異世界転生 龍也
「どうしてこうなった!?」
俺は黒い渦に巻き込まれて・・・
圧倒的な回転力の前ではどうすることもできなくて・・・
「おおぉ?どおしたんだ、あんちゃん?」
茶色い肌の白いひげを生やしたおっさんが話しかけてくる。身長は2メートル以上確定。
タンクトップを上手に着こなしている。
「おめー、珍しい髪の色してんな!黒か!黒は初めて見たぞ!それに暖かそうな服着てんな?なんだこれは?」
これは夢か?あーダメだ。夢だと思ってるんじゃ夢じゃねえな・・・服も剣道部のウインドブレーカーだし・・・
「ん?あんちゃん靴はどおした?盗賊にでも奪われたのか?」
夢だったら、靴下ってこともねえからなー
確定。ここ異世界だ
「・・・ああそうなんだよ。金目のものも奪われちまったから一文無しさ!」
「はっはっは!やはりそうか!珍しいなりしてんもんなあんちゃん!」
珍しいなり・・・やべえ、本当に狙われるかもしんねーなこりゃ
「ほら、これやるよ」
チャリン、
この世界のお金だろうか?四角い形をしている。へえ・・・これが・・・
「って!?いいのかおっちゃん!?」
「ん?ああ!靴がねえのはかわいそうだろ?靴が買えるぐれーのアヴィトはあっから!
じゃあな!」
そう言っておっさんは帰って言った。
マジでありがとうおっちゃん
しかしここではお金はワイト・・・いや違うアヴィトっつーんだな。言いにくすぎね?
それよりも靴屋探さねえと。ついでに探索だな・・・
街並みはヨーロッパを連想させた。レンガ?でできた家が多い。木造の家もちらほら。
橋の下には川が流れていて子供だろうか。泳いでる人もいた。
馬車もあった。中には鳥が引いているやつもあった鳥が引いているほうは空が飛べるらしい。一度乗ってみてえなー・・・
「ふむ、長崎にあったなんとかテンボス似てるが、こりゃ本当に異世界だ」
改めてそう思う。アニメとかであった異世界だ。でも・・・
「特別な力・・・がやっぱあるわけじゃないか・・・」
異世界転生したら特別な力が発現するって言われるけど、最近じゃ特別な力を持ってないやつの方が多いくらい。でも転生されたってことは、俺にも何かしら役割があるはずだ。
「でもまずは靴屋探さねえとな」
おっちゃんがくれたお金。珍しいなりだと奪われるということなんで早く使ってしまおう
誰かに場所を聞くか。確か城があったな。
遠目からだったけど立派な城が見えた。本当にゲームとかでありそうな城で下手したらサクラダファミリアよりも造るのに時間がかかったかもしれねえ。
「城があるっつーことは衛兵がいるはずだ。多分うろちょろしてると思うからの聞いてみるか」
一本通りに出る。色々な髪の色。服、人種どうなってんだよ。と突っ込みながら衛兵を探す。多分普通に歩いてる人でもいいんだと思うけど、おっちゃんが言ってた盗賊がわからない。明らかに全員怪しいんだけどな・・・
周りの人が俺を見てくる。そりゃあ髪の色が珍しくて靴履いてないんだったら俺でも見るぞ。いや全員見るな。日本にいたら全員見るって
って、どうしてこいつら日本語を・・・?
俺が無意識に異世界語をしゃべってんのか?
新たに生まれた疑問の中、鎧を装備してる人が現れた。
見つけた!あとは盗賊じゃないことを祈るだけだな。
俺はその鎧を装備した人に向かう。
大丈夫だ。ただ道を聞くだけだ。ただ道を聞くだけだ。一歩一歩進んでいく。
「あのすいません。ちょっと靴屋の場所知りませんか?」
「靴屋か?そこの角を左に・・・」
よかった。やっと聞けたぜ。俺は心の中でガッツポーズをした!
さてそこの角を左に・・・ってそのあとは
「・・・・・・」
無言で見つめてくる衛兵。なぜかその衛兵の目も見えないのに威圧感を感じる。
「どうしたんだ・・・?」
衛兵は動かない。そして静かに
銃を向けた
「!!!どういうこ・・・!!?」
衛兵は上に撃った。赤い煙が宙に舞い上がる
信号弾!?なぜ!?
俺が驚いてる間に衛兵は声音を変えてこう言ってきた。
「やっと見つけたぞ。黒い髪を持つもの!!
お前を連れて行く。おとなしく連行してもらおう!!」
俺は異世界で犯罪者扱いされてしまった。