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妖精の一撃(中編)

「さて、まだ魔女の存在や多くの迷信が広く信じられていた時代、ヨーロッパの人々は土の中から奇妙なものを発見した」


 大岡はエルフショットの物語を言葉にしながら、配信を見ている人々のことを想像する。多くの人間に注目されていることに緊張しつつ、それは同時にやる気へ繋がる。


「奇妙なものとは、石の道具だ。今回語るエルフショットもそのひとつ。石の矢じりに人々は困惑した」


・矢じりに?

・どう扱うべきかは困るよな

・矢じりだけあってもね

・当時は石の矢じりを使ってたんだろうか?

・というか、石器の時代じゃないよな


「そう、石器の時代はそのころより、ずっと昔のことだぞ。石の道具を使ってた時代から、ずっと後、中世ヨーロッパのイメージをしてくれたら良いかな」


・あーね

・中世ヨーロッパかー

・なんか教会とか騎士の時代ってイメージだね

・その頃は迷信なんかも今より多かったろーな

・農地を耕そうとしたりして矢じりを見つけたのかな?


「そう、新たに土地を耕そうとしたりしてな。人々は石の道具を見つけた。で、だぜ。想像してみてほしいんだが、当時の人々にとって石器時代は身近なものではなかった。当たり前だけど石器の時代から生き続けてる人間なんて、普通は居ない」


・それはそう

・当時は歴史に詳しい人は少なかったろうね

・教会でも石器時代の知識はあっただろうか?

・出自が不明の物品か~

・あーね当時の人々が困惑したって理由が分かってきたぞ


「中世で使われてたのは一般的に石の矢じりではなかったはずだ。なら、その矢じりは誰が使っていたものなのか?」


 ヨーロッパに限らず、世界中で人々は理解の及ばない存在には、もっともらしい理由付けをしてきた。大岡はそれを愚かだとは思わない。現代であっても、常識だと思われていたものが覆されることはあるからだ。それを忘れないように自分を戒めながら、大岡は語る。


「石器時代の人間を知らなければ、別の存在が考えられる。つまり人間とは別の存在、例えば妖精がそれを使っているというわけだ。もちろんこれは間違った答えなんだけど、当時のヨーロッパの民間では広く信じられていたんだな」


・それでエルフショットか!

・妖精が使っている武器だと思われてたんだね

・小さな妖精が使う武器か。面白い

・そういう答えになるのね

・妖精が身近に信じられていた時代だからこその発想だよな


「で、当時は他にもよく分かってなかったものがある。その中のひとつに突然の心臓発作なんかもあるぞ。今では心筋梗塞とか不整脈などが理由だと考えられるけど、当時の人々からすると、突然呪いによる攻撃を受けたかのようにも見えたろうぜ。あるいは妖精の見えない武器による攻撃! みたいにな」


・妖精さん!?

・ひょっとしなくてもやばいよね!?

・妖精が人間を狙う理由はなんだよ!?

・突然の攻撃!

・物騒な話になってきたわね


「心臓発作以外にも脳卒中とか、当時の人々からすれば不可解な不幸というものは、いくつも存在した。そんな数々の不可解な不幸にも、理由が考えられるんだな。つまり小さな妖精からの攻撃。妖精たちは死というものを知らず、いたずら程度の気持ちで人を攻撃すると考えられたわけだ」


・いたずらが物騒すぎる

・攻撃される方はいい迷惑だよ

・こわー

・怖すぎて草も生えない

・その見えない攻撃の名残が石の矢じりというわけだね


 大岡も妖精による見えない攻撃を想像すると怖くなる。思わず身震いしてしまうほどだ。できることなら、まだまだ長生きがしたい。


「コメントにもあったように、当時、土の中から見つかった石の矢じりは妖精たちの見えない攻撃の名残だと、考えられていたようだぞ。で、ダンジョンから見つかる呪物としてのエルフショットは実際に、見えない矢にすることができる」


・まじ!?

・見えない矢が作れるの!?

・見えない一撃か。それはロマンがあるな

・つよそう

・矢じりだけでそのまま見えない矢になるわけではないんでしょ?


「探索者協会が矢じりを加工して、見えない矢を作ったって話は聞いてるぞ。けれど、見えない矢ってのは作った本人にも見えないぞ。触ることはできるが、使うことはお勧めしない。手元に置いておくこともだ」


・なんか理由がありそうだね

・マニアちゃんが言うからには、よほどの理由か

・弓の使い方は分からんし言う通りにします

・矢を持つべきでない理由とは?

・それがこの呪物のメリットとデメリットに繋がるのかな?


「矢じりや矢を失くしたり、見失ったりするのは危険だぞ。この矢じりは、元々は見えない存在が使ってくるもの。まあ、簡単に言うと、不注意で失くすと死にます」


・はぁ!?

・怖すぎる……

・デメリットがでかすぎる

・ってことは矢として使うなら回収必須か

・回収必須の見えない矢……え、それはちょっと


「……そうだな。正直、これを矢に加工して使うのは、メリットに対してデメリットが大きすぎる。けれど、この矢じりには別の使い方もあるんだ。というわけで、お守りとしてのエルフショットを解説するぜ!」


 ここからが、注目のしどころだ。大岡はワクワクしながら呪物の解説を続けていく。

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