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もうすぐ誕生日だね

 大岡がトワの家を訪ねてから、数日後。大岡のスマートホンにトワからメッセージが届いていた。


『や、もうすぐ誕生日だね。今度、一緒にお祝いしようよ』


 誕生日を一緒にお祝いしよう。その誘いはトワだけでなく、マリーからも受けている。具体的に、どこで何をしようという話まではしてないのだが、どうせなら、皆で一緒にお祝いをしたいと大岡は考える。


 どうしようかと考えて、大岡はトワとマリーと三人で使っているグループチャットにメッセージを送る。『今度、三人で一緒にお祝いをしませんか』少しかしこまった書き方。本来はこの方が、大岡の素に近い。大岡の普段の喋り方は、彼女が自身を勇気づけるためのものだ。


 ほどなくしてトワとマリーから、それぞれ別のキャラクターのスタンプが送られてくる。どちらも可愛いフォントで『了解』の文字が書かれていた。


 それから少しやり取りをした後、大岡は部屋のベッドに寝転がる。誕生日……そういえば、そんな日が近かったなと、大岡は静かに思う。見慣れた天井を眺めながら、ふと思考によぎるのはトワとマリーのこと。


 大岡は、二人のことをどちらも大切だと思っている。たぶん、同じくらいに大切なのだ。二人はどちらも、大岡の親友なのだから。


 最近、大岡が気付いたのは、おそらくここ最近の不調……あるいは配信ができない状況は、二人を失うことを恐れているからだ。蛇の壺の女が亡くなったニュースを見て、大岡は感じてしまった。もし、自分の配信が原因で大切な人を失うようなことになったら……そう考えると、身が竦んでしまう。配信なんて、できない。


 結局自分は弱い人間なんだと大岡は思う。配信を始めたのは、大切な人たちに置いていかれたくないから。配信ができなくなったのは、大切な人たちを失ったりしたくないからだ。


 それが、おそらくは大岡の根底にある気持ち。ヤエ先生は、大岡が根底の気持ちに気付いた時、迷うことはなくなると言っていた。けれど、大岡は迷っている。今も、大岡は自分がこれからどうするべきか分からない。


 それとも……大岡がまだ気付いていない……心の奥深くに眠る何かがあるのだろうか。考えても、答えは出てこない。暗闇の中で無くし物を探っているようで、イライラする。


 大岡は一度、目を閉じた。イライラを感じた時は、一度静かに、落ち着くべきだろう。そうしているうちに大岡は眠気を感じ、意識が深いところへ落ちていくのが分かった。


 今、大岡の心は暗闇の中をさ迷っている。ここから抜け出したいともがいている。けれど、見つけるべき何かは、まだ見つからない。

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