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扉を開けたら知らない図書館だったらしい

賃貸更新料のトラブル解決させて気分上々↑↑

文字数も知らないけど前回より多いかもしないです。


あと毎回登場する書籍ですが、小説や漫画はネタバレ回避のためにあらすじなどの誰もが知ってるような浅めなところのみを使っています。


安心してください、見えてませんよ!(多分)

 この八意書房は本業というか、ほとんど趣味みたいなもので、ホントの職業は研究者みたいなことをやっている。厳密には、探究家と言えば良いだろうか。


 俺はインドア派ではあるだろうが、外に用事があれば普通に出るし、海外のミステリーや美術に用があったらヨーロッパやアメリカまで行くこともちょくちょくある。

 だから俺は本というよりは未知への探究や知識・技術の実践と普及を目的としているのだ。

 それが使命だと思っているし、今となっては存在意義とも思っている。


 しかし、俺はもう一つ誰にも言っていない野望があるが、それを語るにはこのページはまだ浅すぎる。



 だからいつか、『最高の終わり』が来た時にでも語るとしよう。






 今のフェルマーみたいでカッコよくなかった?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



彩綾が帰った日の夜8時頃。


 本日の読破と内容のデータ化が終わったところで、B1へ続く階段を登っていると上の階から足音が聞こえた。普通の書店ならお客さんが来たと思うことだろうが、生憎ここは八意書房。来る人は限られるし、初見だとしてもこんな時間にわざわざ路地裏を通って、書房だと一見分からない地下への扉を開けて入ってくるなんてあり得ない。


結論:どこかでここの情報を聞きつけた泥棒の可能性大


「・・・ッ!」


 すぐさま身を構え足音のした方向へ忍び寄る。


 有事の際にと言うわけではないが、探求ついで武術書などで得た体術や剣術などは独学で習得済みである。


「(相手は足跡からして1人。音の高さから女性・・・の割には音が小さいということは少なくとも素人ではない、か)」


 この現代日本でましてや書店に銃で泥棒はないと推測し、武器は良くてナイフ類だろうと断定し、恐る恐る息を殺して近寄る。

 すると、入口付近の照明下に1人の女性らしき人が見えた。

 ウェーブがかった長い赤毛にRPGの冒険者みたいな軽装。

 俺より少し低くスレンダーな体格だが、かといって華奢と言うわけでもない。よく見ると女性らしい筋肉質も見てとれる。


 腰に収納されたナイフが確認できたので、俺は隠れるのをやめて敢えて堂々と女性の前に歩み出た。


「誰!?」


「オイオイそれはこっちのセリフだぜ。こんな時間に俺の書房に何用だい?」


「書房・・・?此処(ここ)は図書館か何かなのか?」


「あ?アンタ知らんとここに来たのか?

ここには狭い路地裏を来なきゃ着かないし、看板すらないってのに」


「看板?私はダンジョンの隠し扉を開けたらここに着いたのよ」


「ダンジョン?隠し扉?そんな大層なもんが・・・・・・・・・・・いや、そんなまさかな」


 日本で歴史上RPGみたいなコスプレして強盗を犯した者はいない。ましてやここに来る方法は路地裏を通る以外にないのだから、来た方法を隠す意味もない。


 つまり、現状この女の言ってることは正しい以外にない。


「なるほどね。マルチバースやパラレルワールドみたいなものか。神隠しで人が消えたりってのもこんな感じなんだろうな」


「??」


 取り敢えず、互いに会話もできる以上蛮族(ばんぞく)などの類ではない。理性的な話し合いができるのなら、理性的にことを運ぶべきだな。

 俺は少しあっけらかんとしている彼女と会話を続けた。


「俺は阿賀野瑞樹。ちなみに瑞樹が名前な。ここの主をやってる。んでもってアンタは?」


「あ、え〜と私はアンネ・サーシュよ。ハーラル王国で冒険者をやってるわ。でも凄いわね、オルド語が話せるなんて」


「オルド語・・・?俺ァ日本語として喋ってるつもりだg・・・・・・(これはあれか?異世界もの特有の共通言語化ってやつか?何にしろ都合がいいぜ)」


「どうしたの?」


「あーいやこっちの話。立ち話もなんだ、本でも読みながら情報交換といこう。こっちの字が読めると良いがな」







ーーー数十分後ーーー


「・・・そっちはハーラル王国の他にデウス皇国(こうこく)という宗教国家に軍事国家リベリオン、獣人の国ベスティア、海上都市ラメール。こっちほど国はねぇけど人種とか領地とかそこら辺シビアそうだな」


「この地球ってところも同じでしょ。190カ国以上も国があるのによくまとまっていられるわね」


「しかも貨幣(かへい)は硬貨型。銅貨・銀貨・金貨そして白金貨か。さらに白金貨以外はそれぞれ大小を儲けて下から10倍ずつの価値。白金貨に至っては他とは比べ物にならんくらい価値が高いのか」


 俺たちは互いにテーブルを挟んで世界の情報を提示し合った。しかし、あくまでざっくりとした世界の形とか異世界ならではの基礎情報のみである。情報は宝なのは戦時だろうと日常だろうと同じなのだ。


「さてと、お互い話すべきことは話した「ちょっと待って。貴方の世界では異世界なんて架空なんでしょ?疑ったり否定したりしないの?」あ〜・・・いくら架空といっても、散々世間では創作された有名な文化になってんだよ。俺じゃなくても一般なら驚きはすれどむしろワクワクしたりするもんだと思うぜ?」


「あら、そうなの・・・。よかった、偏見とかなくて・・・」


 小さな声でアンネが呟いた。知らない世界とは言え、既にろくでもない思われ方されてたら不安にもなるか。


「さてと、一応もう夜遅いがせっかくの未知のお客さんだ。なんか読んでくかい?できれば買ってもらいたいもんなんだが」


「読むって・・・・・・この無限にありそうな本の中から!?」


「おー、科学とか専門知識は流石に無理だろうから、そっちにも馴染みあるものかつ、活字ばっかりじゃアレだろうし漫画なんてどうよ?」


「マンガ?」


「絵がメインの読み物だよ。一番世俗的で読みやすいはずだ」


 そう言って俺は、B2階の西エリアにある漫画コーナーから彼女の世界の価値観に合いそうな本を3冊ほど選んで戻った。


「あれ?・・・何でか知らないけど、この本のタイトル読めるわ」


「お!マジか!?てことは俺も向こうの文字とか普通に読めるってことか」


「読めるというより、ルビみたいに意味がなんとなく分かるって感じに近いわね」


「理解できるだけ儲けもんだよ。

まず1冊目が『シャドーハウス』。人外たちのちょっと不気味だがハートフルなヤツ。

次が『ダンジョン飯』。ただただダンジョンでの食事の話。そっちの食事情も知りたいしな。

最後が『葬送のフリーレン』。勇者パーティーのエルフ視点の物語。俺は読んだことないけど巷では人気だ」


 以上の3冊をそれぞれ1巻ずつアンネに渡した。アンネは貴重だしもうここに来れなくなるかもしれないことを考えて購入してくれるそうだ。毎度あり。


「じゃあ幾らになるのかしら?」


「3冊で2100え・・・てかお前金あんの?つーかそっちの貨幣で払えんの?」


「いや、待ち合わせはあるんだけどこっちのお金となると・・・・・・って何これ?」


 アンネが徐にポーチから取り出したのは、先ほど話した大銀貨2枚と小銀貨1枚だった"はず"のもの。しかし実際に今目の前にあるのは、千円札2枚と100円玉だった。


「アレッ私こんなもの持ってなかったわよ!?」


「・・・多分ウチに入った時に自動変換されたんだろーな。言語といい文字といい貨幣といい、神さんでも仕組んだみてえなシステムだぜ」


 今は断定することは不可能。ましてや異世界の神だろうと無神論(むしんろん)が定着した現代に生きている俺たちにとっては、神の実在を証明するなんてファンタジー相手でも難しすぎることだった。

だがこれで俺が硬貨を換金したりとかせずに済むことが分かった。良い想定外だった。








 本の代金を貰い、せっかくなんで出口まで送る。


「じゃあ、繋がってたらまた来るわ。幸いここは王国にもかなり近い地点だし」


「そいつは光栄だね。是非とも好奇心と知識欲を養ってくれ」


「お得意様なら本を借りたりできるのかしら?」


「まあ、そこまで贔屓(ひいき)にしてくれれば考えるよ。もしくは信用に値する奴とかならな」


 またね、と最後に言い残しアンネは扉を開けて出て行った。

 扉と彼女の隙間から見えた向こうの風景は、いつもの路地裏ではなく薄暗いレンガ調の壁だった。

 本当に異界と繋がっているのかと改めて実感した。


「・・・・・・よし、寝るか」


 兎にも角にも、まずは寝よう。

 もうとっくに11時を過ぎてしまった。異世界というまだ見ぬ世界に出会えたのは僥倖だったが、睡眠欲には敵わない。


 俺は私用の本棚とPC、テレビが置かれた自室で泥のように寝た。


 あの本、売ったとはいえ大事に読んでもらいたいものだ。

ネタバレ:今回は仕事中に書き上げました

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