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※再検査のお知らせ

読んで!!!!!!!!!!

 瘴魔の森前の遺跡、夜。

リベラが準備した焚き火の前で、のんびりと過ごしていた。

魚か肉でもあればいいのだが、あいにくそういった食材を持ち合わせている様子はない。


「なぁリベラよ、これからどうするのだ?」

「そうですね・・・・・・。魔王の生死が不明な以上わたしたちは行動しづらいのですが・・・・・・一度然るべき所へ向かってあなたを元に戻すべきかもしれませんね・・・・・・」


 揺れる炎を見つめるリベラの目が、うっすら細められる。

焚き火の中で木の枝がパチリと音を立てた。


「・・・・・・ワタシを・・・・・・戻せるのか? そんな簡単に?」

「それは・・・・・・ですね・・・・・・」

「ちょっと難しいかもね〜」


 二人で話していたところに先程まで少し離れた場所で眠っていたロジカがやってくる。

まだ眠気の残滓を引きずって大きなあくびをしていた。


 ロジカがワタシの横に並んで、焚き火の中にそこら辺の生の枝を放り込む。


「過去の魔族化の事例も、解呪された記録が無い。大抵発覚次第殺されちゃうからね。だから・・・・・・まぁ治し方が分からないんだ。記憶喪失に関してもまったくもって原因不明。リベラが早く戻したいのも分かるけど・・・・・・正直お手上げだよ」

「・・・・・・」


 焚き火の炎のおかげで気持ちは穏やかだが、この二人にとっては難しい問題のようだ。

ワタシは・・・・・・正直何も覚えていないしそれほど問題意識はない。


 リベラは黙ったまま焚き火を見つめる。

それを見たロジカは小さくため息をついた。


「ま、でも・・・・・・アタシが居るんだから、なんとかなるって、それは約束してみせる。魔族化を解消する手段がまだ無いなら作ればいいだけ! 単純でしょ!」

「ロジカ様・・・・・・それはそう簡単な話ではないのでは・・・・・・?」

「まぁ見てなって。・・・・・・そうだね、じゃちょっと調べてみるべ! お姉さん張り切っちゃうよ!」


 ロジカが屈んだまま体の向きを変える。


「お? な、なんだ?」


 そうして体の正面をこちらに向けて、ゆっくり手を伸ばした。

その手のひらはワタシの体に触れる少し手前で止まる。


「心配しないで。ちょっとした魔力解析だから。勇者の装備のアナライズはあくまでも勇者か否かにしか焦点が置かれてないからね。だからもーっと詳しく、今の勇者様の状態を見るわけさ」

「お、おう・・・・・・」


 ロジカの体内で、魔力が流れるのを感じる。

それは血流に乗るようにしてワタシに向けられた手のひらに集い、そして放出された。


 その不思議な力の流れがワタシの体に溶ける。

通り抜ける。

ロジカの体内を巡ったように、またワタシの体でも流れていくようだった。


「あ! 勇者様、今アタシの魔力捕まえようとした? 魔力の扱いは覚えてるんだ」

「い、いや・・・・・・なんだ? よく分からぬが・・・・・・」

「・・・・・・なるほど。ほとんど無意識か・・・・・・考えてみれば勇者の装備もちゃんと起動してたし、魔力の制御に関しては体が覚えてるって感じね」


 ロジカの顔付きがすっかり探求者のものになる。

まだワタシの記憶では出会って間もないが、今までで一番真剣な表情をしているようだった。


「ま、とりあえず分析のために魔力流し込んでるから・・・・・・気になるかもだけど出来るだけいじんないで! 邪魔!」

「ロジカ様、勇者様への・・・・・・」

「だって腐っても勇者だし、なんか今魔族化してるし! アタシより魔力の扱いが上手いんだよ! だから勇者様に干渉されると解析がうまくいかないの! 邪魔なものは邪魔!」


 拗ねた子どものような口調でリベラに言い返しながらも、ロジカは集中して魔力解析を続ける。

ワタシは言われた通りに出来るだけ流される魔力を気にしないようにした。

そして・・・・・・。


「・・・・・・どうなんですか? 何か分かりましたか?」


 しばらくすると、リベラがロジカを急かす。

それにロジカは一瞬ムッとしたような表情を浮かべるが、息を吐くのと一緒にその表情を改めた。


「ばっちり。魔族の体って人間と違って不純物の無い魔力の塊みたいなもんだから、人間の体解析するよりスムーズだったよ」


 それからロジカはかけてもいない眼鏡をくいと指で持ち上げる動作だけして、どこかの偉い先生のように語り出した。


「今まで魔族の体なんてこうやって調べることなんて出来なかったけど、いやぁ面白いね。構造で言えば、元が人間だからかほとんど同じ感じ。臓器の機能とか、配置とかはね。ただ純粋な魔力からなる肉体だから、再生能力も高いし、機能的にも劣化しない。事実上の不老だね。殺されなきゃ死なない体だ。まぁこれに関しては昔から言われてたことだけど、やっぱりホンモノをこの目で見ると・・・・・・」

「あ、あの・・・・・・すみませんが、ロジカ様の個人的な関心ではなく、結局のところ魔族化を元に戻せそうなのかを知りたいのですが・・・・・・」

「う・・・・・・悪かったよ」


 ロジカがリベラに遮られて止まる。

ワタシとしても長引きそうな感じはしていたので中断してくれてほっとした。


「うー・・・・・・でもねぇ」


 ロジカがバツが悪そうに頭を掻く。

眉根を寄せてしばらく悩むようにしてから、両手をぱっと上に上げた。


「・・・・・・戻し方は、今のところ分からんねぇ・・・・・・」


 とぼけたようにニヤニヤしていたが、それも続けていられなくなってだんだん笑みが引き攣っていく。

ちょっとおちゃらけたように上げた両手も、すっかり垂れ下がってしまっていた。


「・・・・・・まぁ、うん。何も思いつかんかったです」

「そうですか」


 対するリベラは元よりそれほど大きな期待はしていなかったようで、反応が薄い。

それ以降は黙ったまま、焚き火の維持に専念するようだった。


 弾けた火の粉が夜空にのぼる。

結局のところ行動の指針もまだ立たないみたいだ。


「・・・・・・ふむ」


 まぁ、ワタシが考えても仕方ないことだ。

(おそらく)何日かぶりのゆったりとした時間を過ごすとしよう。

次回も!!!!!!!!!!

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