綱渡り
綱渡りの気分です。
進むも下がるも、儘ならない。
体の震えで遊歩道さえ危険な順路になってしまう。
たまには綺麗な景色を見つけたいのに。
感動の共有とはなんなの?
真面目な表情を崩さないけど、笑わずにはいられない。
一歩踏み出すのも、ばれないように。
痺れたようなこの体、波に打ち上げられた魚のよう。
瞬きも忘れて、助けを求める声も忘れて、断末魔の口づけ。
見開かれた右目で速度を上げた時計を見てる。
閉めきられた左目で時間を失った記憶を見てる。
痺れは爪先から舌先へ。
悲鳴を咬めば咬むほど、世間体から抜け落ちる。
そのもがき、隠し通せるほど甘くない。
なりふり構わない綱渡り、笑わずにはいられない。