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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

学園青春記

作者: 渡来人

「きゃはははは! また振られたの?」

「……そうだけど?」


 申し訳なさそうにされるよりはマシだけど、大笑いすることでもないでしょうが。


「ゆっか、今回で累計何人目?」

「……そんなの忘れたわよ」


 嘘。累計10人目。もうサイアク。


「ごめん、ごめん。んで振られた理由は、お馴染みのアレ?」

「ええ、そうよ。『他に好きな人が出来たから』よ」


 振る理由は、後付けよ。どうせ、最初から本命は別にいて上手くいったから適当な理由を付けて別れ話を持ってくることは分かってるし。私だって、こう何度もやられると勘付くわ!


「ゆっかも、まな──災難だよね」


 今、学ぼうね。って言おうとしたな。大体察しは付くけど、面倒なだけ。


「しかし、ここまでキープ止まりの関係っていうのが凄いと思うのよ。マドモアゼル」


 それはそうだけど。つうか二人目から、どうしてなのか私を本命のためのキープとして見るようになったけど。とてもじゃないけど、不満でしかない。それとその、エセフランス人はやめて欲しい。


「ホント可哀想に。ゆっかは都合の良い女と思われてるんだね。お兄さん、悲しくて涙が止まらないよぉ。しくしく……」


 はいはい。そうですか。涙なんて流してないくせに。それにアンタは女と認識しているけど、間違っているのだろうか?


「まあ、それはそれとして。こうキープ目的の男ばかりだと、男性不信になってもおかしくないよね」

「もう既になりかけてるわよ。っていうか、鈴歌(すずか)?」

「何? ゆっか」


 一つ聞きたいことを聞いておこう。


「一つ疑問があるんだけど。私達って親友よね?」

「うん、そうだね」


 思い違いは無いようね。


「ほんとに私の事、心配してる?」

「あっ、バレた?」


 ……コイツ、殴りたい。


「まあ、冗談はさておき。ホントに大丈夫? 付き合った男とは軒並み、一週間も保ってないし」

「まあ、男なんて皆私の事を使い捨ての何かと思ってるのよ。その証拠に、私を変なあだ名で呼ぶし」

 ちなみに男共は皆、私の事を『キープ女』と陰で呼んでいるらしい。これは目の前にいる親友? と呼べる鈴歌から聞いたものだけど。

 『キープ女』とは、要するに本命を手に入れるための、仮押さえって事。上手くいえば切り捨て、仮に上手くいかなくてもそのまま付き合っていれば良いし。ホント、嫌なあだ名だ。

「ホント、都合の良い女と思われてるよね。ゆっか」


 その通りだし、心配してくれるのは嬉しい。だけど、彼氏持ちに心配されると無性に腹が立つ。

 陸上部の選手で、彼氏も同じ陸上部のエース。好青年と呼ばれてもおかしくない爽やかな男。

 こちとら、男に(もてあそ)ばれているっていうのに、少し不公平じゃない?


「……私だって、仕方なく付き合ってあげてるの。どうせ私の事なんて、本命のためのキープとしか見てないんだから」

「だけど付き合った男とは、してるんでしょ?」


 ああ、アレのこと? 悪いけど、初めての彼氏以外とは、そういう関係を持った事はない。


「あれ? もしかして圭二君が恋しかったり?」

「はぁ? 誰があんな浮気者」


 心外だ。私があんな奴の事を恋しいなんて、有り得ない。もう3年が経つし、忘れたわ!


「そんな事言って、ホントは寂しかったりして~?」

「いや、それはない」


 うん。私の中には、奴に対する気持ちなんて一つしか無い。

 『嫌い』という気持ち。だって、既にアイツへの気持ちは既に冷めているから。


「ならさ、断れば良いじゃん。嫌なんでしょ?」

「うぅ……でも、また変なアダ名を付けられるのも嫌だし」


 断り続けて、『キープ女』とは、言われなくなるかもしれないけど。別のアダ名を付けられるのもイヤ。


「……あ、あの」

「例えば、『冷酷女』とか?」

「鈴歌? 怒るよ」


 うん、呼ばれないようフォローくらいして欲しいくらい。


「……あ、あの。雨月(あまつき)さん」

「おや、噂をすればなんとやらだよ」


 ……またか。もう、今度は誰よ?


「あ、あの……」

「……何よ」


 告白なら、早く済ませて欲しいんだけど。


「……ひっ! こ、これ」


 人を化け物を見たみたいな顔しないでよ。これでも傷付くんだからね。って、何よ、その白い封筒は?


「う、受け取って……下さい……」

「……はぁ。分かったわよ」


 まさかのラブレター。とか、言わないわよね?

 ……あっ、逃げてった!?


「あらあら。恋文なんて、珍しい物を渡してきたね」

「アンタは年寄りか。ラブレターと言いなさい」


 ラブレターかどうかは分からないけど、間違いなくそうでしょうね。

 ……まあ、封筒を開けて中に手紙が入っているのは当然よね。

 そして案の定、内容は簡潔に『好きだから付き合ってほしい』って書かれていたし。やっぱりラブレターか。えっと、名前は梅谷(うめや) 真司(しんじ)か。


「告白方法は今までと違うけど、でもまあ、これで11人目になるね」

「うん、そうなるかもね」


 おどおどしててイラつくけど、やってることや考えてる事は、は皆同じ。男なんて……。

 自分の席に座って、こちらの出方を待ってるけど私なんて本命のためのキープとしか見ていないんでしょ?


「まあ、流石のゆっかも今度は振るでしょう?」


 鈴歌、もちろん答えは一つしか無いでしょ?


「ううん。付き合ってあげるわよ。まあ、″上っ面″だけどね」 


 さて、手紙の主に返事をしておこうかな。


「あのさ、さっきの手紙の返事なんだけど。ちょっと場所変えたいから、付いて来て」

「う、うん……」


 おどおどし過ぎなんだけど。別に取って喰おうとしてるわけじゃ無いんだから。


             ***             


 さて、場所を変えて、校舎裏に来たけど。本来はこういう所で告白されるもんだけど。何故か、私が告白の返事をすることになってるのは、置いとくとして。

 ただ、本命が私じゃないのに、付き合う事になるのは少々不満ではあるけど。


「さてと。じゃあ、手紙の返事をするから。答えはYES。私で良ければ、付き合ってあげる」

「ほ、ホントですか!? あ、ありがとうございます!!」


 はぁ? そんなに喜ぶこと? コイツ、本命に断られたときのショックを考えてるの?

 まあ、演技って事も考えられるし、本命に振られようが私には関係ないから良いんだけどね。むしろ、ざまぁみろ! って心の中で笑ってやるわ。


 そんなこんなで私達は付き合うこととなったわけだけど。今度は何日で振ってくるのやら。まあ、そんときはグーで殴るけど。



             ***             


 放課後、私達は下校しているわけだけど。


「…………」


 ……はぁ。何か話しなさいよ。黙ってちゃ空気悪くなるし、場が重くなるでしょ!


「あ、あのぉ」

「……何よ?」


 ようやく喋るようになった。で、何話すつもり?


「あ、あそこに洋服店が、あるんですけど」

「ああ、あるわね」


 何? 行きたいの?


「い、行きませんか?」

「……良いけど、ちょっと先に行ってて」

「……あっ!? う、うん……わ、分かったよ!」


 何か勘違いしてる気がするけど、別に良いか。先に店へ入っていったし。さて……。


「良いのか? 彼氏を先に行かせて、俺と話してたら、悪いと思わないのか?」

「良いのよ。どうせ、本命は別にいるでしょうし。私は繋ぎでしかないのよ」


 今までがそうだったし。


「そっか。俺と別れてから、そんなことになってたのか」

「ええ、そうよ。でも全ては圭二(けいじ)、アンタが浮気しただけじゃなく、そのまま振ったからよ。で、あの子とはどうなったの?」


 どうせ、幸せとか言い出すんでしょうけど。


「ああ、その事なら別れたよ。正確には、あれから俺も浮気されて振られたんだけどな」


 まさかの展開に開いた口が塞がらないって、こういうことなのね。なんか、悪いことした気分……。


「別に良い。それよか鷹田から聞いたけど。嫌なら断れよ。お前がやさぐれているって聞くと、心配なんだよ」


 心配してくれるのは、ありがたいけど大丈夫。やさぐれてもいないから。諦めてる感はあるけど。


「じゃあ、俺は帰る。彼氏が待ってるぞ。早く行ってやれ」

「はいはい、分かりました」


 ……行っちゃった。って、なんで落ち込んでるんだ私は!

 はぁ、仕方ないな。圭二の言う通り、店の中へ入ろう。


「──ど、どうしたの!?」


 そんなに動揺すること? 別に取って食おうなんてしないし。


「う、うん。あの……聞きたいことあるんだけど」

「ん? 何?」


 何を聞きたいのかな?


「さ、さっきの人って誰ですか?」

「──えっ!?」


 あれ? 見られてたのね。まあ、見られて困るものでも無いから、別に良いか。


「あれは、元彼よ」

「も、元彼……」


 あら? 黙っちゃった。どうしたのかな?


「そうよ。″元″彼。だから、関係ないわ。アンタには」

「そ、そう……関係ない……よね」


 もちろん、私も関係自体解消されてるから無関係に近いんだけどね。

 だから、そんな悲しい顔されると心が痛むじゃない。私の事を本気で好きじゃないんだから。


「……う、うん。じゃあ、店内を見て回ろうか」

「……そうね」


 何? 動揺すること? 本命なら分かりそうだけど、本命じゃない相手の元彼如きで落ち込む? そんな演技必要ある?


「……ご。ごめん。楽しくないかな?」


 そんなことは無いけど……なんか、さっきの演技が気になる。


「──っ! ご、ごめん!? そうだよね。楽しくないよね。……帰ろっか?」

「……そうね」


 はっきり言うと、振られると分かってて付き合うのは面倒。

 かといって、相手を振るのも面倒。何故なら、新しいアダ名が付く可能性があるから。

 まあ、この様子じゃあ半月くらいは続く……かな? いや、続いて欲しいけど。出来れば、もっと。ずっと一週間しか続かないとマジでヘコむ。


            ***


 大人しく頼りない彼と付き合い始めて、約一ヶ月ほどの時間が経っていた。

 圭二を除いて、ここまで続いたのは珍しいわね。でも、そろそろ別れ話を切り出してもいい頃よね?

 何故なら、私達は校門前で、今日どこへ行くかを考えていたから。


「あ、あの……公園へ行きたいんだけど……良いかな」

「公園? まあ、良いけど」


 公園……なるほど。そこで別れ話をするつもりなんだな。

 私は何処でも良いんだけど。あっ、人のいないところの方が良いけど。

 そんなこんなで、私達は公園へ向かった。

 公園へ着くと、出店みたいのがいるな。あとは……。


「……うっ。あそこに先客が……場所変えようかな……」


 別れ話、そんなに人に聞かれたくないの? まあ、私もだけどさ。ってか、熊みたいな大男と綺麗な子……あの二人はカップルなのかな? 美女と野獣かな? と思える二人組だ。


「あの大男、女にキープされてるわね。うんうん」

「へっ? キープってなに?」


 やばっ! つい思ったことを口に出しちゃった!? まっ、いいか。面倒だし、こちらから言っちゃおう。


「言葉通りよ。女には本命がいる。けれど、本命が駄目だった時のことを考えての予備。みたいなものよ。あんなムサイ男となんて付き合わないわよ。ああいうモテそうな女は。ムカつくけど」

「えっ? それって酷くない?」


 ええ、そうね。酷いわね。でもアンタも同じ穴のムジナでしょうが! 私にしている事はなんだっていうのよ。


「僕はそういう考え方嫌だ。絶対にしない」


 自信満々に言うところがムカつく。我慢の限界!


「偽善者。どうせ、貴方も同じなんでしょ?」

「──っ!」


 さあ早く認めなさいよ。自分には、別に本命がいるって。


「違う! 僕は……そんな軽い気持ちで告白したんじゃ……うぅ」


 ちょっ! いきなり泣き出すのはやめてよ。私が泣かせたみたいじゃない。……その通りかもしれないけどさ。


「……ごめん」

「……こちらこそ、すみません」


 なんで、アンタまで謝ってんのよ。悪いの明らかに私じゃん。


「そ、そうだ! あそこにアイスクリーム屋があります。見に行きませんか?」

「う、うん……」


 よく分からないけど、私達はアイスクリーム屋へ行く。


「どれにしましょうか……」


 私達は、真剣にどのアイスを食べるか悩んでいた。

 どれにすると言われても……。バニラにチョコ……抹茶……どれも良い。凄く悩んじゃうじゃん……。


「……うん。僕は決まったよ。あとは雨月さんだけど」


 もう決まったの!? 待ってよ、もう少し待って。待つくらいバチは当たらないでしょ?


「う、うん。分かった。決まったら教えてね。僕はあっちのベンチに座って待ってるから」

「うん、分かったわ」


 さて、どれにするか……。困った……難しいなぁ。う~ん、バニラで良いかなぁ……。


「よしっ! 決めた!」

「決まった? じゃあ、教えて? 僕が買ってくるから」


 えっ? 買ってきてくれるの? それなら、もう少し悩んでも良かったかな? まあ、待たせるのも悪いし、良いかな。


「じゃあ、バニラでお願い」

「バニラだね。じゃあ、ベンチに座ってて」


 行ってしまった。言われた通り、ベンチに座って待とう。


           ***


 あっ、戻ってきた。ってか、バニラが二つ? って事はアイツと私は同じモノを頼もうとしたの? 何、このシンクロ感。

 まあ、アイツが合わせただけでしょうけどね。


「ごめん、待ったよね」


 待ってないけど、何か?


「そ、そう。あっ、はい。バニラ」


 あっ、ありがとう。う~ん、美味しいな。やっぱアイスはバニラに限るよね。


「もしかして私と同じモノを頼もうとして、何を食べるかを聞いたとか?」

「えっ? ち、違うよ!? 僕も丁度バニラが食べたいって思っただけで。同じだったのは偶然だよ!?」


 そう? 別にそこまで否定しなくても……。


「──あっ、もう陽が落ちかけてる。帰ろっか?」

「ええ、そうね」


 私は彼に家まで送って貰った。まあ、男としては普通だと思うけど。こっちは、か弱い女なんだから。

 彼とは自宅前で別れたけどね。そう簡単に家に上げないよ?


           ***


 それから何日か経ったある日、私は夢を見た。それは私がさいしょの彼氏──香坂(こうさか) 圭二と別れた日の出来事だ。

 あの日は雨が降っていた。

 彼の傍らには、見知らぬ女が立っていた。私の通ってる制服とは違うから、他校の子なんだろうけど綺麗な子だった。

 彼は私に別れを告げ、二人で何処かへと去って行った。

 私は泣いていた。大泣きはしていないが、顔は涙でぐしゃぐしゃだった。


「…………最悪」


 なんて、目覚めの悪い夢だ。まさに悪夢といっても良い。


「……馬ッ鹿みたい。なんで、今さらあんな夢を」


 ホント、何で今さら……。


 次の日の朝、私は学校にいた。憂鬱だ。あの悪夢が頭から消えない。

 そして昼休みがやってきた。


「そういえばさ、例の彼とはどうなったの? もう振られた?」

「……一応まだ付き合ってる。なんか全然別れ話を振ってこないから」


 よく分からない男。本命が見つからないのか、それとも告白への踏ん切りが付かないのか。振られるのを待たされるこっちの身になってよ。


「そうなんだ。あっ、もしかしたらあちらは本気なのかもね」

「そんなわけ無いでしょ? 男なんて皆同じよ」


 どうせ、演技よ。ってか、本気とか言われても困るけど。


「あっ! 噂をすれば、愛しい彼氏が来たよ」


 ニヤけた面で言うなっ!


「あ、あの。雨月さん」

「ん? 何?」


 何の用かな?


「昼なんだけど、一緒に食べない?」

「うーん……良いよ」

「くくくっ」


 ん? 何かな? 鈴歌さん。


「何でも無いよ? さあさあ、お二人さん。早く行かないと昼休みが終わっちゃうよ? そうなると、いっぱいイチャつく事も出来ないよ?」


 ……なんてことをほざくか、この女。同じ女として怒るべきか。

 そもそも、衝撃的すぎて梅谷が固まって動かないし。


「あらあら。ホント、(ピュア)だねぇ」

「コラ、からかい過ぎ。梅谷が困ってるでしょうが」


 ってか、まだ固まってるし。


「そうだね、優香の彼氏だもんね」


 いや、そういう意味で言ったんじゃ無いんだけど。

 それとこれとは無関係でしょ。


「とりあえず私達は、屋上で昼飯食べてくるから」

「うん、了解~」


 ホントに分かったのか、疑わしいが止めておこう。

 私達は、屋上へ行き昼食を摂ることにした。


「…………」


 ……何? この沈黙は。何でも良いから喋ってよ。こっちが困るんだから。


「ご、ごめん!?」


 いや、謝る必要ないから。何か喋ってくれたら良いの。


「雨月さん、ありがとう。僕は君と付き合えて幸せだよ」

「──はっ?」


 この男、何を言い出すんだ。


「それ言うの、本当に私なの?」

「もちろんだよ! 僕が好きなのは、君なんだから」


 ……あれ? 何かおかしい。この男には、本命が別にいるはず。


「もしかして嬉しくない?」

「嬉しくない訳じゃ無いけど……」

「けど?」


 なんで私なんだろう? 他にも女性なんていっぱいいるのに。


「それは、雨月さんが優しい人だから。言葉はキツいけど、本当は優しい。そんな君のことが好きになったんだ。……でも、なかなか告白できなかったけど」


 優しくなんてない。それに、なんで告白出来なかったの?


「実は僕、女性恐怖症なんだ。昔、好きだった女の子に虐められてから」


 じゃあ、なんで私には告白出来たの?


「最初は、罰ゲームという名目で女子に告白しなきゃいけないことになって、雨月さんへ手紙を出したんだ」


 私への告白を罰ゲーム扱いとは、酷い。


「でも、僕は軽い気持ちで手紙を書いたんじゃない。僕の気持ちに嘘偽りはないよ」


 …………。


「軽蔑したよね、僕のこと。だって、罰ゲームで告白されて嬉しくなんてないもんね。僕が本気だとしても」


 まさか、本当に私のことを想ってくれるなんて。それなのに、私は冷たくしちゃった。


 でも、アンタの気持ちに嘘偽りがないなら、私もその気持ちに応えなくちゃいけないよね。


 アンタの言葉を聞いて、胸の高鳴りがした。この高鳴りは初めての彼氏だった圭二の時以来、忘れていた気持ち。


 そうだ、これが恋だった。


 思い出させてくれた目の前の男の子。


 アンタが私の事を想ってくれるなら、私も想うよ。


 だって、私もアンタのことが……。


「ごめん、傷付けちゃったよね……」

「ううん。違う。ありがとう、私もアンタのことが大好き」


 私も貴方の事を”好き”です。だから、いつまでも一緒にいようね。



 すれ違い…… 終

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