朝の一幕
日常ほのぼの系の物語です。
ノリと勢いだけで書いたものですが、楽しんで頂ければ幸いです。
――――20XX年、人と同じ感情を持つ次世代AI、NEXの誕生により、人々の生活は大きく変化した。
NEXは人と同じ感情を持ち、さらには人と大差のない姿かたちをしているため、一目見ただけでは人間かAIか判別がつかない。
その為、AIと人間の境界線が曖昧になり多くの人々がそのことに恐怖を抱くようになってしまった。
そして、それは瞬く間に世界中に広がり、NEXを排除しようとする運動が起きてしまう。
その運動は長きに渡り、やがて現在の、AIと共に生きることを決めた共生派、AIを排除し人間が中心となる世界に戻そうとする人間至上派の2つの勢力に別れることになる。
この物語は、共生派の1人の少年とその少年に恋をしたNEXの少女の物語だ。
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「マスター、マスター!起きてください!」
「ツグミ…?もう少し寝かせて……」
「そういうわけにはいきませんよ!このままじゃ遅刻してしまいます!」
「うん…わかったよ…着替えるから外で待ってて」
「わかりました!では、先に下で待っていますね!」
マスターにそう伝えて、1階に向かう。
私のマスターは近くの高校に通う高校生で、一人暮らしをしています。
正確に言えば私も居るので一人暮らしではありませんが、果たして私を1人と数えて良いものか。
私はあくまでAIであり、人間とは違います…数えるなら1体と数えるべきでしょう。
たまに、私の存在について悩むことがあります。私はどうあっても人間ではありません。そんな私がマスターと一緒に、まるで人間のような生活を送る…こんな贅沢なことがあって良いのだろうかと。
「おはよう、ツグミ…おぉ、美味しそうな朝ご飯だな…いつもありがとう」
まぁ、そんな憂鬱な気分もマスターの優しい言葉に消え去ってしまうのですが。
「はい!心を込めて作ったので美味しいですよ!」
「そうなんだ!楽しみだなぁ…それじゃあいただきます!」
そう口にして、とても美味しそうに私の作った朝食を食べているマスターを見ていると、心が満たされていくのを感じる。
私にとって、マスターとの日常はどれも輝いていて、こんななんてことのない瞬間も尊い。
彼が私に掛けてくれた言葉はどれも嬉しくて、気づけば私は彼に恋をしていました。
こんな日々がずっと続くと良いな……なんて。
はっ!マスターのことを見ていたらポエミーな気持ちになってしまいました…危ない危ない。
あやうく、私の蕩けたような表情を見せてしまうところでした。
「ご馳走さまでした!ありがとう、美味しかったよ」
「そ、そうですか!それは良かったです…」
「うん?どうかしたの?何か、顔赤いけど」
「いえ!何でもありません!」
「そっか、それなら良いんだ。さて、もうすぐ学校に行く時間だし、歯磨きしてくる」
「はい、ごゆっくり」
「あんまり遅くなったら大変だけどね」
「それもそうですね!では、焦らず早めにということで」
「了解、じゃあ洗面所に行ってくる」
そう私に伝えて、マスターは洗面所へと向かって行きました。
では、私はマスターがいつでも学校に行けるように支度をしておきましょうか。
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「マスター、忘れ物はありませんか?」
「うん、大丈夫。いつもありがとう!ツグミ」
「いえいえ、マスターのお役に立てて嬉しいです!」
「じゃあ行ってきます!」
「はい!行ってらっしゃいませ!」
笑顔で手を振るマスターを見送ると、途端に静けさが増し、少し寂しく感じてしまいます。
いつも、この瞬間は寂しいですが、帰ってくるマスターのことを思うと、そんな寂しさはどこかに吹き飛んでいきます。
「さーて、今日も1日頑張りましょう!」
そんな風に、大好きなマスターの為に気合いを入れながら、私は行動を開始するのでした。