況なんとも思ってないのか!?・・・
いやそうだ。親父は俺が辛かった時にいつも笑ってくれたよな。ならせめて、笑い返さねーと
「ひでー顔してねーし!親父と母さんの息子だぜ!そんな俺がひどい顔をするとでも!」
「思うよ。だってお兄ちゃんはお兄ちゃんだし。」
「そうね、龍也は龍也だからね」
「母さん、恵!そりゃひでーよ・・・」
「そうだね。ふふっ」
「お兄ちゃん・・・ははっ」
「なんだよ・・・笑ってよ」
ああよかった。まだ1日もたってないけどこの感覚、久しぶりだ。みんな元気そうでよかった。そう、元気そうで、
多分1人だったら不安だったろう。孤独というものは本当に恐ろしい。それは昔から知っている。
でも孤独は解決した。家族がここにいるからだ。まだこれからの目星も全くついてないけど、家族と一緒ならなんとかできると思う。
そうだ、聞き忘れたことが一つあった。
「そういやレミさんはどうして俺の家族を連れていたんだ?」
そこが問題だ。俺が転生してからまだ時間があまり経ってないはず。多分親父たちも俺と同じぐらいの時間に転送されたはず。だからこんな短時間に見つけたということは俺たちが転生するのを知って・・・
レミは笑って
「それなら説明するのは簡単ですよ。ここに知らない気配が5つ出現したからですよ」
と言ってきた。
騎士団長すげー!!!心の中でそう叫んで・・・え、5つ?
「さあ!あと一人ですね!見つけましょうか!」
「あのレミさん・・・うち四人家族なんですが・・・」
「え?えっ!?これで全員なんですか!?」
レミさんは驚きの表情。驚いてる顔も可愛いなぁ。レミさんは親父たちにも聞いてみてたが、答えは同じ。
聞き終わったのか、そっからレミさんの表情が騎士にふさわしい姿に変わる。
「少し静かにしてください」
そう言うとレミさんの体から蒼い色のエネルギーが街中に広がる。
魔法なのだろうか。多分魔法だろう。
この世界の魔法は俺でも使えんのかなって思ってた矢先、レミさんはため息をついた。
「・・・確かに感じませんね。私の間違いだったんですね」
レミさんは困り気味にいう。その顔は年相応の顔をしていた。ただ真剣な顔つきななると
こう言ってきた。
「あなた達を王城に連れて行きたい。捕らえることはしません。どうか話を聞いてくれませんか」
王城か・・・確かあそこだったよな。王城に連れてって何をする気なんだ・・・?
まあこれは俺たち家族の問題だ。俺は行ってみたいけど聞いてみねーとな・・・
「そんな話が信じられるとでも?」
聞く前に親父が断りをいれてきた。
「親父!?何を!?」
親父にきくが手で待ての合図
「レミさん、あなたはいい人だと思う、だけどな、あなたがどういっても、無実な息子を殺そうとしたこの兵士達は許せないんだ」
「確かにその点に関しては、お詫びを申し上げます。ご安心できないとは思いますが、私がいる限り大丈夫です。危険な目には絶対に晒しません」
「もし、俺の家族を危険に晒したら?」
「そんなことはありません。自分に誓って」
緊迫した空気が続く。親父の言っていることは正しい。王城に入れば衛兵がわんさかいるはず。さっきだって衛兵が俺を連れて行こうとして騙して切ったんだ。俺の身勝手で家族を危険に晒すわけには
「だってよ。息子よ」
親父が笑っていた。
レミさんが不思議そうな表情をする。少し驚いてるのか
「俺たちはこの人に助けられたんだ。だから王城に行ってあげたい。ただ息子よ。お前は襲われたんだろ?一番行きたくないのはお前のはずだだから、行くかどうかはお前次第だよ」
俺はそんなこと考えてなかった。ただいい人だからついて行こうと思った。でも周りにいる人はどうだ?いい人とは限らない・・・
まあそれでも俺は
「行こう」
と一言。美女が誘っているのに断ることなんてできねえよ。
「わかりました。感謝します」
俺たち家族は王城へと向かう