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再会(?)

読むべき!!!!!!!!!!

 古くから魔族のテリトリーとされる「瘴魔の森」。

その広大な森の入り口付近、そこにある廃墟と化した遺跡に二人の少女が居た。

勇者の仲間である、リベラとロジカだ。


 金色の髪に海のような深い青色の瞳。

誰もが見惚れてしまうような端正な顔付きの少女がリベラ。

その横に足を伸ばして座っている赤色の髪を右側頭部で一つに束ねた少女がロジカだ。


 勇者の仲間というだけあって、この二人は普通の少女ではない。

リベラは勇者の補佐役として製造された魔導人形であり、ロジカは自称ではあるが魔法研究家だ。


 そんな二人は、この遺跡にてもどかしい時間を過ごしていた。


「はぁ・・・・・・。来ないね、勇者」


 視線の位置を変えないまま、ロジカがため息をこぼす。

その隣に姿勢よく立っているリベラが答えた。


「アイン様がわたしたちを置いて旅立って、三日が経過しています。絶大な魔力の衝突を検知したのが一日前。それ以降は何も変化はありません」

「まったく、どうしてこういうときに限ってアタシたちを置いてくかねぇ、あの死にたがりは・・・・・・」

「いくらロジカ様と言えど、アイン様への侮辱行為は許しませんよ?」

「はいはい、わーってるよ・・・・・・」


 軽い言い合いをしつつも、二人はお互いに心をすり減らしていることを理解している。

ここまでの長い旅路は、お互いのことを理解し合うには十分だった。


 だからこそ、二人とも納得がいかない。

勇者が二人に黙って魔王との決戦に向かったことが。


 既に数回接触している故、魔王の脅威度は知りたくなくとも分かってしまっている。

圧倒的な力、その禍々しい魔力。

いくら勇者と言っても、一人ではその勝算は・・・・・・。


「・・・・・・それはアタシらが居ても同じか・・・・・・」


 ロジカが疲れ切った眼差しで目を細める。

勇者と離れ離れになってから今日まで、熟睡出来た日は無い。


「ロジカ様。わたしと違いあなたは人間です。最低限の休息はとってください。それに・・・・・・」


 リベラが、突然自らの胸を開く。

観音開きのかたちで開かれた胸から、その複雑な内部構造を露わにした。


「うおっ・・・・・・と・・・・・・。見慣れたと思ってたけどやっぱりドキッとするな。いきなりやるのやめてよね・・・・・・?」

「・・・・・・すみません。しかし・・・・・・しかし見てください! アイン様は、生きています!」


 リベラの胸の中。

その隙間に収納されているのは、ロジカ特性の“勇者アイン人形”だ。

ぬいぐるみながら勇者のいまいち冴えない眼差しを再現している。


 この人形は勇者本人の状態を反映するように出来ており、勇者が元気なら笑顔に、ケガをしているなら泣き顔になり、そして死んでしまったら消滅する。

今の人形の表情は泣き顔。

この人形が正しければ、勇者は生きているはずなのだ。


 異常な魔力は昨日以来観測されていない。

つまり勇者と魔王の戦いは終結している可能性が高いのだ。


 ロジカは拗ねたように唇を尖らせて呟く。


「はやく帰ってこいってば・・・・・・勇者」


 勇者人形の精度に関しては自分が作ったのだから絶対の自信がある。

しかしそれなのに、胸中の不安は拭い去れないままだ。


「・・・・・・魔王の討伐に成功していたとしても、瘴魔の森には多数の攻撃的な魔物や過度に魔力の影響を受けた植物の危険性があります。消耗した状態では・・・・・・」


 リベラもまた表情を曇らせて、続く言葉を飲み込む。

泣いている勇者人形を仕舞って胸を閉じ、数回瞬きした後に目を伏せた。


 今ではすっかり仮拠点となっている遺跡。

二人の不安とは裏腹に、そこには暖かな陽光が降り注いでいた。


 ロジカがとうとう限界を迎えて、座ったまま頭をふらつかせる。

リベラはそっと歩み寄り、ロジカの体を引き寄せた。


 時間はゆっくりと流れる。

柔らかい風が崩れた石柱の隙間を吹き抜ける。

そこに勇者の帰還を予感させるようなものは何も無かった。


 このまま何も変わらず、ずっとこのまま時間だけが流れていくのではないか?

そう思えてくるほどに、何も起きない。


 だからだろうか、いつもなら真っ先に反応するのに、見逃すはずなどないのに、リベラの反応が遅れたのは。


「・・・・・・!? わたしの感知範囲内に勇者の剣を検出しました! 距離は・・・・・・えぇと、とにかく・・・・・・! 移動しています!」


 リベラの声色が分かりやすく変わる。

何かを期待するトーン。

まるで主人の帰宅を聞きつけた飼い犬のようにもとより綺麗な瞳を輝かせた。


 その変貌ぶりに、ロジカも意識が明瞭になる。

リベラの言葉を聞き漏らすこともなかった。


「勇者が・・・・・・帰って来る?」

「きっと、そのはずです!」


 リベラは吸い寄せられるように、勇者の剣の反応の方に歩みを進める。

ロジカもやや危うい足取りでその後に続いた。


 真昼間にも関わらず幕を垂らしたような闇が蔓延る森の奥。

そこからガサガサと草葉をかき分ける音が近づいてくる。


 そしてついに、その音の主は、勇者の剣の反応は、魔族の領域から一歩日の光の降り注ぐ場所に踏み出した。


 リベラとロジカの目に、三日間我慢してきた涙が浮かぶ。

もう何も見えないくらいになりながら、やって来た人物に飛びついた。


 獲物を見つけた深海魚のように、飛びついてそして離さない。

もう二度と離してなるものか、と抱きしめる。


 そうやってひとしきり抱きしめた後、二人はゆっくり体を離して顔を見合わせる。


「「・・・・・・誰!?」」


 解釈違いなどでは済まされない。

勇者の剣を携えて現れたのは、どこからどう見ても魔族の少女だった。

次回も読んだ方がいいと思う!!!!!!!!!!

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