トワと公園で
日曜日の昼、大岡はトワと共に近所の公園へとやって来ていた。ナコトも一緒だ。少し肌寒くはあるけど、明るい日の下で、のんびりとした時が流れて行くのが気持ちいい。大岡はベンチに腰をかけながら、そう思った。
トワがナコトとフリスビーで遊んでいる。その円盤は大岡が家から持ってきたもの。それで彼女たちが楽しそうにしてくれるなら嬉しい。
もう何度目だろうか。トワが投げたフリスビーをナコトが加えて戻ってくる。そのたびにトワはナコトを撫でながら褒めていて、大岡はナコトの飼い主として誇らしい気分だ。
やがて、遊びつかれたのか。トワがナコトと共に、大岡の元へやって来た。トワはベンチに座り、その足元ではナコトが伏せている。大岡の目には、彼女たちの様子が様になって見えた。なんというか、格好いい。
「……ナコトは賢いね。マニア」
「だろ。その子は最初に合った時から、賢かったぞ」
「だよねえ。本当に、良い子だ」
トワはナコトを眺めている。大岡はトワの様子を見ながら、ドキドキとするものを感じていた。以前、ヤエ先生から聞かされた、二人に愛されているという言葉。その言葉を聞いてから、トワを見ると妙に胸がざわつくのだ。この気持ちは……何であるか、見当はつく。けれど、確信は持てない。その気持ちをトワに直接確認する勇気は無かった。
「……マニア、あのさ」
「何だい?」
「私、またダンジョンに潜る。今度は、前より長くダンジョンに居ることになると思う。しばらく……と言っても何週間も会えない訳じゃないけど……今度会うのはしばらく後だよ」
「……そっか」
大岡は寂しい気持ちを感じていた。配信活動を通して、トワと時間を共にすることも増えていた。けど、大岡はダンジョンまでついていくことはできない。それはどうしても、仕方の無いことだけど、やっぱり寂しい。
「……トワのダンジョン配信、観てるよ。できるだけ、観られる時に。今度も、トワが無事に帰ってこられるように応援してる」
「ありがとう。マニア、私は……」
そこで、トワの言葉が止まった。彼女は、悩むような顔をしてから、やがて「やっぱりやめておく」と言う。彼女が途中まで言いかけていた言葉の続きが、大岡には気になる。けれど、彼女が言うべきでないと思ったのなら、その内容は、聞くべきではない。
「やめておくよ。それをここで言うのは、きっと死亡フラグだからね」
「……分かったぞ。また会った時に、その言葉を聞かせて欲しいぜ」
「うん、また会った時……だから、私は絶対に戻ってくるよ。今度も、また」
また、会える。それを大岡は確信していた。




