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魔法版YouTubeで異世界の成功者に俺はなる!

初投稿です。小説を書くのもほぼ初めてなので緊張してます。僕は異世界転生とYouTubeが大好きなので好きな二つを合わせた作品を作ってみました。拙い文章ですが一人でも読んでくださったら嬉しいです。

第一話「転生」

「バンバンニーハオ!ウーチューブ!」

日曜の夕方、俺は動画サイト、ウーチューブをみながら時間を潰していた。週末の目標だった部屋の片付けは全くやらず、今晩食べるものすらまだ用意していないほど無意味な休日を送ってしまった。それにしてもトップウーチューバーのミカキンは羨ましい。こんななんでもない動画を投稿するだけで何億も稼いでいるのだから。

 画面の中の成功者と比べて俺はどうだ。そこそこの学歴はあったのに、就活でコミュ障を発揮して無事底辺ブラック企業に就職してしまった。毎週平日は馬のように働かされた上、給料も何かの間違いのように低い。今年で26になるが、彼女がいたこともなく、風俗に行く勇気もないのでもちろん童貞である。職場では上司から嫌われ、女子社員からはモテるどころか、この前俺の陰口をみんなで言ってるのを聞いてしまった。曰く、いつもタイミングが悪くて使えない、とのことだ。

 「あー、俺もいち早くウーチューブに目をつけていれば今頃、人生のゴールにたどり着いて今のになぁ……」

そんな事をいってる内に時刻は夜8時になり、お腹がかなり空いていることに気がついた。

「コンビニ行くか」

俺は近くのコンビニに向かうため外に出た。

 俺のアパートからコンビニまでは5分ほどあるのでスマホでウーチューブを見ながら行くことにした。

「今日紹介するのはコ!チ!ラ!バンバン、酒饅頭〜!」

ミカキンはまた訳の分からないものをレビューしている。

「なんで、こいつはこれで大金持ちになったんだ!あー、俺もこいつみたいに楽して成功者になりたい!!」

その瞬間、歩きスマホをしていた俺はトラックが間近に迫っていることにまるで気がついていなかった……。



「……いってて……。」

「あ、目を覚まされましたか?」

目を開けると、そこには長い黒髪に後ろリボンがよく似合う、えらくシンプルな真っ暗の民族衣装のような衣服に身を包んだ超絶美少女が立っていた。

「あなたは…‥一体誰ですか?」

「その前にそれを食べてください。栄養満点のキコの実入りのクッキーです」

俺は目の前のバスケットにあるクッキーをつまんだ。

「う、うめぇ……」

上品な甘さに、何かの実の酸っぱさが程よくマッチしていて、豊潤で、同時にとても優しい味だった。

「私はお菓子屋の女主人、サーニャです!そのクッキーも私が作ったんですよ!実は私はこのお店で一番偉いんですよ!まぁ、私しか働いていないんですけど……。」

「お菓子屋さん……、女主人……はぁ。」

「き、急に喋ってしまってすみません。じ、実はお菓子の材料のキコの実を取りに森に行ったところ貴方が倒れていたのを発見したんです。あの……ご自分のお名前は言えますか?」

「俺の名前は……猪狩大吾、普通のサラリーマンだよ。」

「いかるでぃーご、さんですか?変わったお名前ですね。あの、私学校に行ってないので、無教養でして、お恥ずかしいのですが、サラリーマンって、なんですか」

「?そりゃサラリーマンはサラリーマンだよ。会社に行って奴隷のように働き端金を稼いで糊口を凌ぐ社会の底辺だよ。」

「会社って、アーメンツ商会の方ですか?とするともしかしてフリーの魔術師さまとかでしょうか!?であれば、あれを動かして下さるかも……!」

「いや、俺は魔術師では……」

そう言うより早く、サーニャは何かを取りに奥のほうに行ってしまった。

 残された俺は一人で状況を整理する。俺は腹が減って、コンビニへ行ったはずだ。ウーチューブをみながら歩いていた俺は、トラックに引かれて……。それにしてもサーニャの服装や話ぶりを聞く限り、まるで中世ファンタジーの世界にいるかのようである。

「……そうか!これは、もしかして、いわゆる異世界転生というやつか!!」

「いかせん……?イカさんを使ったお煎餅のことでしょうか?」

目の前に何か板みたいなものを持ったサーニャが立っていた。

「い、いやなんでもない。こっちの話だ。それで、その手に持ってるのは何?」

「そうです!これをディーゴさまに見て欲しいのです。」

そう言ってサーニャは手に持っていた板を俺に渡してきた。

 これ、どこかで見覚えがあるような……。

 しかし、慎重に手でいじくってみるが、その板はなんともならない。

 サーニャは少し悲しそうに笑って言った。

「やはり、駄目でしたか……。実は、半年前、両親が災害で亡くなった時、村長さんに両親の遺産と引き換えにいただいたものなんです。ただ、それ魔法がないと使えないらしいのですけど、魔法適性がある方はこの村からみんな都会に行ってしまう上、そもそも知り合いもそんなに多くないので私は持て余してしまっていて……」

「!!そ、それって、村長に騙されてるんじゃないのか!」

そういえばサーニャはお菓子屋の主人と言う割にかなり若い。16、7、8歳ぐらいに見えた。両親がやっていた店を継いだのだろうか。

「い、いえ違うんです……私は学校に、通ってないので、文字が読めなくて、そのままだと全部王兵さんたちに、取られるところを、これでも残した方だそうで……」

気丈そうに言うサーニャの目には涙が浮かんでいた。彼女も自分が騙されていることに薄々気づいているのだろう。きっと遺産がとられたこと自体よりも、両親の死を我欲に利用されたことが、そして自分にそれを覆す力がなかったことが堪らないのだ。

「サーニャ、辛かったな……」

「!?で、ディーゴさん!?」

俺は思わずサーニャを抱きしめていた。

「いままで一人でよく頑張った。実は俺もさ、昔母さんを亡くしたんだ。父親は俺が物心つく前に母さんを捨ててどっかに行ったらしいから、一人っ子の俺にとっては唯一の肉親だった。」

「ディーゴさんも……」

俺は、板を握る手に力を込めて、あの時の自分が一番欲しかった言葉を発した。

「一人ぼっちで生きてくのは凄いことだよ。サーニャは偉いし、強い。だから、これからは俺も力になる」

サーニャは大粒の涙をぼろぼろと流した。そして、くちゃくちゃのかわいらしい顔で笑いながら皮肉っぽく言う。

「しゃ、さきほどまで寝ていた人の発言とは思えないほど頼もしいですね」

「そういえば!そのお礼を言ってなかった……ありがとう」

「い、いろんな感情がありすぎてなんと返せばいいのか分かんないです!」

俺たちは抱き合ったままひたすら笑った。


 笑いつかれたころ、急に恥ずかしくなってサーニャから離れた。

「……あれ、その板、なんか光ってませんか?」

「ほんとだ、なんだこれ」

手に持っていた板はにわかに光っている。

 その手を俺はさらに強めた。

「あれ、なんか見えますよ!」

すると眩しいだけだった光は像を結び、画面が現れた。

「……これ、スマホだ!」

「ひ、人が見えますよ!小人さんが中にいるんでしょうか!!」

サーニャは目を輝かせている。

「きっと、ディーゴさんの魔力に反応したんですよ!」

さっきの強い感情の動きが魔力の流れるトリガーになったのだろうか。その魔法版スマホからはさらに音が聞こえてきた。

「やっほー、見えるー?ここは王都カナリエアです!今日の動魔では私の街を紹介したいとおもいます」

何やら赤い髪の少女がたわちもないことを話している。

「じゃあ、今日はここまで!バーイ、マホチューブ!」

仕組みも写っている街も、全てがちんぷんかんぷんだったが、ひとつだけ俺にもわかったことがある。

「ディーゴさん、これすごいですが!が!なんだか、内容的にはそこまでおもしろくないです」

その、”動魔”とやらは、とてもつまんなかったのである……!

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