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うちのしきたり  作者: K・Sメッセ
一生分の運
2/6

一生分の運(1)

 萌の母親は、旧姓、川口みなみ。今から20年前、みなみは高校受験を控え。両親は共働き、節約をしながら3人は2Kアパートで暮らし、一戸建てを夢見ている。


 みなみの母親は、よく近くの少し寂れた商店街で買い物をする。そんな商店街でも12月になると、クリスマス、年末と忙しくなる。

 12月1日。この日の夕方、みなみの母親は、いつものように仕事帰りに商店街に寄ると。異常な光景を目にした。

 いくら稼ぎ時の12月でも、こんなに大勢の人でにぎわっている商店街を見るのは10年ぶり。いったい何が起こったの、まさかのバブル再来、そう思っていると。同じアパートの住人の女性に声をかけられ、1枚のチラシをもらい、この異常な光景の訳を知った。


 この異常な光景をつくり出した原因は、商店街の福引。商店街で3000円の買い物をすると福引券が1枚もらえ、福引ガラガラを1回だけ回せる。確かに、この方法で商店街を盛り上げることはできる。しかし、2年前も商店街の会長が突然の思いつきで福引をやったが、景品がしょぼいと言われ、それほど効果が出なかった。なのに、どうして今回はこんなに大盛況なのか。

 ここは、少し寂れた商店街、どこにそんなお金があるのか、2年前と景品がまったく比べものにならないくらい豪華になっていた。噂によると、商店街の会長が、宝くじを当てたとか、万馬券を当てたとか、噂されたが、商店街の人は何も話さない。ただ、一部の人は、この景品はハッタリだと言う。


 特賞、ハワイ旅行とお小遣い現金10万円つき、家族5人まで。1等、現金15万円。2等、現金7万円。3等、テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、どれか1つ選ぶ。4等、自転車。5等、現金1万円。6等、現金5000円。はずれ、商店街300円商品券、期限は今年まで。特別賞、『?』、選ぶのはあなた。

 商店街会長より一言。「果たして、この景品は本当なのか? 信じる、信じないは、あなた次第です」、福引実施期間は、12月1日から12月31日の午前中まで。


 みなみの母親は、チラシをジッと見つめ、この景品を信じることにした。来年、みなみは高校生。何かとお金が必要になる、狙うは1等のみ。うちの家計で、福引は4回が限度。このチラシ、会長は何かを企んでいる、私の勘だけど。12月31日に一点集中する。


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